08 ふたり旅
朝、ちゅんちゅんうるさい小鳥の鳴き声で目が覚める。
おっと、マーリエラさんとぴったり寄り添い合って寝ちゃってたよ。
不味いよね、これ。
いや、添い寝してたのが不味い、では無く、
ふたりとも寝ちゃってたのが、ものすごく不味い。
お互いリラックス出来てたってことはとても喜ばしいのですが、
問題は、ふたりとも夜番すっぽかして寝ちゃってたってことで。
猛反省しなきゃ不味いでしょ、これ。
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なんだかご機嫌なご様子のマーリエラさん、
足取り軽くウキウキを隠そうともせず。
……ちゃんと反省してくれてるのかな。
ってか、ふたり旅の弊害ってヤツだよね、これ。
アシュトさんのところの『アンチ』さんみたいな絶対的な守護者でもスカウトしないと、
いつか痛い目見るよ、このままだと。
マーリエラさんときちんと話し合って、
早急に対策をとらねば。
なんかあってからじゃ遅いっての。
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旅は順調。
俺の広範囲『鑑定』と、凄腕特務司法官マーリエラさんの実力で、
今のところは徒歩での旅も問題無し。
あまり安全とは言えない街道だけど、
どうしても回避出来ない魔物を追っ払うくらいで済んでる。
もし野盗の類いに遭遇したら、俺が"スイッチ"を入れて対処するつもり。
その際は出来るだけ離れてくださいって、マーリエラさんにはお願いしてる。
本当は、"スイッチ"入れてなんちゃってバーサーカーになってる俺を、
マーリエラさんには見られたく無い。
でもさ、これからは、そういうのも全部ひっくるめて、
諸々背負っていかなきゃね。
それが、ふたり旅。




