05 お開き
なんだか思っていた以上に楽しめているよね、外出厳禁潜伏生活。
マーリエラさんも、いろんなお料理にチャレンジしてみたり。
まさに、新婚生活(仮)と言っても過言では無いかと。
……はい、夫婦生活と言わないところがミソですよ。
そっちの方は、しっかりと自制心ガチガチですから。
歳上の男性として、節度を持ったお付き合い、
そこ、凄く大事。
「今日は、帝王スッポンと魔香ニンニクの炒め物ですよ」
「お鍋にすると薬効が損なわれるそうなので、頑張って炒め物にしてみました」
うはっ、美味そうですね。
この異様に食欲をそそるニンニクの香り、まさに魔香!
って、薬効?
「冷めないうちに、どうぞ」
……はい、いただきます。
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スッポンって、マジに鼻血が出るんだね。
いや、異世界特産の魔スッポンだったのかも。
元気になりすぎちゃっていろいろ大変なんだけど、
身体だけじゃなく、気持ちの方にも元気がみなぎってますから。
欲望が燃え上がるほど、自制心だって天井知らずってなもんですよっ。
「薬効、効きすぎたみたい……」
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そんな感じの楽しい潜伏生活も、いよいよお開き。
上司さんからの新しい指令は、可能な限り速やかにオーバンから離れるように、との厳命。
例によって隠密行動ですので、ヴォル君たちにお別れの挨拶も出来ないことが心残りですな。
こっそりと街を出て、覆面してる無口な協力者さんに別れを告げたら、
ふたりきりでのぶらり旅、再開。




