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02 手段


 エルサニア王国とキルヴァニア王国の国境は、ヒルデュ河という雄大な大河がその役割を担っている。


 もちろん渡河可能な船や魔法もあるが、


 未だ正式な国交の無い両国間の物流の要は、


 エルサニア側のオーバンの街と、キルヴァニア側のエヴェルシュの街とを結ぶ、


 ヒルデュ大橋という石造りの立派な橋を利用する陸路。



 今、キルヴァニア国内で難儀している俺たちが目指してるのはエヴェルシュの街なんだけど、


 橋の検問所には絶対に衛兵隊の皆さんが待ち構えているわけで。


 司法省本部に連絡さえ出来れば、『転送』魔法で救援が飛んできてくれるんだけどな。



「申し訳ございません、肝心な時に役立たずで……」


 いえいえ、マーリエラさんのせいではありませんから。


 いつものノリでのんき旅出来ると思っていた俺の見通しが甘かったのです。



「馬車で通る際にご覧になったと思いますが、キルヴァニア側のヒルデュ大橋検問所の警備体制は、エルサニア側とは比較にならないほど厳重です」

「エヴェルシュの街も有事を想定した街づくりをされており、衛兵隊の行動を妨げない工夫が随所に施されておりました」

「可能な限り見つからないよう努力しますが、衝突の覚悟も必要かと……」


 最悪、俺が"スイッチ"を入れての実力行使で強引に検問突破、ですかね。



「この命に代えましても、お守りいたします」


 そういうのは絶対にNGですよ。


 可愛い娘さんは可能な限り長生きして、素敵に歳を重ねる姿を周囲に見せつけるのが生まれ持った責務です。


 俺みたいな諸々くたびれたおっさんなんて、そういう娘さんを守り続けるために努力するくらいしか存在価値がありませんから。



「……言質、いただきました」

「生涯、見せつけますから」


 はい、楽しみにしてますよ。


 ってことで長生きせにゃならん理由も出来たし、柄にも無いシリアスモードで行動開始、ですよ。



 ーーー



 まあ、こうなるよね。


 エヴェルシュの街の南門は、検問している衛兵さんたちがざらめ蟹のごとくうじゃうじゃと。


 つまり、橋に辿り着くどころか、そもそも街に入ることすらままならず。


 いい加減、この行き当たりばったりなお気楽脳を何とかしないとね。



 もちろん船での往来はがっつり検閲されているし、


 この状況をどうこう出来る魔法なんて無いし、


 打つ手無し、かな……




「あまり使いたくは無かったのですが、渡河手段は無くも無いのです……」


 ほう、流石は凄腕特務司法官マーリエラさん、


 その最後の手段に懸けてみましょうか。



 それで、どんな裏ワザなんです?



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