18 ほんわり
後の祭り、などと申しますが、
宴の後は、酒の席だからのひと言では片付けられない困った問題が残されていることが、往々にしてあるのです。
「まことに申し訳ない……」
キルミネウスさんを先頭に、昨日説教されてた若い衆が、
マーリエラさんに深々と謝罪。
「皆さん、お酒はほどほどに、ですよ」
菩薩のような微笑のマーリエラさんですが、
若い衆の目にはどのように映っているのでしょうか。
知りたいような、知りたくないような……
「ノアルさん、何か?」
何でもございません……
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別れは、にこやかに。
農作業で忙しい中、見送りに来てくださった皆さん、本当にありがとうございます。
マーリエラさんも、笑顔で若い衆とお別れ。
わだかまりなど無い、良い笑顔ですね。
もっとも、若い衆の胸の内は、神のみぞ知る……
「ノアルさん、何か?」
何でもございません……
キルミネウスさんとマーリエラさんは、何やら真剣に話し合った模様。
後継者問題、簡単には解決出来ないものです。
仕事の問題、場所の問題、そして何より、人同士の問題。
一朝一夕にどうこうでは無く、
マーリエラさんの、普通の乙女とはちょっとだけ異なる方向に尖った人脈で、
この問題が良い方向に進んでほしいものです。
採れたてみかんや冷凍みかん、海の幸に山の幸、
おみやげいっぱいマジックバッグに詰め込んで、
最後の挨拶を済ませたら、
いざ、次の目的地へ。
「次の目的地?」
あー、ごめんなさい。
滞在は短かったですが、何やらいろいろと濃い町でしたので、
柄にも無く感慨に浸ってしまいましたよ。
いつも通りのノープラン旅ですので、
マーリエラさんもその心づもりでお願いします。
「つまり、黙って俺について来い、ですね」
「背中がとても頼もしいですよ、ノアルさん」
いえいえ、滅相もない。
背中で語れるほどの男っぷりなんて持ち合わせていませんから。
とりあえず海沿いの細道を、
北へ向かって徒歩の旅、ってことで。
よろしくです。
「お供させていただきます」
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海風がマーリエラさんのサラサラな髪を揺らす様を、
チラ見しながら徒歩の旅。
目指すは北方、リグラルト王国。
アレなおっさんとプチ肉食系才媛乙女との、
ほんわり危ういふたり旅にご期待ください、ってな感じで。
「ノアルさん、何か?」
何でもございません……
あとがき
ノアルさん編のフォーマットもちらほら見えてきたり。
どうやら、他の召喚者との触れ合い (?)の旅が主軸の模様。
濃いめの古参キャラとか、
誰も覚えていないような脇役さんとか、
いろいろな要素が絡んできてくれると嬉しいです。
絡みすぎちゃって矛盾点が出てしまったら、ごめんなさいです。
つまりは、これからもこんな感じでよろしくお願いします。




