14 願望
えーと、実用一辺倒だそうですよ、この世界の水着。
水着ってのは魅せるためのモンじゃ無くて、あくまで安全に泳ぐための手段。
そりゃあ、おしゃれな娘さんたちは積極的には着たがらないよね、実用一辺倒。
そういえば、下着の方も実用一辺倒でおしゃれ感皆無だったよな。
マーリエラさんもグレー系の地味なのしか持ってないし。
……いや、こっそりチェックとかしてるってわけじゃなくて、
ふたり旅だと、ほら、どうしても見えちゃうってことがあるわけで。
風に吹かれてる洗濯物とか、さ。
「その、お望みでしたら直接……」
いえいえ、お気遣い無く。
いかにアレなおっさんでも、そういう趣味は無いですから。
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元々、こっちの世界には、結婚する人以外にはむやみに肌を見せちゃダメ、っていう慣習があるんだよね。
"乙女の純潔の誓い"、だったかな。
そんな訳で、人前で肌を晒すのは抵抗あります、っていう娘さんも多い。
まあ、ビキニアーマーを普段使いしてるようなツワモノがいたりするから、
一概には言えないみたいだけどね。
この件に関しては、時間が解決してくれそうな気がしますな。
あんだけポコポコ召喚者を呼んでることだし、
中にはファッション関係でイケてる人もいると思うんですよ。
だから、そのうち戦争とかの方が落ち着いたら、
そっち方面の文化が華開いたりしますよ、きっと。
楽しみだよね、文化の革新。
だって、あっちの世界では要コスプレなことを、
素の状態で出来ちゃう方々がすでにいらっしゃるのですよ。
獣人さんに、魔族さん、
ミミとかしっぽとか羽とか、オプション標準装備の贅沢ボディですもん。
そういう方々に、あっちの世界のコスプレ技術を上乗せしたらどうなっちゃうのか。
人族のおっさんは、それを楽しみに待ってるだけで良いってことですよ。
「…………」
はい、いつもジト目、ありがとうございます。
こうしてのんき出来るのも、マーリエラさんがいてくれるからこそです。
これからも末永く、よろしくお願いしますね。
「ずるいです……」




