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番外編11 朱里編 いつか来るかもしれない一つの未来

タイトルが長い…



やっちまった!

書いてしまった!



番外編最後はやっぱり朱里編です!それではどうぞ!!

ピピピピ…


「う〜ん…」


俺の耳元で目覚ましが鳴る。

それと同時に、俺に大きな欠伸とともに朝が訪れる。

俺は昨日の夜までぬくもりがあった隣を見た。

彼女はもう俺のベッドから離れ、俺の分の朝食を作ってくれている。

こんな生活が続いてもう二年が経った。そう、二年前に俺達は付き合い、二人の生活がスタートしたのだ。

ちなみに美鈴も一緒に暮らしているのだが、最近は友達の家で過ごすことが多い。

俺達のことを気遣っているのかもしれない。


「さ、今日も一日頑張るか」


俺は机の上の写真を見つめる。

そこには、高二の夏休みの頃に行った海での写真があった。

あの頃はいろいろ大変だった。確か謎の島に行って帰れなくなったりした。

俺は写真に写ってる七人を懐かしそうに見つめた。


「…っと、こんな場合じゃないな。早く着替えて練習に行かないと」


俺はジャージに着替えてリビングへと向かった。


「あ、おはようございます兄さん」


「おはよう朱里」


俺は恋人の朱里にそう挨拶した。

正直な話、高校時代とこういうのは全く変わっていない。


「もうすぐですね、オーストラリア戦」


「ああ」


明後日にはワールドカップ最終予選がある。相手はオーストラリア。

一応ホームゲームなのだが、強敵であることには変わりがない。

しかし明後日にはもう一つ重要なことがある。


「朱里の誕生日、家じゃ祝えないな」


「でも私は観戦しに行くので、どちらにしても無理ですよ?」


「ははは…」


俺の出るサッカーの試合があると、朱里はほぼ毎回見に来るのさ。

そこまでサッカーなんて詳しくもないのだが、彼女曰く、ピッチ上を駆け回る俺を見るのが好きだそうだ。

ずっとボールではなく、俺を見ているらしい。恥ずかしい話だ。


「でも朱里の応援があれば…何とかなるかもしれない」


朱里が応援してくれてると思うと、いつもより気合が入るのか、俺は調子がいい。

ただ、空回りして失敗することもあるんだけどね。


「やっと代表に入れたんですから、活躍しないといけないですね」


「プレッシャーかけるなよ…」


俺はワールドカップの最終予選前に調子を上げたためか、予選にはほぼ毎試合出場していた。

一つの壁を乗り越えた結果かもしれない。ああ…あのときにサッカーなんて辞めなければもっと早く召集されてたかもな…


「ふふっ。兄さんのことを応援しているのは私だけじゃないんですからね」


「そうなんだよなぁ…」


昨日とか仁やら穂やらから電話が掛かってきたり、その前には最近結婚した奏とタカが惚気を混ぜながら俺に電話してきたり…どいつもこいつもプレッシャーをかけてきやがる。

そういえばみんな今頃どうしているのかなぁ…

俺は最近、みんなの近況を聞いていた。


仁は高校卒業後、雑貨屋を開くために上京した。成功したかどうかは仁なので、敢えて言わないことにしておく。


穂は高校3年の頃に猛勉強をし、今では某大学の教育学部の学生だ。どうやら将来は教師になるらしい。面倒見のいいあいつらしい。


タカと奏は仲良く同じ近くの大学に入学。結婚まで至るほど、ずっとラブラブだったらしい。


美鈴は無事1年遅れで高校に入学した後、タカと奏と同じ大学に進学。最近では彼氏が出来たとか出来ていないとか。


彩華は高校最後に俺に告白をした。俺は予想外のことにびっくりしたが、断った。どうやら海外に留学するので、最後にケジメをつけたかったらしい。今はアメリカでデザイナーの勉強をしてるってメールで来ていたような…


委員長はタカと奏と同じ大学に入学。その後、俺のマネージャーを名乗り出たので、一応了承したんだけど…朱里とよく言い争いをしている。


あの腹黒生徒会長は上京し、国会議員になる予定らしい。つうかあんな腹黒が総理大臣になったら、日本は終わりだろう。


西岡は今、その腹黒さんの秘書を務めている。どうにも結構困っているらしい。俺が東京に来たとき、一緒に飲んではグチを言いまくっていた記憶がある。


風紀委員長も腹黒と一緒の大学の法学部に通っている。こっちも苦労しているらしく、俺にまでグチをこぼすようになった。


そして敏樹は…明後日に同じピッチ上に立つ予定だ。


「それで、今日からもう?」


「ああ。代表に合流するから、帰ってくるのはオーストラリア戦以降だな」


「分かりました」


俺にはこの試合に勝たなければいけない理由がある。

勝って朱里に言わなくてはいけないことが…

強敵のオーストラリアだからこそ、俺はこの試合に勝って朱里に言わなければ…


「どうしたんですか?思いつめた顔をして」


「いや、試合頑張らないとな、って思っただけだ」


「頑張ってくださいね」


そう言って朱里は俺を見ながら目を閉じた。

これはアレだ。アレのサインだ。

俺はゆっくりと朱里の顔に近づき、唇と唇を触れ合わせた。


「ん…」


少しの間だけだが、朱里を感じることが出来た。


「じゃ、行ってくる」


「行ってらっしゃい」


俺達は多少顔を赤くしながら、そう言い合った。

未だにこの恥ずかしさは抜けない。



















ロッカールームの中、監督の怒号が飛ぶ。


「いいか!この試合に負けは許されない!」


現在オーストラリア戦のハーフタイム中である。

監督が怒っている理由には訳がある。

もちろん試合内容についてだ。

試合が始まって早々、エンジンが中々かからなかった俺達日本代表は、早々と一点をもぎ取られた。

その後、海外で活躍している、オーストラリア代表MFのミドルシュートがゴールネットに突き刺さってしまい、2−0と離されてしまった。ホームゲームなのに。

俺達はほとんどいいとこなしに、俺が蹴ったコーナーキックを敏樹がヘディングで入れるのが精一杯だった。


「DF陣はゾーンディフェンスをしっかり意識しろ!特にサイドからのクロスには要注意だ!それと…鎌倉」


「あ、はい」


名指しで俺が呼ばれた。


「お前、もう少し当たっていけ。何を焦ってるか知らないが、ボールを簡単に放しすぎだ」


「あ…」


思い当たる節がある。俺は例の怪我の経験からか、相手と接触するプレーを嫌う傾向にある。

なので、昔は消極的な動きが多かった。しかし、最近では改善したはずだ。なのに、こうなってしまっている理由はただ一つ…


「すいません。俺がもうちょっとキープすれば…」


勝たなくてはいけないという焦りだ。情けない限りだ。その焦りが昔のプレーを再現してしまった。


「改善しなければ速攻で交代するからな」


「はい!!」


俺は気合を入れた。何をやっているんだ、俺は。

朱里のことを考えすぎて焦っていたのか?本当にバカだ。

こんな俺、仁や穂たちが見たら笑われちまうよ…


「リョウ、お前なら大丈夫だ。自分の力を信じろ」


「サンキュ敏樹」


俺達はロッカールームで一度円陣を組んだ。


「いいか?この試合はホームゲームだ!このまま情けなく終わりたくないだろう?!」


「オス!!」


キャプテンの掛け声に俺達が答える。


「ジャパニーズサムライの底力、見せてやるぞ!!」


「オウ!!」


俺達はそう叫んでロッカールームから出た。

そしてまもなく、後半がスタートした。



















後半15分過ぎ、ようやくペースを掴んだ俺達が、試合の主導権を握る番になった。

俺には相変わらず厳しいマークがついており、中々攻めさせてくれない。さすがは強敵といったところか。

だが、俺はそんな中でも笑っていられた。肩に力を入れ過ぎずにいられることが出来た。

全てこれも朱里のおかげ。


「リョウ!!」


そのとき、相手の陣内でボールを奪った仲間が俺にパスを出す。

前半までの俺なら、ここで相手のプレッシャーに負けて後ろに戻すのだろうが、今回は違う。

俺は…勝負に出た。

ボールが足元に来たと同時に俺は反転し、マークについていたディフェンダーを一人をかわした。

相手はまさか勝負するとは思っていなかったのか、簡単に抜けられた。

そしてここからが勝負。俺にめがけて選手が寄ってくる。オーストラリア人の体格は俺達日本人よりも優れている。だから近づかれたら終わりだ。

俺はチラリと味方の位置を確認してから、ボールを思いっきり相手ゴールに向かって蹴ることにした。

それを見た相手ゴールキーパーは余裕でそれをキャッチしようとする。だが、俺はそのボールにトリックを仕掛けていた。


「ああっと!ボールが相手ゴールキーパーの目の前で曲がった?!」


だから今頃こんな実況をしているかもしれない。

そう、俺の狙いは初めからシュートでは無い。強烈に曲がるロングパスを放ったのだ。

ちょうどゴールキーパーの前で曲がるように。

相手ゴールキーパーは前へ出すぎて、ゴールはがら空きになっている。


「そして!そのパスが通った?!」


練習の成果か、俺のパスをきちんと取ってくれたフォワード。

そしてそのままゴールへと押し込んだ!


「ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!日本同点に追いつきました!!」


「よし!!」


俺はゴールした選手に駆け寄って肩を抱き合った。


「ナイスパス!」


「ナイッシュ!」


朱里はどう思っているだろうか?

やっぱり嬉しそうに笑っているだろうか。それとも嬉しくて泣いているだろうか。

俺は少しそんなことを考えたが、すぐにそれを打ち消した。

そうだ、まだ同点。この試合はどうしても勝ちたい!今日は朱里の誕生日だから!

出来ればゴールを決めて、勝利を誕生日プレゼントとして送りたい。

そして試合は再開された。

同点に追いついて勢いに乗ったのか、試合は日本ペースで進んだ。

だが、相手としては同点でもいいのか、守りをしっかりと固めており、均衡が破れない。

俺も何本かシュートを放ったが、相手ゴールキーパーやディフェンダーにことごとく防がれる。

そして同じ戦術はもう通用しないので、あの曲がるロングボールはもう使えない。

だから試合はまだこう着状態。このまま終わりそうになる。

選手達の疲労も結構溜まり、俺達も動きが鈍ってきた。


「はぁはぁ…」


何とかしてあと一点が欲しかった。だから俺は敢えて攻めを止め、かなり後ろまで戻ってディフェンスもしている。

何とかボールを自分のものとするためだ。

レフェリーが時計を見る。時間はほとんどないようだ。

そしてロスタイム3分という文字が表示された。


「あと…あと少しなのに…」


「リョウ!」


そんなとき、俺にボールが回ってきた。これが最後のチャンスか?!

俺は周りの選手を見る。全体的に疲れが見えている。そして疲れの少ない、後半に入った選手はしっかりとマークされている。


「くっ…」


俺はドリブルで一人を抜く。だが、疲れているのでもう一人は無理だろう。

俺は無理矢理ロングシュートを放つ。

しかし、このシュートが予想外に曲がってしまい、ゴールポストに直撃しただけだった。


「ダメか…ん?!」


しかしどういう神の悪戯か、そのボールは思いっきり跳ね返って俺の真上までやって来た。

これは…

先ほどのシュートのおかげで俺は完全にフリーだ。

しかし、今ジャンプしてもヘディングは間に合わない。

だが俺は迷わなかった。ゴールを入れたいという意志が俺を迷わず次の行動に移した。

怪我をしても構うものか…!

俺は体を後ろ向きに回転させる。


「入れ!!」


俺はそう叫びながらオーバーヘッドシュートを放った。

最期の力を振り絞った俺は、その場に倒れこむ。

そしてボールにキーパーが手を伸ばした。そしてキーパーの手に触れてしまう…


「あ!」


だが、神様は俺を見捨ててはいなかった。

凄まじい威力のシュートはキーパーが弾ききれなかったのだ。

そしてそのままそのボールはゴールネットに入っていった!


「ゴーーーーーーーーーーーーール!!!日本のエースがやってくれました!!」


俺はその場に倒れこんでバンザイをした。

悪いがもう一歩も動けない。

俺はチラリと観客席を見た。


「あ…」


朱里と目が合った。

あいつ、泣いてやがる…まったく笑顔にするって言ったのに…

泣くんじゃないよ…本当に自分のことのように喜んじゃってさ…

畜生…目が熱くなってきたぜ…


「リョウ!お前はやっぱり天才だ!!」


「敏樹…」


敏樹達が俺に駆け寄り俺を立たせる。

まだ試合は終わっていない。だが、試合の再開と同時に終了のホイッスルが鳴った。


「勝った…!!」


俺達は勝った。勝ったのだ。

ピッチ上のみんなが俺に駆け寄ってくる。

何回も頭を叩かれ、痛かったけど、その痛みも今は心地が良かった。


「はい、この試合1ゴール、2アシストの鎌倉選手です!」


そしていつの間にか俺は記者に囲まれ、インタビューされていた。


「この試合に勝ってどうですか?」


「すごく嬉しいです!!」


俺は今までの人生で最高に嬉しいときの一つだと思った。


「2点目のアシスト、見事でしたね」


「あれは練習していたので。成果が出れて嬉しいです」


「3点目、オーバーヘッドでしたが、強烈でしたね。何を考えて打ったんですか?」


「それはやっぱり勝たなくちゃいけない気持ちがあったのと…」


「あったのと…?」


おいおい…俺は何を言おうとしてるんだ?

まさか言うのか?

しかし嬉しさのためか、俺の口は止まらない。


「今日、一番大切な人の誕生日だったんです。だから絶対に入れなくちゃ、と思ったんです!」


俺はそう大きな声で言った。

何を恥ずかしがっているんだ?俺の気持ちは本当なんだ。何も隠す必要は無い。


「それってまさか…」


「では用事があるので失礼します!」


俺はインタビューを無理矢理打ち切ってロッカールームに戻る。

監督からはすでに許可を貰っている。5分間だけ。

だから俺は朱里を呼び出して、その待ち合わせ場所に向った。


「朱里!!」


「兄さん!!」


朱里は俺の姿を確認すると泣きながら駆け寄り、抱きついてきた。


「すごい…格好よかったです…兄さん!!」


「出来ればもう兄さんはやめて欲しい」


「え?」


朱里が俺から離れ、キョトンと俺を見る。


「その…結婚したらそれはマズイだろ…」


「えええ?!」


朱里が凄くびっくりする。

ちなみに俺の心臓はすごく高鳴っている。


「だから、これからはずっと涼平とか、涼平さんと呼んでくれるか?ずっと」


「そ、それって…」


朱里はまた涙が溢れてくる。今日は泣きすぎだよ、本当に。


「ずっと俺のそばにいてくれ」


俺はそう言って最近購入した指輪を朱里の前に差し出した。


「兄さん!!ううん!涼平さん!!」


朱里は俺に再び抱きついてきた。


「うわっ!まだ答えを聞いてないぞ?!」


「私を一生傍に置いてください!」


朱里はそう言って俺に左手薬指を差し出す。

俺はその指に愛の輪を通した。

そして最後に口付けを長く交わす。

俺にとっても、彼女にとっても最高の誕生日になったのだった。
























ピピピピ…


「う〜ん…」


俺の耳元で目覚ましが鳴る。

それと同時に、俺に大きな欠伸とともに朝が訪れる。


「さ、今日も一日頑張るか」


俺は机の上を見つめる。

そこには高二の夏休みに行った海の写真の他にもう一つ、俺がタキシードを、朱里がウェディングドレスを着て寄り添い合う写真が置いてあった…


終わった。終わりましたよ。この作品が!


結構自己満足気味に書いていましたが、最後だけは限界に挑戦しました。

何が限界なのか?

実はラブシーンを書くのがすごく苦手で、恥ずかしすぎて書きにくい!一方通行は楽だけど、ラブラブイチャイチャはもう書きにくい!これから慣れるしかない!

はい、すいません。でも、満足してます。

この開放感と達成感はいいですね!


さて、これで次の作品に手をつけ…



ここまで読んでくださった読者の方々、本当にありがとうございました!もうすぐ夏休みは終わりですが、活動は続けていくつもりなので、よろしくお願いします!またどこかでお会いしましょう!

最後に一言!朱里に幸あれ!!



Written by Yuu Kasumigawa


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