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番外編03 仁編 ナンパで分かる友情

夏がこんなに寒いものなのか…

作者は真理を理解した。夏は寒い!


↑どうでもいいので聞き流してください



題名の割にまともな内容です。(じゃなかったらすいません)

どうやら運というものはあるようで、6月の割に今日は快晴であった。

おかげで学校中は大盛り上がりを見せる。だって文化祭だもん。

だもんじゃねえよ俺。


「お兄ちゃん、どこ回るの?」


「そうだな…」


去年は適当だったしな…


「ようリョウ!美鈴ちゃんもおっはよう!」


最初に俺達に話しかけてきたのは仁だった。

こいつとは本当に良く出会うな。


「おはようございます、仁さん」


「よう、穂たちは一緒じゃないのか?」


俺達は挨拶もそこそこに質問をした。

リョウグループ(仁は仁グループが良いと思っている)が揃っていないとやっぱりちょっと違和感がある。


「タカと奏はデートだよ、デート!穂は…多分他の友達と一緒だ」


「つまりお前は今孤独だと」


「違ぇよ!単に望まずに孤独になったんだよ!」


いや、それ孤独ですから。


「だから頼む!一緒に回ろうぜ?」


「…」


どうするべきか…

俺は美鈴を見た。美鈴はアイコンタクトでOKサインを出した。

いい子だなぁ…っと!こんなだからシスコンって言われるんだ!


「いいぜ。仕方ないな」


「サンキュ!!じゃあこれから「いつものように」ナンパしに行こうぜ!!」


「おい!!人聞きの悪いことを言うな!!」


俺は仁に腕を引っ張られた。

美鈴は俺を不審な目で見つめている。そんな目で見ないでくれ…


「美鈴がいるんだぞ!!」


「あ!リョウ発見!」


「穂?!」


そんなとき、穂率いる女子グループが出現した。


「一応俺もいるんですけどね」


仁が存在感をアピールするものの、女子グループの目に入っていなかった。

憐れな男だよ。同情はしないけどな。


「穂さん、おはようございます」


「おう!美鈴ちゃんもいるじゃねいか!おはよう、美鈴ちゃん!」


こいつ、本当に男みたいだな。

だから女によくモテるんだな。一応姉御気質だし。


「そうだ!美鈴ちゃんも一緒に回らない?!」


「え?私ですか…?」


「そうそう!こいつらといたらロクなことにならないしさ!!」


穂は俺と仁を指差す。穂はさすがに仁のことに気づいていたんだな。

というか仁はともかく、何で俺もそういうことを言われなくちゃいけない?!


「…そうですね」


「オイィィィ!美鈴!!」


美鈴は俺達二人をジト目で睨む。誤解したままかよ!


「じゃあ行きましょう、穂さん」


「と、いうことだから男共は頑張って女でも引っ掛けなさ〜い」


「くっ…!見てろよ穂!俺は彼女を100人作ってやるぜ!!」


仁は穂にそう宣言した。つうかそれ無理だし、100又とか人間じゃねえよ。

俺は呆れながら仁を見る。穂の挑発に引っ掛かるなんてこいつもまだまだだな。


「よし!リョウ!一緒にやるぞ!」


「念のために聞いておくが、何をだ?」


「ナンパに決まっているだろう!!」


穂たちがいなくなった廊下で仁がそんなことを叫ぶ。

俺はそれを聞いて小さくため息を吐いた。

















時刻は正午を過ぎた。

俺達は二人でうどんを食べていた。もちろん仁と二人だ。


「なあ仁」


「言うな、悲しくなる」


つまり仁はナンパに失敗し続けた。

もちろん俺はしていない。そんな非営利で非生産的なことはやらない。

あ、上手くいけば非生産では無いか…


「これからもまだやるのか?」


「当たり前だ!引き下がれるか!」


「はぁ…」


俺もわざわざ付き合ってるなんてお人よし過ぎだろ。

全ては仁が悪い。何もかもこいつのせいだ。ああ、こいつが悪の元凶だ。環境破壊の原因も、世界平和が乱れるのも、地球が回るのも、星間戦争が起こるのも全てこいつのせいだ。

ああ。スッキリした。こいつ、役に立つじゃないか。


「ありがとう」


「おう!」


俺は感謝をした。しかしそれに疑問を浮かべずに返事を返す仁も相当な男だ。

こいつ、大物になれるか、バカで終わるか…まあ後者か。


「よし!腹ごしらえもしたし、続きをしにいこうぜ!」


「俺はしていないんだが」


「そうだよ!次からはお前も協力しろよ!」


「はい?」


俺は仁の言葉に思わず聞き返してしまった。いや、意味は分かるけどさ。


「悔しいがお前の方がモテる…だから力を貸して欲しいのだ!頼む!この通りだ!」


「おい!」


仁は俺に向かって土下座を仕掛けた。

まさかこんなことを公衆の面前でするとは思わなかったので、俺は慌てた。

みんなに見られてすごく恥ずかしい思いをしています。


「分かったから!立ち上がれ!」


「よし、分かればいいんだ」


仁は何事もなかったように立ち上がった。

コイツ、策士になりやがった…


「じゃ、約束は守ってもらうぞ」


「ああ…」


俺は仕方なく付いていった。まあ今回だけなら…と自分に言い聞かせて俺は行ったのだ。

















「あの!そこのお姉さん方!」


仁がいきなり女子大生らしき人たちに話しかける。

その人たちは結構際どい格好をしており、正直目のやり場に困る。


「あら?ナンパ?」


二人組みの女子大生は俺達の顔を見る。


「いえそんな…ちょっと一緒に回りませんか?」


「そうねぇ…」


どうやら初めて成功しそうだ。


「どうする?」


「いいんじゃない?」


「おお!じゃあ行きましょう!リョウも行くぞ!」


「へいへい…」


どうやら成功してしまったようだ。

ああ…本当は成功しないで欲しいと思っていたんだけどな。


「貴方達はこの学校の生徒?」


「はい!2年の平仁って言います!」


仁が自己紹介をし始めた。

すると女子大生達も自己紹介をした。どうやら本当に女子大生だったようで、付近の大学の2年生らしい。意外と上だったな…


「で、君は?」


「俺?」


そして突然俺に話しかけてきた女子大生の片方。


「俺はこいつの同級生の涼平です」


「リョウって呼んでくださいよ!」


「わかったわ。よろしくね、リョウくん?」


「ああはい」


俺は適当に相槌をうった。あんまり親しくする気はないしな。

元々俺は仁の付き添い。そういうのは仁に任せる。


「あ、クレープ食べますか?!」


「あ、そういえば甘いもの食べたいわ」


仁の質問に女子大生が答える。


「じゃ、買ってきます!」


仁は俺達から離れ、クレープ売り場に駆けて行った。

こういうときの行動力は凄まじいな…


「で、君は何か趣味とかある?」


「いえ、特に…」


俺は女子大生達とともに取り残されてしまった。

何てことだ。こういう場合はどうすれば…


「うっそ〜。スポーツやってるでしょ〜?」


「まあサッカーを」


面倒くさそうに俺は受け答える。

仕方ないから相手をすることにする。


「へえ!私ね、サッカー好きなんだ!」


「そうそう!サッカーやってるとか格好よすぎでしょ!」


「そ、そうっすか…」


何でこんなに会話に噛み付いて来るんだ?

俺は愛想笑いを浮かべながらそんなことを思った。

仁のためにここまでしてる自分ってどうよ。


「クレープ買ってきました!!」


「あ!ありがとね。お金は…」


「全然構わないでください!」


そんなとき、仁が走って戻ってきた。手にはクレープが二つ。

女子大生たちの分だろう。


「あらそう?じゃあお言葉に甘えるわ」


こいつ、最近金欠とか言ってたような…

まあこいつの女の子に対する執念は凄まじいからな。

俺達はそこで少しダベっていたのだった。


















「そういえば喉渇いたわ」


「私も〜」


しばらくすると女子大生二人組みがそんなことを言い始めた。

まさか仁を財布にしようとしていないか?


「はい!只今買ってきます!何がいいですか?!」


しかし仁は嬉しいのか、メッチャ幸福そうだった。

まあ仁がいいなら俺は何も言わないが。


「私は午前ティーのミルク!」


「じゃあ私は午前ティーのストレート!」


「かしこまりました〜!」


女子大生二人は笑顔で仁を見送り、仁も笑顔で走り去った。

そしてまたこの場に3人になった。


「ねえ、君。ちょっと付いてきてくれる?」


「はい?」


俺は女子大生に連れて行かれそうになる。


「仁君にはもう伝えてあるの。だから次の場所に行かない?」


「はぁ…」


俺は生返事を返して女子大生を見る。

どこに連れて行くんだろう?俺はそんな疑問を頭に浮かべた。


「こっちこっち」


俺は人気のない校舎裏まで連れて行かれた。


「えーと…」


「お姉さん達と、イイコトしない?」


「はぁ?!」


俺は頭がパニクった。イイコトってイイコト?!


「どうせここには誰も人が来ないから大丈夫よ大丈夫」


「いや、でも仁が…」


おいおい、仁にこんなの見られたら俺は終わりだよ。


「大丈夫。彼には別の場所を伝えてあるから」


「?!」


俺はその言葉に火が点いた。

興奮の炎ではない。怒りだ。


「だから大丈夫よ。初めてでも平気だから…」


「すいませんが俺はこれで失礼します!」


俺は急いでこの場を去ろうとした。

しかしもう片方の女子大生に腕を捕まれた。


「ちょっと待ってよ!恥かかせないで!恥ずかしいの?それともこんなところじゃなくてホテルとかの方が良かった?!」


俺の怒りのボルテージはどんどん上昇する。

仁のことを何も考えてない、こいつら。今頃仁は俺達を必死に探しているだろう。

いくらなんでもあいつが可哀想すぎる…!!


「そんな思考しか出来ない人には一生分からない理由です!」


俺はそう言って掴んできた手を振り払ってその場を去った。

早く…仁を見つけないと!

俺は携帯を見る。メールと不在着信が何件も入っている。その全てが仁。


「あ、リョウ。こんなところにいたのか」


「仁…」


しかし仁は簡単に見つかった。

意外と平然としており、それがまた悲しかった。


「全く…どこに行ってたんだよ。待ち合わせ場所にはいないしさ!」


「すまん」


俺は素直に仁に謝った。

こんなことは初めてかもしれない。


「お前が謝るなんて珍しいな!ま、いいや。それでお姉さん方は?」


「ああスマン。俺が余計なことを言ったらしく、怒らせちゃってそのまま…」


さすがに事実を伝える気にはなれなかった。

だから俺は適当に言うことにする。


「うわ…お前らしすぎ」


「へ?」


しかし予想以上にその答えは真実らしさを帯びていたらしい。

簡単に騙すことが出来た。


「はぁ…折角ナンパ成功したと思ったのにな〜」


「悪かった」


「ま、いいや」


しかし、仁は予想以上に明るかった。


「何か嫌な予感がしたんだよな、あの二人組み」


「?!」


こいつの女を見る目はやはりさすがだ。

俺は初めてこいつのことが凄いと思った。


「だからいいよ」


仁はそう言って俺に笑う。

仁のその言葉には本心と俺への気遣いの二つが感じられた。


「すごいな…」


「何か言った?」


仁が俺に訊き返してきた。


「お前の女を見る目の素晴らしさを褒めただけなのだが」


「そうか?照れるぜ!」


そう言って仁は全てを悟ったような複雑な顔をして、手に持った午前ティーのミルクを飲んだのだった。



次回は生徒会&担任編です。

まあ今回の後始末的なものですよ。



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