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番外編02 静編 いつもより賑やかな食卓

アップし忘れるところでした…


眠くて眠くて…

今回は誤字してない自信がありません。


外は快晴と呼べるものになっている。

しかし今はもう6月。結構暑いです。


「それはもう少し右!」


「うーい」


俺はそんな中、文化祭の準備を西岡と行っていた。

外で。暑い。雨の後なので、蒸し暑い。気持ち悪い。文句ばっかですいません。


「これでいい?」


「うん!さすがは男の子だね」


西岡は俺にタオルを渡した。


「サンキュ」


まるでマネージャーみたいだな。

中学の頃はよくこういう経験をしていた。

何だか懐かしさと同時に気恥ずかしさも出てきた。


「今日はこれで終わり?」


「うん」


どうやら俺は仕事から解放されるらしい。


「ふうっ〜」


俺は大きく伸びをしてリラックスをした。

少しでも疲れをとりたい。


「ねえ、このあと時間空いてる?」


「うーん…」


文化祭の準備ということで俺は遅くまで仕事をしていた。

つまり、もう結構な時間である。


「美鈴一人残しておけないしな〜」


俺は家で一人待つ妹を思い出す。

いつも笑顔で迎えてくれるが、本当は淋しいのかもしれない。


「そういえば美鈴ちゃんはいつも家で一人なの?」


「まあ…な」


俺は少し気落ちして言った。罪悪感に苛まれないといったら嘘になる。

俺もちゃんと考えているつもりだ。

でも何も思い浮かばないのだ。朱里もである。

だから俺達は美鈴が何も言わないのを良いことに現状に甘えてしまっている。


「そうなの…あ、今日あなたの家にお邪魔していい?」


「え?」


突然のことに俺は驚いた。


「美鈴ちゃんとお話もしてみたいし…」


「ああそれなら構わないけど…もう遅いし、家の許可とか取った方がいいんじゃないか?」


俺は至極まともなことを言ってみた。


「大丈夫、そんなに長くいるわけじゃないから」


「そうか…」


俺はこれ以上は言わないことにして、西岡を家に上がらせることにした。















「ただいま〜」


「あ、お兄ちゃん!お帰りなさい!」


俺が家に帰ると、美鈴が俺の元へと走ってきた。

まったく…健気で可愛いのう…


「あ、この人は生徒会副会長で、朱里の先輩にあたる西岡さん」


「初めまして、西岡静です」


「あ、はい…鎌倉美鈴です」


美鈴と西岡は互いにお辞儀をし合っていた。

美鈴もこういうところは朱里に教育されている。


「朱里は帰ってきてるか?」


「朱里ちゃんはもういるよ〜」


「そうか」


どうやら朱里もいるということなので、俺が最後に帰宅したということになる。

そして朱里は今、夕食を作っているのだろう。


「だ、そうだけど…」


「お、お邪魔します…」


何故か西岡はカチコチに固まっていた。何か問題でもあるのだろうか。

俺は少し西岡の顔を見た。


「ど、どうしたの?」


「いや、それはこっちのセリフ」


「私は何でもないわよ。うんうん、別に初めて男の子の家に上がって緊張しているとか、そんなんじゃないから」


「…」


この人、完全に今しゃべったよね?

俺は聞こえてたぞ。しかもこの人自分の言ったことを意識してないし。


「そうだ!」


俺は手をポンと叩いた。緊張をほぐすいい方法がある。


「西岡、ウチで夕飯食べてけよ」


「ふえぇぇぇぇ?!」


何そんな可愛い声を出してやがる。俺は変なことは言ってないぞ。

そもそも西岡が言っても似合わないし。


「美鈴もいいよな?な?」


「朱里ちゃんは何て言うかなぁ…」


何でそこで朱里を出すんだ?美鈴さんとやら。

まさか朱里が女を家に入れた俺を恨むか?それとも嫉妬に駆られて西岡を刺すか?

そんなサイコホラーな展開は誰も望んでいないぞ?それに朱里が嫉妬する理由も分からないしな。


「お兄ちゃん、もし空の鍋を朱里ちゃんが掻き回してたら?」


「…なあ美鈴。そんな知識、知らなくていいんだぞ?」


俺は西岡を玄関に待機させ、朱里のいるリビングに向かった。


「朱里〜ただいま〜!」


カラカラ…


「?!」


そこには何か変な音を出しながら鍋をかき回している朱里がいた。


「お帰りなさい兄さん…中に何もありませんよ」


「ほわぁい!!」


朱里がおかしくなっちまった〜〜〜!!


「なんて、冗談ですよ兄さん」


「心臓を止まらせるようなことを言うんじゃない」


俺は朱里の頭に軽くチョップした。

朱里は随分と俺に対して遠慮がなくなった、というか自然になった。

そう、前よりも親密になったのだ。


「それでだな、西岡も夕食の席に入れて良いか?」


「兄さんの幸せが…私の幸せですから…」


「冗談もいい加減にしろ」


わざわざ目を開いて演技までする朱里。

随分と明るくなったものだ。というか生徒会合宿で片鱗は見せられていたが。


「もちろんいいですよ。西岡先輩にはお世話になってますから」


「そうか」


俺は玄関にいるだろう、西岡を呼びに行った。


「おーい、西岡〜?」


「そして彼女を見たものは誰もいなかった…」


「コラ美鈴。西岡はどこだ?」


今日はみんなして俺に冗談を言う奴ばっかだな。


「ここです」


背後から声が聞こえた。


「いたんですか」


「ずっと」


「…って俺までノっちまったじゃね〜〜〜か!!」


西岡は俺の後ろにいた。

というかお前らはしゃぎすぎ。

いくら明日文化祭でもなぁ…


「朱里から許可貰ったからいいぞ」


「本当?」


西岡は何だかホッとしたらしく、胸を撫で下ろした。

つうかもう美鈴と仲が良くなったのか。美鈴は社交的だな。


「ああ」


俺達はリビングルームに向かった。



















夕食の席、美鈴の発言により、食卓の空気が変わる。


「ところで、静さんは、お兄ちゃんの彼女?」


「はぁ?!」


俺は素っ頓狂な声を上げた。

何せそんなことを言われるのは予想をしていない。


「違うの?」


「違うよ!俺達がそんな風に見えるなんてどうかしてるぞ?なぁ?」


俺は西岡に話を振る。


「まあどうかはしてないけど違うわよ。それはあくまで将来的な話であって…」


「え?将来的?」


「あわわわわ!何でもない!何でもない!」


西岡が急に慌て始める。こいつは何を言い出すんだ。


「兄さんのご飯です」


そのとき、朱里にお茶碗を渡された。何故か心なしか少ない気がする。


「なあ朱里…」


「どうしたんですか?」


朱里がニッコリしながら俺に笑う。


「なんかご飯の量が…」


「どうしたんですか?」


このニコニコ笑い、誰かに似ていると思ったら…あいつか!

あの腹黒生徒会長!


「えーと…少ない気が…」


「どうしたんですか?」


「だからですね…」


「どうしたんですか?」


「…何でもありません」


俺は折れた。なんか朱里、生徒会長に毒されてないか?

それとも俺が何かしてしまったか?


「へぇ…お兄ちゃんって問題児だったんだ〜」


「そうなのよ。私達生徒会も手を焼いててね…」


向かいでは美鈴と西岡が俺の話題で盛り上がっている。

というか問題児の頃(今も授業は寝てる)の話はしないでくれ…


「ところで鎌倉くん、明日の文化祭、予定入ってる?」


「え?!」


「に、兄さんは私と回る約束を!!」


「はい?」


何か答えは俺の口ではなく、隣の口が言った。

つうかそんな約束したっけかな?


「朱里ちゃんは仕事があるじゃない」


「う…」


朱里は少しうろたえた。しかし、途端に目が光る。


「それは先輩だって同じです!」


「だから私は暇だったら手伝ってもらおうかと思っただけよ」


「しまった…その手が…」


何やら生徒会合宿のときの朱里が目覚めそうですね。

俺は西岡と朱里を見比べた。


「で、空いてる?」


「に、兄さん!実は私も手伝って欲しいんです!」


「あ、朱里さん?」


何故に対抗意識を燃やしてるんだい?

俺は答えに窮す。この状態、確かあの時も味わった。

確か解決策は…


「すまん。俺、美鈴と一緒に回る」


「え?」


俺は美鈴を見る。

この選択肢が無難に違いない。


「美鈴を一人にしておけないしな」


「そ、それなら仕方ないわね…」


「美鈴ちゃんをよろしくお願いします」


二人は仕方なく納得してくれたようだ。

いや、美鈴様様。


「…計画通り」


だから俺は最後の美鈴の発言は聞き流すことにしたのだった。



次回は仁編です。


若干シリアスだったり。


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