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第16話 悪夢のRING

やっと核心に迫っていくのかな?


今日も元気に更新です。

ここは…?ここはどこだ…?

俺は暗闇の中ただ一人立っていた。

俺は確か…家にいなかったか?

曖昧な記憶と感じる違和感。そのどれもが俺を混乱させる。

やがて、暗闇は裂け、一つの光景…記憶の中にある悪夢を映し出した。


「…!!」


人々の悲鳴と子供の泣き声。

燃え盛る炎の朱と人間の血の紅。


「何でこれが…」


俺は頭を抱える。いや、抱えることは出来なかった。

今回の夢はリアルさを追求しているのか、自分も物語の登場人物になっていた。

そう、俺の左足は今、瓦礫の下敷きになっていた。


「っ…!!」


夢の中の「俺」とシンクロするように、俺の左足に激痛が走る。

頭からは血が流れる。どうやら強く打ったようだ。

しかし、あまりの痛みのため、眠ることは許されず、ただひたすら苦しみにもがくことになっていた。


「父さん…」


父と母の姿が見当たらない。

まあこんなときに探している場合ではないのだが、俺は気を紛らすために行なっていた。


「母さん…?」


血に濡れた目では赤の光景しか見えない。

目に映るもの全てが赤では父と母の最悪の事態も想像してしまう。


「うああああああああ!!」


俺は叫びながら父と母を捜す。

しかし左足が瓦礫に挟まり、抜け出せない。

俺はただその場で暴れるだけで動けなかった。


「イタイ…イタイ…!」


そんなとき隣から声が聞こえた。

俺は隣を見た。

そこには俺より少し下の年の女の子が顔を血塗れにして俺を見ていた。

助けを求めているかのように。


「熱いよ…助けて…!」


少女の悲痛の叫びが俺の心に響く。


「お兄ちゃん…」


「!!」


俺の心臓が大きく跳ねる。

何だ?この感じ…俺は隣の少女なんて知らない。

この少女は俺に助けを求めているだけなのだろう。

なのになんだこれは。俺はどうしてしまった…?

そんな考えも束の間、夢の中の俺は意識を途切れさせた。

まるで夢から逃れるかのように。










「!!」


俺は飛び起きた。


「はぁ…はぁ…」


時刻は午前0時過ぎ。

随分寝てしまっていたみたいだ。しかも床の上。いや、寝たより倒れたといった方が正しいか。

俺はノロノロと起き上がり、台所で水を一杯飲む。


「はぁ〜…」


そして乱れた息を整える。

朱里は?とそのとき初めて思ったが、机の上の置手紙を思い出す。

俺はその後、戸棚の引き出しから薬を取り出して口に含む。

その苦さを水で流し込み、精神を落ち着かせる。


「はぁ〜…すぅ〜…はぁ〜…」


一生懸命深呼吸をして、心を安定させる。


「もう…解放して欲しいんだけどな」


いつまでも夢に縛られっぱなしの俺。過去に縛られっぱなしの俺。

もう未練なんて無いはずなのに、何でこんな夢をまだ見なくてはいけないのだろう。

今は朱里がいて、仁がいて、穂もいる。タカと奏もいて、俺は充実した日々を送っているはずだ。

いつまでも囚われてちゃ前に進むことなど出来はしない。

だから俺は夢を諦めた。希望を捨てた。よって今の生活がある。

…こういうとき、朱里がそばにいてほしいと思う俺はシスコンであろうか。

他人のぬくもりを求めたいと思うことは良くないだろうか。

俺は携帯からタカの電話をかける。

アイツならこんな時間でも起きているはずだろう。


「もしもし…」


「ああ。俺だ」


タカの気だるそうな声が聞こえてくる。


「どうした?」


「まさか取り込み中だったか?」


「いや、もう終わった」


「早いな。年か?」


「お前、そんな嫌味を言いにこんな時間に電話かけやがったのか?」


どうやらタカの「お取り込み」は終わっているようで助かった。


「いや、急に声が聞きたくなったんだよ」


「お前、キモチワルイな」


タカのドン引き声が電話から伝わってくる。


「ははは。悪いな」


「…カナと一緒にお前の家に行こうか?」


タカが急に心配そうな声で俺に聞く。


「いや。もう大丈夫。だから安心して第2Rを楽しんでくれたまえ」


「…お前って性格悪いな」


俺はタカのその言葉を無視して電話を切った。

そして初めて家の広さに気づく。


「この家ってこんなに大きかったっけ?」


俺はノソノソとした足取りで部屋に戻る。

今日は寝られそうに無いので、クリハンでもやることにする。

…何回も死んだ。












「ふあ〜あ…」


俺は結局朝までクリハンをしていた。

もちろんはまってしまったせいもある。いや、むしろ今はそっちが主か?


「ていうか準備しよ…」


俺はゆっくりと立ち上がってゆっくり準備をした。

もし使用人がいたらぜんぶやってくれるのかな〜?みたいなことを考えたが。あまりに非現実的でむなしくなった。


「朝飯は…」


俺はテーブルの上に残った昨日の夕飯を見た。

そういえば食べてない。というか腐ってないかな?

俺はそんなことを思ったが、一日ぐらい平気だろうと思い。ラップを開けた。


「…相変わらずいい腕してるよな」


朱里の料理の腕は大したものだ。母さんもその上達ぶりを褒めていた。

これならいいお嫁さんになれる、と母親に言われて顔を真っ赤にしてたっけ…

俺はそんな昔の思い出を思い出しながら、ラップを再び被せ、電子レンジに皿を放り込んだ。

その皿の隣にある5千円札は食事代であろう。多すぎるような気もしなくもない。

朱里…俺が無駄遣いしたらどうする。いや、しないけどさ。


チン


「あ」


俺は電子レンジから皿を取り出し、朝食の準備をする。

面相くさいが皿洗いもしないとな…

俺はそんなことを思いつつ、朝食に箸を付けた。












―生徒会室―


「フ、フ、フフフフフ」


朝の生徒会室で生徒会長が黒い笑みをこぼし始める。


「経明。朝っぱらから気味が悪い」


それを風紀委員長の彼が嗜める。

いつもどおりの光景である。


「いや、ゴメン。つい…」


「お前がそこまで笑うということは「アイツ」のことか」


「まあね」


生徒会長は一枚の写真と雑誌を風紀委員長に見せる。


「こ、これは…!!」


風紀委員長の体が驚愕で、硬直した。

心まで動揺している。


「鎌倉涼平君って本当に面白い子なんだね〜」


「経明…お前、何を企んでいる」


「さあね」


彼はそう言って再び口元を歪ませる。

性格の悪さを隠さないだけタチが悪い…

そして彼は窓の外を見て思案する。

これから何が起こるのか、それを思い、彼はまた笑ったのだった。



次回はリョウの過去の一部が明らかになります。

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