第13話 私達のHOME
1週間連続更新だ〜〜〜〜!
今回はオール朱里視点です。キャラは壊れません。
ちょいシリアスめかな?
ユニーク5000人突破しました。
読者の皆様、ありがとうございます!!
「あの」ヤバイ合宿は終了し、兄さんに再び平穏がやってきた。
あのときは私もちょっとやり過ぎた感があった。
でも、負けたくなかった。私は兄さんの妹。それは分かってる。
それでも負けたくない。いくら結ばれなくても兄さんを思う気持ちは誰にも負けたくない。
だから今日も精一杯兄さんのお世話をして、兄さんの役に立つように頑張る。
それが私の幸せだから。
「兄さん、朝ですよ」
「あ、ああ…」
私は兄さんを起こし終わり、キッチンに戻る。
朝ごはんの支度をするためだ。
これは私のいつもの日課。こんな幸せな日々、ずっと続けばいいのに。
そう思う私はちょっと我儘。表には出さないけど、私は結構我儘。
例の合宿のときもつい対抗意識を持ってしまった。
幸い、兄さんは去年のこともあり、恋愛のことは人一倍鈍感になってしまったので、他の人の気持ちに気づいていないけど。
でも去年の事件は兄さんにとっては黒歴史だから、私が話すことは無い。
しかし…兄さんはまだ自分の気持ちを隠してる。隠してるというか気づいていない。
兄さんは人一倍鈍感になってしまったから気づかなくなってしまった。
2年半前、確かにあったあの熱い気持ち、兄さんは忘れてしまった。彼女とともに。
「朱里〜。お、いい匂いだな」
「あ、兄さん」
物思いに耽っていると兄さんがやってきた。
随分眠そうだ。また遅くまでゲームをやっていたのだろうか。
「ふあ〜あ…ラストファンタジー7は名作って言われてるけど、どうにも戦闘システムがなぁ…」
「兄さんやっぱりゲームしてたんですか?」
「まあいいだろ」
私はクスリと笑う。兄さんのことが分かって嬉しい。
それだけ私は兄さんのことを理解しているのだ。
「でもあんまりやると目が悪くなりますよ」
「大丈夫。視力にだけは気をつけてる」
…やっぱり。兄さんは変わっていないことがある。
「視力に気をつける」は昔から兄さんのやっていたこと。
やっぱりまだ残っているんだ。でも兄さんは気づいてない。
「はい、冷めないうちに食べてくださいね」
「ああ。悪いないつも」
「「いただきます」」
私と兄さんは料理に箸をつける。
やっぱり家族一緒にご飯を食べるのはいいことだ。
私は食べている兄さんを盗み見しながらご飯を食べた。
いつもの癖でついやってしまう。ついつい目で追ってしまう兄さんの姿。
「ああそうそう。今までのスタンプを帳消しにする件、嘘だったらしい。腹立つよな」
「ハハハ…」
私は乾いた笑いを返す。兄さんには悪いが、私にはいい思い出になった。
そして生徒会長に心の中で小さくありがとうと言った。
「ま、お詫びにこれから俺の監視が甘くなるらしい。でも風紀委員長基準だからあんまりアテにはならない」
「そうですね。結局嵌められただけでしたね」
「ホントにな」
兄さんは少し憤慨しつつも、そこまで怒っていなかった。
兄さんは滅多なことで怒らない人だ。まあ怒るのも面倒くさいって言う人なんですけど。
おかげで私は今まで兄さんに怒られたことが無い。
そのせいか、かなり兄さんに引っ付くことになってしまった。
「おっと、今日は出かけてくる」
「どうかしたんですか?」
「仁たちがあの合宿のお詫びに昼飯を奢ってくれるんだと。夕飯までには帰ってくるから」
「分かりました」
私は兄さんのお願いを了承した。
少し寂しいけど、穂さんたちとの交友も兄さんにとって大事だ。
それに私にとっても大好きな先輩達だ。兄さんはいい友達に恵まれました。
「じゃあ私が後片付けをやっておきますから、兄さんはどうぞ支度してください」
「悪いな。ま、いつものことだけど」
「そうですね。クスクス」
兄さんは準備をしに自室に戻り、私は皿洗いなどの後片付けを始めることにした。
兄さんがいなくなり、この家には私一人だけになった。
「お掃除しましょうか」
私は丁度いい機会なので部屋のお掃除をすることにした。
「まずは兄さんのお部屋」
私は兄さんの部屋に入る。
まず目に入るのはそこらへんに散乱しているゲームソフトや雑誌。
もちろん漫画雑誌。まあそれ以外もう買わなくなってしまったのだが。
「相変わらず散らかってるんだから!」
私は少しだけプンスカ怒ったが、掃除しがいのある部屋にやる気もみなぎった。
「そして…」
私はベッドの下やクローゼットの裏を見る。
ここが要注意ポイントだ。
兄さんは私にばれていないと思っているのかもしれないが、それは私が言ってないだけ。
まあたまに妹系のそういう雑誌を見つけると少し嬉しくなったりするが、所詮それはそれ、これはこれ。
私の気持ちが複雑になるのには変わりはない。
プルルルル
「あ、電話!」
珍しくぼうっとしていたら電話がかかってきた。
私は急いで電話を取りにいく。
「もしもし」
「あ、朱里ちゃん?蘭だよ蘭ちゃんだよ〜!」
「蘭ちゃん?どうしたの?」
電話の相手は蘭ちゃんだった。
彼女とはクラスで一番仲がいい。この家に上げたのも彼女が最初だ。
「今日みんなとカラオケ行くんだけど〜、一緒に行かない?」
「ごめんね。今、兄さんの部屋片付けてる最中だから」
「え〜!相変わらずのブラコンさんだね〜朱里ちゃんは」
蘭ちゃんが茶化すような声で私に話しかける。
「じゃあ終わったら来る?」
「終わったら夕飯の買い物に行かないと。あ、あと兄さんのおやつも」
「…うん。朱里ちゃんのお兄ちゃんへの気持ちは良く分かったよ。また今度誘うね〜」
「うん。ごめんね」
私は電話を切った。事実上兄さんのせいで遊びに行けなくなってしまったわけだが、私はなんとも思ってない。
むしろ兄さんに好かれるなら喜んで友達の誘いも断ってしまうだろう。
「さ、続き続き」
そしてふと兄さんの机の1箇所に目を留めた。
「この人は…」
兄さんと一緒にプリクラに写っている人。あの人だ。
木曽彩華。去年兄さんと仲が良かった人。
去年の事件の元凶というべき存在。
「兄さん、どうしたんですか?」
ドンドンと私は兄さんの扉を叩いた。
昨日突然帰ってきた兄さんは、夕飯いらないといって速攻寝てしまった。
だから早く起きるものだと思っていたのだが、部屋から出てこない。
「兄さん、入りますよ」
私は兄さんに無断で部屋に足を踏み入れる。
真っ暗な部屋に明かりを灯し、寝ている兄さんを見る。
そこにいたのは綺麗な寝顔の兄さんではなく、目がはれ、目から滴り落ちる水滴の跡のある、兄さんだった。
「兄さん?!」
泣いていたのだろうか。思ってみれば帰ってきた頃から様子が変だった。
無理にでも理由を聞いておくべきだったのかもしれない。
ピンポーン♪
そんなとき、能天気なチャイムの音が家に木霊した。
「はい!」
兄さんが気がかりだったが、訪問者を待たせるのもどうかと思うので、私は玄関に向かった。
「はい!すぐに出ます!」
私がドアを開けたそこに立っていたのは綺麗な女性…いや、まだ少女が抜け切っていない女子高生かもしれない。
「どちらさまですか?」
「えーと…鎌倉涼平君の友達の木曽彩華と申しますが…」
彼女はちょっとオドオドしながら私に自己紹介した。
それにしても木曽…木曽?!
「すいません、昨日ウチに電話をかけた方ですか?」
「はい!そうです!」
どうやらビンゴらしい。
つまり昨日兄さんと一緒にいた可能性の高い人。
私は彼女から兄さんに何が起こったのか訊くことに決めた。
「それで、ご用件は?」
「あの…リョウ君…涼平君いらっしゃいますか?」
どうするべきか、いないと答えるべきか。
しかし嘘はよくない。私は本当のことを言うことにする。
「すいません。兄さんは疲れて眠っています。何なら用件だけでも伝えておきましょうか?」
私は優しい声で言った。意識していないつもりなのだが、兄さんと親しい女性(穂と奏以外)にはつい棘がある口調になるときがあるらしい。
だからこういうときは特に気をつけなければ。
「いえ…また来ます」
彼女は浮かない顔をして帰ろうとした。
しかし私はそれを許さなかった。
「待ってください。私、あなたに訊きたいことがあるんです。お時間頂けないでしょうか?」
彼女は少し思案した後、黙って頷いた。
それを確認し、私は彼女をリビングに招きいれた。
「今、お茶を淹れますね」
私は夏なので、氷入りの冷たい麦茶を出した。
「冷たいもの、平気ですか?」
「ええ…」
彼女は少し緊張しているみたいだ。
私はそんな彼女に構うことなく席に座って彼女の反対側に座った。
「それで、話のほう…分かっていると思うんですけど」
彼女は頷いた。
「兄さんに昨日、何があったんですか?」
「私は…とても嫌な女…」
彼女は一から話してくれた。
兄さんと出会ったのは入学前だということ。
1学期の頃はよく話していたこと。
自分は武蔵先輩にフラレてしまったこと。
兄さんを慰めに使ったこと。
そして…兄さんを傷つけたこと。
「…私…許されるなんて思ってない」
「…すいません。歯を食いしばってくれませんか?」
私は彼女に高ぶる感情を抑えてそう言った。
「…はい」
パチーン!!
私は彼女を一発、力強くひっぱたいた。
「っつぅ…」
彼女は赤くなった頬を押さえた。
今の一発に私の怒り、悲しみ、そして…嫉妬の感情がこめられていた。
「すいません。どうしても抑えきれませんでした」
「分かってるわ…お兄さんだもんね…」
「兄さんだからじゃない!!」
「?!」
「あ…」
私は彼女のびっくりした顔にハッとなった。
「すいません。怒鳴ってしまって」
「ええ…気にしてませんから…」
「私が謝る場を作ります。だから絶対謝ってくださいね。兄さんが許すまで」
「うん…」
彼女は自信と不安の両方が入り交じった表情で頷いた。
「すいません。これで用件は終わりです。今日はお帰りください」
「え?」
「また後日、連絡します」
「ええ…分かったわ」
私は彼女を見送るのをそこそこに、兄さんの部屋に向かった。
「兄さん。聞いてのとおりです」
「…お見通しか」
「そりゃあわざと兄さんに聞こえるくらい怒鳴ったんですから」
「そうか…」
兄さんは気の進まなそうな顔をしている。
それもそうだろう。傷を負ったばかりなのだ。兄さんは。
「私の面目、潰さないでくださいね。彼女に謝る権利くらい与えてください」
「ああ…分かってる」
そうして私は兄さんの部屋を出て行った。
「懐かしい…いい思い出じゃないけど…」
私は彼女と兄さんのプリクラを見てそんなことを考えた。
「涼平…さん」
私は彼の名前を口ずさむ。
そういえばしばらくそれを口にしていないことにも気づいた。
しかし…
「あ…」
掃除が全然終わっていないことにも気づいてしまった。
私は昼飯を抜くことを決めて、兄さんの部屋のお掃除を始めたのだった。
最後のキャラの外見
生徒会長(すいません、名前覚えてません)…身長は177センチ。茶髪の天然パーマ。
弁慶次…身長は183センチ。目つきが鋭い。黒のセミロングヘア。
静…身長は163センチぐらい。髪の毛は黒のショート。登場キャラ一のサラサラヘア。胸が無い。
蘭…身長は150センチほど。髪の毛は栗毛のショート。毛先をわざとはねさせている。いうまでもなく幼児体型。
次回は最初に作った話です。(この話からこの小説を作った)