第12話 SUPER LOVE FIGHT
生徒会長のターン!いや、妹のターン?!と思いきや委員長のターン?!そして副会長のターン?!そして何故か「奴ら」のターンも!風紀委員長のターンもあるぜよ!そしてリョウには回りません。
※今回もキャラ崩壊注意(特に前回で病みかけた人)
「いやあ愉快愉快!」
「…」
目の前には笑い転げている生徒会長一名。
何だか殺意が湧いてくるのは気のせいなのであろうか。
「まあいいじゃないか。君のシスコンは結構有名だからね」
「いいわけあるか」
何でこんな人が生徒会長に…
まさかやっぱり裏関係か?!
「経明…ほどほどにしとけよ。こいつがグレるかもしれん」
「…ごめん、慶次。実は今からとある企画をしなければいけないんだ…」
俺は体の至るところが震えた。まさか…まさか…まさか!
嫌な予感は当たるというものだ。なのに俺はまだ信じてる。当たらないかもしれない、と。
「女子全員をロビーに集合させよう。慶次、お願いできる?」
「…仕方ないな」
風紀委員長はやれやれという感じでため息を吐いた。
そして俺に初めて哀れみの視線を送った。
「さて、どういう意味かな…」
俺は冷静に風紀委員長の視線を分析してみた。
しかしやはり嫌な予感しかしなかった。
ロビーにこの合宿に来た女子だけ集まっていた。
まあ女子だけというのがなかなかヤバイ。
一体この人は何を考えているというんだ?!
「突然の呼び出しで悪いね」
生徒会長は天使の微笑で周りを見渡す。
女子達よ、この微笑に騙されてはいけない。
「実はある企画をやってもらいたいんだ。あ、もちろん参加は自由だよ」
女子達は固唾を呑んで見守っている。もちろん俺も。
一体何が始まるというんだ?
「やってもらいたいことはね…鎌倉涼平争奪戦その1〜鎌倉涼平籠落第作戦〜だよ」
「は、はぁ〜〜〜〜?!」
みんなかなり驚いたが、何よりも俺の声が一番大きかった。自信はある。
「…ていうかその1かよ!その2とかもまだあるのかよ!」
俺は嫌だ!もうこの合宿嫌だ!
しかし生徒会長はスルーして話を続ける。
「詳細を説明しよう。参加者達はいくつかの競技をやってもらう。審判はもちろん彼自身がやってくれる。本人了承済みだよ」
「いつ?!」
「で。参加する人はいるかい?」
俺の発言はシカトされ、面倒な事態が始まった。
これはどうすればいいのだろう?逃げることなど出来はしない。
「…(逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ)」
逃げたら停学になってしまう!!
俺は意を決して女子たちを見る。
どうせ誰も手を挙げはしないと思ったのだが…
「え、ええ?!」
10人くらい手があがっとる〜〜〜〜?!
中には朱里や委員長、西岡さんまで?!
「うん、分かった。最初の競技を説明しよう。最初の競技は鑑定だ。みんな様々な自己アピールをするんだ。それで合格か不合格かは彼が判断するんだ。シンプルな競技だから説明は必要ないね」
俺をチラリと見る生徒会長。
おい、何だその行動は。激しく嫌な予感がするぞ。
「慶次、例のものを持ってきて」
「ああ」
生徒会長に言われ、なにやら変てこな機械を持ってきた風紀委員長。
「これで彼に審判してもらう。ボタンを押してピロリン♪と鳴ったら合格。ブーブーと鳴ったら残念ながら不合格。で、もちろん優勝者には…明日の自由行動で彼とデートしてOKというものだ!もちろん彼は了承済み」
「おい」
もう何を言っても無駄なんだな。
俺は言い返すのが面倒くさいので、流されることにした。
「で、君にはこの機械の使い方を教えてあげよう。基本的に君はここにあるボタンを押すだけでいい」
生徒会長は変てこな機械の赤いボタンを指差した。
「ボタン一つで何が出来ると…」
「この機械は瞬時に君の脳内アルゴリズムを読み取って結果を表してくれる優れものなんだよ。だから押すだけで結果が分かってしまう」
「…胡散臭い」
「さ、学校の電話番号は…」
「いやぁ生徒会長は稀代の天才でございますよ」
…もう何が何だか。
とにかく分かったことがある。
合宿中はこの魔の手から逃れられないということ。
「さあさあさあ!ゲームも終盤!しかし誰一人彼の心に響いていない!!そしてそんなこんなで残り3人!」
生徒会長がハイテンションで実況をする。
彼の言ったとおり、まだ誰一人合格者は出ていない。
そして俺は適当にボタンを押しているだけ。つまりこれは出来レース。
会長が後ろで合否を判定しているに違いない。
「さあここで優勝候補の出現だ!!鎌倉涼平君と一つ屋根の下で暮らす妹!!鎌倉朱里!!」
「ていうかいかがわしい表現は止めてください」
俺は超小声でツッコミを入れる。なぜならまた携帯を取り出されそうになるから。
「では、アピールをお願いします!」
「に、兄さん…私の気持ちを…受け取ってください…」
朱里は恥ずかしそうに俯いて俺の前に出た。
「ずっと…一緒に暮らして…一緒にいて…一緒にご飯食べて…一緒にお風呂に入って…一緒に寝て…くださいね」
「うぉぉい!!」
「はいはい!そこまで〜〜〜!!」
俺はどんどん壊れていく朱里に驚愕する。
こうして俺の周りに正常な人間はいなくなった。
「ではボタンをどうぞ!」
俺はボタンを軽く押す。
ピロリン♪
「おお!!さすがはシスコンなのか?!初めての合格者〜〜〜〜!!!」
「…」
アンタが操作してるだろ。
「良かった〜、嬉しいです」
朱里はホッと胸を撫で下ろす。
俺はいろいろ恥ずかしいよ、もう。
「じゃあ次は…彼のクラスの委員長…そしてこの合宿のお目付け役!!一之谷春海!!」
「わ、私はクラス代表ということで…負けたらクラスの威信に関わるの!!だから絶対に負けられない!」
彼女はわざわざ俺にそういうことを説明した。
別に言わんでも分かるって。この人は何を考えているのかさっぱりだ。
「ではスタート!!」
「か、鎌倉君?ま、真面目に勉強してよねっ!!」
「は?」
それってアピールか?全然ときめかんぞ。
「はい、終了〜〜〜!!」
しかもこれでアピール終了。どう考えてもこれはないだろう。
「さあボタンを押してください!」
ピロリン♪
「はぁ?!」
何で鳴ったんだよ!!
「な、なんと合格だ〜〜〜〜〜!!!」
「ま、まあこれくらいは出来ないとね」
いや、出来てませんから〜〜〜!!残念〜〜〜!!しかも古〜〜〜!!テンション高〜〜〜!!
俺も壊れた。もうどうにでもなれ。
「これは意外。強気な女性も好みなのか?!」
生徒会長の声にも俺は無反応。とりあえず素数を数えてみる。
1、2、3、5、7、…(1は素数ではない)
「では最後彼の元クラスメートで、かつ生徒会副会長代表!西岡静!!」
「私も生徒会副会長の意地があるの!絶対に負けられないわ!」
いやいや生徒会副会長代表ってなんですか?
さらにカオスになってきてますよ。
「ではアピールスタート!」
「え、えーと…わ、私は料理が得意なの。後その…裁縫とか、洗濯も得意なの。だ、だから…私にその…私と一緒に住めば困ることなんて無いよ?…って私何言ってんだ〜〜〜!!」
「はいはいはい!終了〜〜〜!!」
西岡さんが頭を抱えていた。かなり赤面している。
そりゃそうだ。アピールタイムというかプロポーズタイムみたいなものだからな。
「では、ボタンをどうぞ!!」
ピロリン♪
「え?」
西岡さんが驚愕した。それもそのはず。俺も驚愕している。
「本当にいいの?」
西岡さんがわざわざ俺に訊いてきた。
ここでいや、ダメだとか言ったらどうなるだろうか。やっぱり停学か?
「ああ。心に響いた」
俺はとりあえず当たり障りの無い(んなわけねえだろ)言葉を選んで言った。
「う、うん!ありがとう!!」
彼女は妙に上機嫌に俺の前から去った。
それを不機嫌そうに朱里と委員長が見ていたが、俺は知らんぷりだ。
「では次の競技は…」
「その勝負!ちょっと待った〜〜〜!!!」
「?!」
外から大音声が聞こえた。
俺達は全員外を見る。
「何だこの声は?みんな!外に行こう!」
生徒会長の声は少し切羽詰っている。
これは想定外の出来事なのだろうか。それともう一つ、何故かこの音声は聞き覚えがあるのだが。
そして外に出た俺達が見た光景は想像していないことだった。
「き、気球?!しかもみんな!」
そこにいたのは気球を膨らませているタカ、仁、穂、奏だった。
どうしてこんなところにこいつらは?!
「私達を差し置いてリョウの取り合い?いい度胸ね」
奏が低い声で言う。何か怖いんですけど。
「リョウは俺達の共有財産だ!」
タカが叫ぶ。というか俺って共有財産なのか?
「つまりアタシ達も参戦させてもらわなきゃダメね」
穂がニヤニヤこっちを見て笑う。
「そうだそうだ!ぽっと出の女達に俺達のリョウが取られてたまるか!!(くっそ〜〜〜!!リョウばかりいい思いしやがって〜〜〜!!徹底的に邪魔してやるぞ!!)」
仁は何となく本心が読める。アイツだけは別のことも考えていそう。
例えば女に囲まれて羨ましい、とか。
「私ぽっと出じゃないんですが…」
朱里がボソッと言うも、彼らには届かない。
「ちょっと貴方達!いきなり何するんですか!!」
委員長はタカたちに抗議を申し立てた。
「するのはこれからよ。そ〜れ!!」
「え?」
穂が俺に何かを投げた。…縄のようだ。
「ちょっ!いきなりなんだよ?!」
俺は飛んできた縄を慌てて掴んだ。
全く、危ないったらありゃしない。
「フッフッフ…引っ掛かったわねリョウ!!」
「は?」
俺は縄を穂に返そうとするが…
「な、何だこれ?!て、手が離れない?!」
「どうだ!接着剤塗りたくった縄の威力は!!」
いや、威力じゃぁないだろ。
「ふん!!」
「うわっ!!」
しかし次の瞬間、穂は縄を思いっきり引っ張った。
もちろん縄と一体化している俺も引っ張られた。
「な、何だよ!」
「ハッハッハッハ!!リョウは貰ってゆくぞ!!」
仁が高笑いしながら生徒会役員達の方を見る。
ちなみに、気球も準備が整ったようで、俺も乗り込まされた。
「何てことだ!!よし、こうなったら気球をエアガンで撃ち落そう!!」
生徒会長は何を考えたのか、朱里、委員長、西岡さんにエアガンをそれぞれ一丁ずつ渡した。
まさか…
「これで彼を助け、最初に鎌倉涼平君にタッチしたものをこの競技の勝者としよう!!」
生徒会長が高らかに宣言する。そしてそれと同時にあることを確信した。
「お前ら…生徒会とグルか」
「よく分かったわね」
穂が悪びれもなく答える。
「少しは誤魔化す努力をしろ」
どうやらこれも出来レースの一つ。結局俺は会長の掌の上で踊らされていたのか。
「っと!エアガン撃ってきたぞ!みんなしゃがめ!!」
「うぉおい!!」
本当に下からエアガンが飛んできた。
俺に被弾したらどうするつもりなんだ?!
「リョウ、今からワイアーを付けて下に落とすからね?」
「ほわぁっと?!」
俺は奏の非現実的な発言に頭が壊れた。
「くっ。こしゃくな。しかしききゅーをうちおとされたらひとたまりもない。ここはりょーをかえしてやろー」
タカがメチャクチャ棒読みで下に告げた。
何だよこれ。あ、考えるの面倒くさくなってきた。
「それっ!」
「おわっ!!」
そんなとき、俺はタカと仁に抱えられて下に投げ落とされた。
「おわぁ!俺達に友情なんて無いのか〜〜〜!!」
俺は絶叫しながら下へと落ちていく。
「あ!彼を最初に抱きとめれば勝者になれるよ!!」
生徒会長の発言に「あの」3人は目に火をつけ、俺の落ちる先に全力疾走した。
こいつらって俺のことを考えているのかな?
「…なんか生徒会長一人勝ちって感じ?」
そのころ、気球の上でそんなことを仁が話した。
「フッフッフ。そうはさせないわよ。タカ、穂、例の作戦よ」
「ラジャー」
「オッケー」
タカと穂は俺のワイヤーに手をかけた。
「れっつショータイム!」
奏の声を合図に、俺は朱里たちが走ってくる方の逆側に引っ張られた。
「な、何だ?!」
「北条流奥義、アネクスペクタブル・エンド!」
俺はそのまま勢いに乗って別の方へ落ちていく。
そして目の前に人影。
「うわぁ!危ない!!」
ドン!!
俺はそのままその人影とぶつかってしまった。
あ、そういえば俺に初めて触れたからこの人が勝者になる。
朱里か?それとも委員長?西岡さん?
「大丈夫か?鎌倉涼平」
「え?」
その声は何故か男のように低く、聞いた事のある声であった。
「ふ、風紀委員長?!」
と、いうことはこの勝負は無効か!
「おおっと!これは予想外!勝者!弁慶次!!」
「「何だそれは〜〜〜!!!」
俺と風紀委員長は同時に叫び声をあげた。
「に、兄さんってそういう趣味が…」
「か、鎌倉君!そんな変てこな愛はダメですよ!!」
「わ、私が矯正してあげようか?って何言ってんだろ私…」
「あの」お三方が口々にそんな言葉を口にする。
「いやあこれは愉快だ愉快。北条奏…彼女に一本とられたか」
生徒会長は大笑いしまくっている。ちなみに他の人たちも。
「くっ…」
俺と風紀委員長は屈辱に顔をゆがめるのであった。
そして翌日、俺は風紀委員長と自由行動をともにさせられたことは言うまでもない。
ドンマイ…俺。
キャラの外見的特徴その2
奏…身長は145センチほど。髪はロング+ツーサイドアップ。幼児体型。
タカ…身長は180近く。髪は茶髪ショートでワックスでツンツン系。
彩華…身長は163くらい。髪は茶髪のロングウェーブ。ピアス装着。
委員長(すみません。名前忘れた)…身長は159ほど。髪はセミロングのショート。時々ヘアバンドや眼鏡を装着。
次回に生徒会の3人と朱里の友達を書きます。
ちなみに次回からまた雰囲気が変わります(いつもに戻るだけです)。