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その6
濃い霧の中なのか何の中なのか分からない
ただ
ほわーんと穏やかで優しく
ほんのりとゆっくりで暖かく
そんな何かに包まれている
時間が止まっているかと錯覚する程だ
このままずっとここにいていいよ
体の近くからはっきりと聞こえる
何か必要かい
何も
何処か行きたいかい
いや
何がしたい
ふと現実に戻る
好きにしてくれ
何を
決めてくれ
何を
やめてくれ
心が叫ぶ
誰にも届かない程
自分にしか届かない程
はっきりとしているがとても弱く小さい
怖いものは何もない
何故なら一人だから守るものも無い失うものも無い
それが原因じゃないのかだからそうなんじゃないのか
そうかも知れないいやそうだと思う
前に聞いたことがある
人は家族かお金かどっちか無いと生きていけない
って
間違いない
▶️続く