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神様、仏様の言うとおり!  作者: 浅井壱花
どんどん進めっ
14/44

先に進めっ

朝、普通に起きて互いに身支度を整えて朝ごはんを食べながら、その日の予定を決める。


1人と1匹で行動すると決めた次の日に、拠点として車とタープを残し川の周りを散策したのだ。


来てすぐの日はもうすっかり夜で草原を走っているようにしか感じなかったが、日が上がってから草原を歩けば、所々に拳大の透明なスライムや小さな角の生えたウサギ、人の膝丈くらいの高さのあるカマキリ等の生き物がいた。



このスライムを何匹か捕まえて色々と実験したところ、スライムは排泄物などの生物由来のゴミであれば消化してしまうことがわかった。

ビニールなどの人が作り出したゴミは与えた次の日にはゴミの消化途中に死んでしまう。


あと面白いことにスライムを捕獲していたプラスチックのバケツだが、排泄物や食べ残し、動物の死骸や骨が入れられていればそっちを優先して消化していくのだけど無くなればバケツに張り付きプラスチックを溶かそうとして次の日には勝手に死んでいた。



何日間か初日に拠点としていた所に留まり、散策とスライムの実験をしていたが、そろそろ動こうかとコタロウと相談し川の流れに沿い下流の方に行ってみようか。と話がまとまった。
















『この車は本当に不思議なものだな。いつも社から眺めていたが、吾が乗る日が来ようとは思わなかった。』


開けられている窓から顔をだし、流れる風景を眺めていたコタロウが話し出す。

この相方は思いの外お喋り好きなのだ。


「神獣って普段何して過ごしてるの?」

『人が来なければ退屈な日をすごしておるよ。最近は参拝者も殆ど居なかったしな。』

「ふぅん。神主さん、元気?」

『彼奴は半年前に癌を患って、あっという間に死んでしまったよ。信心深く、あの社を愛していた。』


あ、そうなんだ。

亡くなってたんだ。


「そっか。」


最後に立ち寄ったのはいつだっけ。

ちょっとセンチメンタルになりながらも車を走らせる。

放浪していると数ヶ月、年単位で行く機会がなく、元気にしてるかな?と思った時に会いに行くと年配の方だと亡くなってる場合が本当に多い。

お店や宿なども然り。

一期一会とはよく出来た言葉だと痛感させられることが多かった。








『ユキナ!あれを見ろ!森があるぞ!』


他愛のない話をしながら下流に進んでいけば少し先に森が見えた。

森を迂回して行くにも時間がかかりそうだし、今日はここで一旦ストップして散策しよう。と提案すれば、コタロウもそれに賛成し車を停める。


キャンプの用意をはじめれば、コタロウは周囲を警戒するように周り私の用意が終わるのを待つ。

それから夕食になりそうな生き物や植物を一緒に探しに行ったり、川遊びをするのがいつもの流れだ。



タープを張り、テーブルセットを出して設置していればコタロウがササッと私の元までやってきた。



「どうしたの?」


『…何かくる。』


「え…」




コタロウからの想定外の言葉に硬直してしまう。


そんな私を守る様に車の中から護身用に入れていた熊よけスプレーをコタロウが取ってきて私の手に握らせる。


1度教えただけなのにバッチリ覚えてて賢い子…。



コタロウの向く方へ渡された熊よけスプレーを構え向けば『来るぞ!!!』と言われ息を飲む。


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