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第4話 伐採

「素晴らしい才能だな」


ノイマンは切株になった木の切り口をなでながら、感嘆している。


「この辺の森を3日で丸裸に出来そうな気がしてきたわ」


真剣をまじまじ見つめながら本当にそんな気がする。


「そいつは不味いだろう」


笑ってノイマンは木を見ながら


パチンッ


っと指をならした。


倒れていた木が起き上がり、切株の上にのって切り口がピッタリ合わさった。


木は何事もなかったように風に揺られだした。


「凄い!魔法ってそんな事も出来るの?」


もっとぶつぶつ呪文を唱えるかと思っていたけど指パッチンで真っ二つの木が治るとは!


「心現術でも自分の怪我を治したりは出来る。

さあ、次は斬撃を飛ばしてみよう。

あっちの森に向かってやってみろ」


私は森に向かって立ち、静かに目を閉じた。


特大の斬撃をイメージする。


森が広場になるぐらいの特大のやつを。


大きく息を吸う。


「ぬうあぁぁりゃあぁぁぁっ」


剣を真一文字に薙ぐと特大の斬撃が飛び出した!


斬撃は森の木を2~30本は斬り倒したところで消えた。


木のめきめきという枝の折れる音やなん十本の倒れる轟音がこだまする。


鳥の群れが大騒ぎしながら飛び立っていき、騒ぎが止んで静かになった。


その間2~30秒程だろうか


「アーッハッハハハ」


ノイマンは大爆笑しだした。


「初めてがこれか!心現術を2~3年やっても出来ない奴は出来ないもんだが。

天賦って物を初めて見せてもらったよ。」


ノイマンは森に向かって歩きだした、私も後についていって森に行くと凄まじい光景だった。


何年もかけて育った木々がもうもうと埃を舞い上げて横たわっている。


竜巻が通った後のようだ。


「この剣は魔法剣かなにかじゃないの?」


自分がこれをやったとはにわかには信じがたい。


「おれ自身が魔法を使えるのに魔法剣を持ってても仕方ないだろう?

ただの鋼の剣だ。

にしても酷い有り様だな、このペースで切ってたら森は三日も持たない」


そう言ってまた指パッチンすると木々が立ちあがり自分の切株の上に戻っていって何事もなかったようにさっきまでの光景に戻った。


「魔法って便利ね、私にも使える?」


心現術も良いが指パッチンもやってみたい。


「実は心現術と魔法は相性が悪いんだ。

心現術を使うとその日は魔法が全く使えなくなる」


「なんで?」


「よくはわかっていない、学者先生は心現術は神が世界を創った力だと言ってる。

いわゆる奇跡のみわざって奴だ。

人間は神が自らの血と四大元素を掛け合わせて創られたと言われてる。

つまり神の一部が入ってるわけだ。

他の人間以外の生物が心現術を使えないのは神の一部が入っていないからなんだと。」


「随分都合の良い解釈ね」


学者の見解というより神官の考えだ。


「で、魔法は魔王が創ったとされている。

魔王はこの世をもっと混沌とした世界にしたいらしい。

だから戦う力をわざわざ敵対している人間にまで与えたんだと。」


「なんか辻褄が合うような合わないような感じね?」


「分かっているのは魔法は使ったあとでも心現術は使えるけど、心現術を使うと一気に魔力が枯渇する事、寝て起きたら回復はしているけどな」


…あれ?


「…さっき心現術使ったあとに木を治してなかった?」


「あぁ、実は最初に枝を切ったのは心現術じゃ無くて魔法なんだ」


「なんでわざわざ?」


「百聞は一見にしかずって言うだろ?」


なるほどね。


「心現術に見せかけた魔法だったわけね。

心現術で他にはどんなことができるの?」


「心現術は運動エネルギーを増大とさっき説明したが、実際そのあたりも曖昧なんだ、斬撃を飛ばすにしたって考えてみろ、物を切るのは研ぎ澄まされた金属が物体に当たって擦れるから斬れるんであってその(斬れる)現象が(飛ぶ)のはおかしいだろう? それに、俺は達人が手刀で斬撃を飛ばすのを見たことがある」


「なにそれ?どういうこと?」

頭がこんがらがってきた。


「運動エネルギーを増大してるだけじゃないってことだ、それ以外に力を生み出してもいる」


なんだか要領をえないような?


「つまりウンチク喋りたかったってこと?」


「見も蓋もないやつだな」

ノイマンは嬉しそうに笑っている


「とにかく運動エネルギーっぽいってことね」


「良い表現だ、使い手がそこに運動エネルギーがあると思えばその使い手の思い描く力が発生する。

その辺りが神のみわざと言われる部分だな。

本来無いものを生み出している。

威力の多可や発動するしないは精神力と集中力で個人差はかなりでかい。

不便な所は自分発信じゃないと使えない。

例えば、自分の体の傷を治すことは出来る、自分の体が傷を治そうとしている運動エネルギーを増大して一気に治せる。

だけど、他人の体の傷を治すことは出来ない。」


「じゃあ魔法の方が便利ね」


「心現術の一番の長所は無限に使えることだ。

魔法は魔力が枯渇すると使えなくなる」


「ふーん、限りがあるけど応用力の高い魔法と限り無く使いまくれるけど応用力の低い心現術ってことね」


「そういうことだ。

君は散々剣を振ってきた。

腕も超一流に手がかかりそうな所まで来ている。

それを今から魔法の修行に没頭することはないだろう?

心現術ならさらに速くさらに力強く。

イメージと動きが合致していけばその可能性は無限大だ。

今の身体能力を2~3倍まで高めるのに君なら一ヶ月もかからないだろう。

そこまでいけば文句なく超一流だ」


そんな腕になれれば一ヶ月後に旅立つのも夢じゃないかもしれない!


私は唐突に訪れた夢の実現に心が踊り出した!


「じゃあ、一ヶ月!

私の稽古に付き合ってくれない?

そしたら私も旅に出るわ!」


「良いだろう、こんな才能は滅多に見られない、俺も良い経験になりそうだ」


ノイマンも楽しそうに笑っている。


人に何かを教えたりするのが好きなたちなのだろうか?

ま、私にとってはありがたい話だ。


「じゃあ、次は動きを速くする方法を教えようか?」


「はい、先生!

よろしくお願いします!!」



毎朝楽しくなりそうだ。




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