自分を消すにはどうすればいいか、私は考えた。
ぴちょ、と何かが滴る音で目が覚めた。
いつものけだるい目覚めとは違い、覚醒する為にそこまでの時間は要さなかった。
起きてすぐ感じたのは鉄の臭いが充満した部屋の異変だった。
反射的に両掌で口を覆うと更に血の匂いが肺に染み渡り、掌どころか爪の中まで血に塗れているのにやっと気づく。
「っあ」
私の頭に何かがまた落ちてきた瞬間に心臓がハリネズミの様に針金を逆立てた。
(とてつもなく嫌な予感がする)
上を見てしまってはいけないと心臓が訴えてくる。
耳の奥から地鳴りのような音が聞こえてきて、その音をそのまま口から叫ぶ。
「あぁっ、うあ゛あぁぁぁ」
頭から流れてくるものが首に流れてくることが不快でたまらなかったけど、拭うなんて出来なかった。
そうしたら頭の中で浮かび上がっている光景を認めてしまうことになるからだった。
「あぁ、目覚めたようだ」
部屋に光の一筋を漏らしたのは兄の知人だった。
犬山、なんだったっけ。確かそんな名前だった。いつも兄の隣にいる色男としか印象が強い。
何においても完璧な兄にも引けを取らない人だと珍しく兄がほめていた。
そんな彼が何故自分の部屋に入ってきたのか、そしてこの部屋の現状を見てどうして驚かないのかがまったく分からなかった。
「だいぶ混乱しているようだね…よしよしかわいそうに。こっちおいで」
ドアを開け、手招きする彼のあとを何も考えずについていく。
ただひたすらにあの部屋から出ていきたいという一心で彼についていく。きっと自分ひとりではあの部屋から一生出れなかったであろう。
案内された先は兄の部屋だった。
「さ、どうぞお姫様」
恭しくドアを開けて入るように促す彼に会釈して書類の束や本だらけの部屋に入ると、椅子に座っていた兄がこちらを向いた。
「漂花」
「に、兄さん」
聞きたいことは山ほどあった。しかし聞いてしまうのが怖くて、何も言えずに俯く。
「…おい犬山、説明は」
「いや?まだ」
「…」
「だって俺が言っても今の漂花ちゃん絶対信じないじゃーん」
「漂花を無駄に怯えさせないように。いいな?…漂花、そんなに怯えなくていい。大丈夫、俺がいる。何も心配する事は無い、そうだろう?」
「…うん」
頭を撫でられ、




