表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第4章 セントフィル都市連合編 ~俺もそれなりに強くなります~
90/139

第82話 拝啓 お元気ですか

 


 ―――――――――――――――――――――――

 拝啓


 初夏、暑さ日増しに厳しい季節

 異世界の6月はクソ暑いようです


 大沢、葉山、日咲さん、

 お元気にしていますか?


 俺はいろいろあったけど元気です。

 奴隷に売られたり、

 領主に喧嘩を売ったり、

 人身売買の組織に殴り込んだりと

 普通に異世界を堪能しています

 俺くらいになると余裕でしたよホント


 そうそう、

 最近、異世界ならではの人間?を見ました。

 なんと頭髪が燃えていたのです

 炎髪と言うんでしょうかね!?

 身長2.5mくらいの大男。

 聖人とかいうらしく

 とにかく街のヒトに尊敬されています。

 そんな聖人さんが、

 大勢の観衆がいたにもかかわらず、

 こちらをみてニヤリと笑ってくれました。

 これも人徳のなせるワザでしょう。


 俺は今、セントフィル都市連合という国のイリオス州で

 レイという女性剣士と共に暮らしています。

 レイについてはいろいろと話したいことはありますが、

 まぁひとつ屋根の下で暮らしているということで察してください

 仕事も手に入れて安定です

(なんと公務員ですよ!まぁ“準”が付きますが)


 本題に入りましょう

 帝城を出発してはや4ヶ月

 ミッションはだいたい完了しました

 帝国――ガイナス帝国の噂や、

 この異世界の中での立ち位置など

 イリオス州に来てからの約2ヶ月間で調べられたことを記します。


 ―――――――――――――――――――――――


 ***********



 人魔大戦のことも含めて簡潔に記述する。

 帝国のうわさは、だいたいが悪い噂だ。

 人魔大戦のどさくさで他国を侵略するような国。

 民に対しても非道なことを行っているなど

 掴んだ情報を箇条書きで書いていく。


「だいたいこんなもんだろ」


 ウソは書いてない。

 レイとは一つ屋根の下で暮らしている。

 うん、ウソは書いてない。


 手紙のスペースが余った

 何を書こうかと迷って、

 肝心なことを書いていなかったことを思い出す。


 **********


 ―――――――――――――――――――――――


 これからのことですが、

 3人は帝国を脱出することをお勧めします

 チートな3人なら可能でしょう

 あんな国にいてもいいことはありません

 侵略の道具にされるのがオチです


 その後ですが、

 一度合流したいと思います

 俺の希望としてはセントフィル都市連合に来ていただけるとありがたい。

 ここは学問も発達していて、かつ仕事も多い。

 拠点を築くに持ってこいな場所といえます

(実はすでに結構な額のお金もあります)


 あと飯がなかなかうまい。

(素材の味が多いけどね)

 最近、味噌っぽいものを見つけて

 味噌汁(具なし)を作ってみたけど

 まぁまぁ美味かったです

 今度ごちそうしますよ



 あともし他のクラスメイトで帝国を抜け出したいようなことがあれば

 一緒に来てもらってもかまいません

(まぁいないとは思いますが)


 また諸事情により俺から帝国には行けません

(指名手配されてるかもなので)


 セントフィル都市連合のイリオス州に着いたら

 イリオス州立中央学校(俺の勤め先)を訪ねて、

 俺の名前を出してください

 それで合流できるでしょう


 最後に、3人の健闘を祈っています


 敬具

 ―――――――――――――――――――――――


 ********



「できた」

 こんな感じでいいだろう。


 手紙は書き上げた。



 しかし!!

 肝心な問題はまだ残されていた。


「これ誰が持っていくんだ?」


 失念していたが、

 この世界には、

 郵便ポストも郵便局も郵便屋さんも存在しなかった。

 ったく葉山はそういうとこ抜けてるよな。


 まぁおいおい考えるか。

 時間はまだあるだろう。


 ひとまず、問題は棚上げして

 俺は今日も仕事に出かける。



 ***********


 2ヶ月


 イリオス州立中央学校で働き始めて

 それくらいの月日が流れた。

 長いようで短かった。


 仕事は本の複製作業(書き写し)が主になってきている。

 この世界の識字率はかなり低い。

 だいたい10%くらいだ

 セントフィル都市連合は国別で高い方らしいがそれでも30%くらいだそうだ。

 読み書きできる人材は貴重。

 そんなわけで俺が読み書きできると知ってエルマは雇ったようだ。


 それ以外にも書庫の整理や掃除なども行っている。


 至って順調だ。

 社会保険はないが、

 労働基準法もどきは存在した。

 1日体感で10時間くらい労働

(朝食後から夕食前までが勤務時間)

 休みは週1で聖の日がそれに当たる。


 明後日がその聖の日。

 つまり休日だ。

 その日、俺はレイと共に迷宮へお出かけの予定だ。


 この2ヶ月でレイは見習い剣士から中級剣士へとランクアップしていた。

 いくつか技も覚え、上級も近いという話だ。

 すげーな。

 上級は数百人に1人、

 最上級は数万人に1人らしい。


 レイさんがどんどん遠くに行っているような気がする。

 だが、俺もここ2ヶ月ただ仕事のみしていたのではない。


 エルマ協力のもと、魔法が使えなくなる原因を探した。

 結論から言うと原因はわからなかった。

(俺の考えでは、異世界人だからではないかと思っている)

 原因はわからなかったが、対処法、対策は見つかった。


 ポーションである。

 まぁ飲み薬(ポーション)でなくとも固形タイプや塗りタイプでもいいんだが。

 とにかくポーションを服用することで短時間ではあるが、

 魔法行使時の疲労や倦怠感を軽減させ、

 魔法の連続行使が可能となった。


 しかし、

 相変わらず魔石は壊れるし、

 使えなくなった魔法は依然そのままだ。

 エルマも興味を持ったらしく、

 ここ最近の聖の日はその調査で費やした。


 エルマ曰く

 魔法分類学の観点から使えなくなった魔法は、

 火と光の純系統の単一魔法ということらしい。


 難しい話はとりあえずエルマに全投げしておこう。

 大切なのは明後日。

 2人でお出かけ。

 これは俗にいうデートというヤツではなかろうか!?



 イリオス州北部にあるイリオス迷宮。

 そこに行く予定だ。

 イリオス迷宮には観光用の整備されたルートと

 そうでないルートの2種類のルートが存在する。

 観光用のルートではないルートにはもちろん魔物が出る。

 そして護衛もない。

 まぁもっとも超初心者用迷宮で中級が1人でクリアできるレベルなんだが……


 超初心者用


 そのはずだった――



 ************


 《身体強化》


 身体を極限まで強化させる。


 先手必勝

 否、すでに俺は、俺たちは後手に回っていた。

 前衛のレイがいとも簡単に吹き飛ばされ、宙を舞う。

 頭に昇る血を抑え、

 冷静に確実を期すために

 まず“敵”の足を止める。


 《泥沼》


 “敵”の足元を泥に変え、すかさず


 《水弾》

 《水弾》《水弾》《水弾》《水弾》


 水弾の嵐を注ぐ。

 間髪入れずに、


 《稲妻》


 不純物を含む水が、

 電気を通す。


 そして稲妻は“敵”の体表面を焦がした。

 否、体表面を焦がしただけにとどまった。


「カカカ、効かん」


 クソっ!

 ラスボス完備なぞ聞いていない。


 何が安全安心の迷宮探索を!だ。


「では、死んでもらおう

 保有者(・・・)継承者(・・・)よ」


 “敵”、炎を纏うユニコーンはそう言った。




お読みいただきありがとうございます

今日も晴れ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ