表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第4章 セントフィル都市連合編 ~俺もそれなりに強くなります~
86/139

第79話 レイ VS セシリア

 



『私を一歩でも動かせたらレイの勝ちでいいわよ』


 クッ


 バックステップとサイドステップを織り交ぜながら

 セシリアの不可視の攻撃を避け続ける。


 右へ左へ、

 後ろへと避け続ける。


 避けながらも

 レイは剣撃を繰り出す。


 しかし、

 そのどれもが壁にでもあたったかのように霧散する。


 セシリアが

 腰に携えた剣を指で弾く。


 その度に、

 斬撃が降り注ぐ。

 タイムラグほぼゼロの斬撃が、である。


 ‘タタタ、タン’


 ‘タン’


 バックステップ


 レイのいた地面が次々に斬られていく。

 ひび割れ、

 亀裂が走り、

 割れる。


 三撃をバックステップでギリギリ躱し、

 右に横跳び。


 直後、

 左の肩を斬撃がすり抜けた。


 ――四撃、あと一撃は!?


「甘いわよ」


 着地した瞬間、

 背中に鈍痛。


 レイは前方にはじき出された。


「くっ!」


 すぐさま態勢を立て直そうとするも


 ‘タタタタン’


 滞空中のレイめがけ四方から斬撃が飛び、

 レイはなすすべなく

 それらの全てをその身に受けた。





 **********



 エルマと別れた一行は

 シンとシーナと合流した。


 感応者を連れて出歩くのは危険であったため、

 エルタニアの施設内で夕食を食べることとなった。


 屋台で買った食べ物を持ってきて食べていたところ

 他の感応者がうらやましそうに見ていたため、

 途中から全員参加の夕食になった。




 そんな楽しいひと時を過ごした翌日。


 ナツキは感応者の世話の手伝いをして

 午後まで過ごすことにしていた。

 午後からはまたエルマのところに行く予定である。


 一方、レイはセシリアにあるお願いをした。


「え?

 このあいだの技を見せてほしい?」


「ああ、

 ナツキを助けた時のあの技を」


「いいけど……

 どうして?」


「もっと強くならなければ、

 守れないからだ」


 ――ナツキを守るため。

 今以上の強さが欲しい。

 もしあの時、セシリアがいなければ―

 そう考えればこそ、強さが必要だ。


 あの時のことを思えば、

 胸の内から何かが沸き上がってきていた。



「レイ、貴方の剣は軽いわ」


「ん?」


「どうしてそこまでナツキにこだわるの?」


「それは――」


 助けられたから。

 そうレイが言う前にセシリアに先を越された。


「助けられたから?

 もう十分に恩は返せていると思うわよ」


「……」


 ナツキをルマグ王国から

 セントフィル都市連合まで送り届けた。

 これだけでも十分だとセシリアは考える。

 ナツキはかなりの魔法を使えるようだが、

 何かしらの制限がある

 ならレイが護衛して道中の戦闘を一人でこなしていたと考えられる。

 そう、十分なのだ。

 受けた恩を返すには。


 レイとナツキの馴れ初めを聞いた時からの疑問。

 なぜレイがそこまでナツキにこだわるのか?

 生死にかかわることなど日常茶飯事

 助けた助けられたの一つ一つにそこまでこだわらない。

 それが普通だ。


 だからこそ、セシリアは疑問を持つ。

 なぜ!?と。


「好きってわけでもないんでしょ?」


「それは……」


 セシリアの目から見ても、

 そういう雰囲気は感じられない。

 ナツキのほうはちょっと別だが。


 レイからは使命感のようなものを感じとることができた。

 いや、それしか感じとることができなかった。


 その使命感には、

 使命感のみにはセシリアも覚えがある。


「私もね

 守りたい人がいるの

 たとえこの身がどうなろうとも。

 ユリアもその一人」


「この間の少女か」


「ええ。

 それとユリウス。

 この二人は私にとって特別よ

 何が何でも守りたい」


 レイのナツキを守りたいという“使命感”には共感できる。

 でも、

 だからこそ、

 はっきりさせねばならない。


 そこに“気持ち”があるのかを。


 守るには、

 使命だけでは足りない。


「レイ、

 もう一度言うわ

 貴女の剣は軽すぎる」


「……言っている意味がよくわからないな」


「そうね

 私を一歩でも動かせたらレイの勝ちでいいわよ」


「ん?いきなりなんだ?」


「勝負よ

 技が見たいんでしょ」


 そしてレイは訳の分からないまま

 セシリアと勝負することになった。


 広場にやって来たレイとセシリアは

 そのまま試合を始めることになった。

 広場といっても大勢人がいるわけでもない。

 ある程度開けたスペースに

 今はレイとセシリアの二人のみ。


 勝利条件は

 レイがセシリアを一歩でも動かせばレイの勝ち

 レイが戦闘不能になればレイの負け


 レイにとって有利過ぎる条件に、

 当初眉をひそめていたが、

 勝負が開始早々、

 それが間違っていたことに

 気づかされることとなる。




 *****




 ――強い。

 これが、このレベルが上級!?


「もう終わり!?」


 セシリアがとてつもなく大きく見える。

 彼女は試合開始後、

 宣言通り一歩も動いていない。


 仁王立ちし、

 時折右手を動かすのみ。


「ナツキを助けた技はこんな感じね。

 名前はえっと……」


 “技”を意識し、集中するために

 名前を宣言する場合がある。

 セシリアはほとんどの技を意識せずに、

 身体の動作の延長線上として扱っている。

 そのため使った技が何だったのか

 いちいち思い出さなければならない。


「東海流秘技【鎌風】だったかしら」


 もっともナツキを助けた際に用いた技は、

 本当は別である。

 聖教流最終奥義【聖域】

 一定領域内における攻守の完全掌握。

 さすがに最終奥義を扱えたとなれば、

 セシリアが上級でないことが

 ばれてしまうので似た技で代用していた。


「いいや、まだだ」


 なんとか立ち上がり、

 剣を構えたレイ。


 ――セシリアの技は何とか目で追える。

 斬撃が見えた瞬間、

 回避し、

 距離を詰めれば、

 まだ勝機はある。


「そう。

 なら今度は剣の重さについて教えてあげるわ」


 セシリアは先のユリア救出の際、

 レイの剣筋を見ていた。

 想いを抱き常にそれを剣に乗せているセシリアだからこそ

 それを見ただけで理解できた。

 レイの剣にはそれが乗っていないと。



 セシリアが剣の柄を弾く。


 ‘タン’


「な!?」


 弾いた瞬間――


 レイの手にしていた剣が

 切断された。


 刃先が紙のように

 飛んで行く。


 ――なにも、みえなかった!?


「レイ、

 これが剣の重さよ」


 レイの目にはセシリアの一挙手一動がスローで見える。


 セシリアが

 再び、

 剣を、

 弾く。


 直後、

 ――レイは数十メートル後方へ飛ばされた。


 広場の端にあった小屋に突っ込み、

 その小屋を抜け、

 大通りへ、

 さらにその先の建物の外壁にクレーターを作り、

 やっと勢いは止まった。


「レイ、

 想いの乗らない剣で

 何かを守れるほど

 世の中は甘くはないわ」





お読みいただきありがとうございます

今日も晴れ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ