第78話 剣と魔法の世界 後編
剣と魔法についてだいたい理解できた。
そういえば、
横の二人でどのくらいのレベルだろうか?
「レイは何級?」
「私はどの流派にも属していないからな。
そういうのは持っていない」
「あれ?
傭兵でも持ってるんじゃなかったっけ?」
「ルマグでは気にしたことなかったな」
「セシリアは?」
「へ?
わ、私はえっと……上級よ」
セシリアまで高い声を出し始めた。
流行っているのか?
セシリアで上級か……
「聖級や神級はどうなってんの?」
「それなんですが、
詳しくは分かりませんの?
教会が決めているようでして」
「聖級や神級はどれくらいいるの?」
「神級や神位は今のところいませんね
聖級に関しては正確な数はわからないんですけど……」
手にした本をめくって何か探しているようだ。
「ありましたの!
東海流では、聖級は、海龍、覇者、黒炎、獅子、そして勇者
この5名が登録されていますね」
「ほう~」
基本最高位最上級以上には二つ名が付き、
それが登録されるとか。
まぁ物騒な二つ名前がずらりと並んだな
この人らには関わらないようにしよう。
次は魔法や剣についてではないが、
重要なのでとエルマが教えてくれた。
聖人
この名を冠する者は皆、聖級聖位の実力者らしい。
なんでも協会に所属する神の御使いらしく、
人知を超えたチカラを持っているとかなんとか。
神の代弁者として崇められている。
「次は魔族についてですわね」
ペラペラをしゃべり続けるエルマの話を懸命に覚えようとするが、
ちょっと限界が来た。
今までの話を覚えつつ、新しいことを記憶できる自信がない。
「ご、ごめん
なんか紙と書ける物ある?」
「ありますけど、どうするんですの?」
どうするって、
メモするに決まってるじゃないか。
他にどんな使い方があるんだ?
手渡された紙―ごつごつの古びた紙―に
羽ペンのようなものでメモを書いていく。
「あら何語ですの?」
「俺の故郷の言葉だよ」
「ラグ語以外にも言語がありましたのね」
「え?
ほかの言語ないの?」
「言語は基本同じですわよ
古代ではいくつか別の言語が使われていたようですけど」
「魔族も?」
「ほへ?
ええ、そうですわよ」
そうなのか。
複数の国があり、種族の違う者同士もいるのに
使われている言語がひとつ
日本の中でさえ関東と関西では微妙に言い回しが変わってくる。
それなのに遠く離れた国でもこの世界は同じ言語を使っている。
俺はそのことになんとなく違和感を覚えた。
そんなことを考えながらも
俺は今まで聞いたことの要点をまとめ上げた。
「ナツキさんは教育を受けたことがおありで?
カクカクした字ですがカッコイイですねこれ。」
エルマが俺の書いたメモを興味深そうに眺めている。
「一応教育は受けたかな
良かったら教えるよ」
「本当ですの?
どのような言語体系か興味がありますわね」
そんな話を挿みつつ魔族についての話が始まった。
魔族
始まりの森付近を住みかとしていた彼らは
数十年前にヒトに対して宣戦布告をしたそうだ。
これがいわゆる人魔大戦の始まりだ。
人類はその後未曾有の戦いに巻き込まれていく。
連合を作り、対応するも上手くいかず、
感応者を使い、なんとか食い止める。
のちに英雄が誕生。
魔族の脅威を跳ね除け、今に至る。
魔族の特徴は皆が聖位クラスの魔法を使えるということだ。
魔族には固有魔法というものがあり、
使える魔法は一つのみだが、
その固有魔法はとんでもなく強いらしい。
例えば火の固有魔法を扱う魔族は一人で森一つを焼き払えるそうだ。
通常の火を使う魔法師とは威力が段違い。
魔族は戦闘に優れた固有魔法を使うことで人類を苦しめた。
まだまだ聞きたいことはあったが、
日が暮れてきた。
シンやシーナとの約束がある。
「エルマもこの後どう?
ナツキたちとご飯に行くんだけど」
「それは是非に!
と言いたいところなんですけど、
明日までにやらないといけないことが……」
「また提出さぼったのね」
「何をいいますかセシリアさん!
まだ明日の昼までに終えられれば問題無いんですの!!」
どうやらエルマは締め切りに追われているらしい。
学校だから宿題とかかな
「ナツキさん、
明日もどうですの?
昼以降なら空いていますの!」
まだ聞きたいことはある。
それにエルマにとっては来てほしいのだろう。
めっちゃ祈る瞳で見てくる。
ギブアンドテイク
留年回避のため俺も協力しよう。
「えっとじゃお願いします」
「了解ですの!
任せてくださいな」
明日の約束をして、
俺たちはその場を後にした。
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今日も晴れ




