第8話 異世界を知ろう 中編
ん?
リアの表情が硬い。
「どうしたの?」
「そ、その……今日はよろしくお願いしますですですぅ」
そういってリアは……
…………脱ぎだした。
「ちょっっ!!!
待て待て待て
ほんと待って
Wait!!!」
必死で止めて事情を聴けば、
本番無しのお遊びらしい。
うっかり襲うことがないように発散させておこうという方針ということか!?
帝国おそるべし。
風俗的なものだろう。
だが、問題がある。
それは、目の前のメイドさん……リアはまだ13歳。
これはアウトでしょ!
俺はまだ犯罪に手は染めたくない。
異世界もので定番の人を殺すかどうかの葛藤よりも先にこんな問題に直面するとは……
異世界恐るべし。
そして俺はなによりロリコンじゃない!
…………ないよ!?
ホントダヨ。
「リア、そういうのはなんだ……好きな人に取っておきなさい。」
よし、言えた。
「今日はもういいから疲れたし寝るわ」
俺は言うだけ言ってベッドに顔をうずめた。
断じて恥ずかしいセリフを言ったからではない!
「え?……はっ、はい、失礼しました。」
ぺこっと頭を下げて、とてとて、とリアは出ていった。
ふぅ~
寝るか。
あっ、服着替えてない。
そういえばクラスメイトの中には制服じゃなくてこっちの服着ているのが何人もいたな。
明日は着替えるか。
……おやすみ
ナツキが眠りについたのは、目を閉じてすぐのことだった。
**********
翌日、朝ごはん、のち勉強会。
朝は、パンとスープが中心のあっさり系だった。
食堂の場所は、昨晩と同じ。
勉強会の場所は、帝城の一室に設けられた。
古い小学校のような教室を思い出させる部屋で俺たちは、勉強会を受けた。
今回は男女一緒だ。
内容はというと――
帝国がいかに優れているのか。
他国がいかに蛮族か。
魔族がいかに劣っているのか。
そんな話がずっと続いた。
正直な感想。
内容はアレだが、講師の話術は本当にレベルが高い。
話にオチを付け、誰がどう頑張り、人々を救ったのか、
まるで小説を読んでいるときのように引き込まれた。
俺がクラスメイトを見渡す。
涙もろい女子は既に泣きながら感動していた。
他に一部の男子は、話の中の勇者に触発されていた。
俺はというと、
時折、窓から見える風景をボーと眺めつつ、時間を潰していた。
話を聞いていなかったわけじゃない。
アニメや漫画、ネット小説を読んできたおかげでなんというか耐性があった。
そういった勇者成り上がり系は好きだが、いろんな話を読んだり見たりしてきたかいあって比較的冷静に聞いていられたのだ。
時折、えっ!?その展開より別のほうがいいよ!とか無〇転生や盾〇勇者の話のほうが面白いよ!とか思いながら聞いていた。
このとき、オタク知識がこんな形で役立つとは思っていなかったのだが。
そう、触発された連中は午後、剣術を習うらしい。
すでに中庭に用意があり、元騎士団の方が指南役を務めるそうだ。
それ以外の連中もほとんど騎士団の訓練の見学にいくそうだ。
いくらなんでも手際よすぎだろ。
クラスメイト諸君、もっと疑えよ。
これがご都合主義でないなら、もともと用意されていたと考えるのが自然だろう。
つまり、この勉強会は帝国による懐柔政策の一環である可能性が高い。
いよいよ戦争に出なくていいという言葉の信頼性が危うくなってきた。
オタク知識が自分を守ってくれるなんて人生何が起きるか分からない。
俺はそんなことを考えながら、昼食を食べていた。
午後、俺は別行動を取り、自室に戻った。
もともと自由行動の手前、なにも言われなかったが、クラスメイトの大半の目つきは良くなかった。
「おかえりなさいませ。」
ぺこっとお辞儀をするのは、掃除中だったリアだ。
「うん、ただいま
ちょっと聞きたいんだけど、ここら辺に図書館とかってある?」
俺が自由行動の時間にやりたいことは、この世界に関することを自分で調べることだ。
リアに聞くと、それらしい建物があるらしい。
場所を聞くとリアが案内してくれるとのことだ。
早速、目的の場所に行くことにした。
「おお、ここかぁ~~」
なんていうか教会みたいな建物の中がいわゆる図書館になっているらしい。
中は俺の背丈を優に超える本棚が乱立していた。
本棚の中には様々な本が無造作に置かれていた。
もう少し丁寧に扱えばいいのにと思ってしまう。
この世界では、書物はかなり貴重で印刷技術はもちろんない。
識字率も低いようだ。
リアの案内で図書館内を見ていく。
それほどたくさんない。
帝国の書庫なら本があふれているようなイメージがあったが、違うみたいだ。
「ここの本ってこの建物の中だけでしか読めないの?」
リアに聞くとリアは司書に聞いてきますと言って、行ってしまった。
もしここで読むとしたら場所はどうしよう?
そう、この建物には読むスペースというのが、今のところないのだ。
本当に本をしまっている建物という感じだった。
とにもかくにも、まずは手あたり次第、見てみよう。
俺は目の前の本に手を掛けた。
お読みいただきありがとうございます
今日も晴れ