第57話 俺 VS 300人の騎士&魔法師 後編
”一撃”で……
よし!
ある思い付きを実行に移すため、
《回復魔法》《創造油》
油を建物内にまき散らした。
「どうだ!?
火を使ってみろや!!」
得意げに叫んでみる。
相手を挑発するように。
「なんと卑怯な!?」
「なんて変態だ!」
「水や氷に切り替えろ!」
「貴様!それでも男か!?
正々堂々と戦え!」
ふん。
何を言っているんだか
俺は既に人としての誇りを失ったのだ。
今更、男だ女だと気にするわけないじゃないか。
それに――
「俺一人に一体どれだけの人数つぎ込んでるんだ!?
そっちの方が卑怯だろ!?
お前らこそ男か?
ついてんのか?」
急に静まり返る騎士と魔法師。
そして――
《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》《氷礫》《水砲》《氷刃》《水弾》《氷礫》《氷刃》《水弾》《氷礫》《水砲》
とりあえず、それはもう、全方位から魔法が殺到した。
しかし、俺の狙いはそこにあったのだ。
《回復魔法》《多重障壁》
ここまではさっきと同じだ。
しかし、違う点もある。
それは、この場の環境だ。
火気を封じられ、水や氷での攻撃のみを使うこの状況。
俺の障壁にぶつかった水や氷は、部屋に確実に蓄積されていく。
魔石は無駄にできない。
だから、次の一撃で決める。
魔石の袋を漁る。
その中でも特に大きく、
金色に輝くそれを取り出す。
この大きさならきっと普通よりは魔力を多く蓄えているだろう。
イブさんのレクチャーで
金色はなんたらって言ってたような気がするが……
まぁ忘れるぐらいだから大丈夫だろ。
イメージするは、俺の知っている中でも最強の魔法。
異世界で最強の魔法と言えばこれしかない!!
「《万物消滅》!!!!!!」
《回復魔法》
まわりの環境は、威力を底上げしてくれる!
水や氷は、急激に温まると気化する。
そう水蒸気爆発だ。
俺の上空に出現した赤黒い炎の渦は、
急激にその存在感を増し、
弾ける、その寸前で、すかさず、
《回復魔法》《多重障壁》
障壁を張る。
その直後、エクスプロージョンと、それによって引き起こされた無数の水蒸気爆発が同時に巻き起こる。
想像を絶する衝撃があたりを襲った。
*********
煙が収まり、
俺は障壁を解いて、
というか勝手に解けて、
辺りを確認した。
辺りは――まず、夕日によって赤く染まっていた。
とりあえず血ではないことに安堵する。
どうして夕日?
そして先ほどまでの文明の明るさはどこに?
上を見上げてそのなぞは解けた。
天井がなかったのだ。
それだけではない。
よく見れば、建物自体見えない。
俺は建物の中にいたはずなのに、
今は外にいる!?
目の前にはおそらくレイのいるだろう領主の屋敷が見えていた。
どうやら、何とかなったようだ。
そして進もうとして気が付いた。
俺のいる位置は辺りよりも高くなっていることに。
そう、辺りはクレーターのようにお椀状に凹んでいた。
俺のいる位置だけ円柱のようにして残っていた。
…………やべぇーヤリ過ぎた
その時になって初めて自覚する。
これはヤリ過ぎた、と。
もしかしたら“殺し”をしてしまったかもしれない。
そう思うと、背筋が冷たくなった。
足が震える。
心臓の音が何度も頭に響く。
呼吸が荒くなる。
“殺し”その言葉は言うのは簡単でも“事実”として
重く、重くのしかかって来た。
(ススメ、コノサキニ)
はっ! となった。
そうだ、なんのためにここまで来たのか。
それで俺の行動が正当化されるわけではないし、
正当化するつもりもない。
でも、今はやるべきことをやろう。
今は、進むのだ。
《回復魔法》《身体強化》
俺は、
クレーターを飛び越え、
レイの元へと駆けだした。
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今日も晴れ




