第56話 俺 VS 300人の騎士&魔法師 前編
ナツキが100人の騎士を何とか倒した後、一直線に屋敷へと向かっていた。
…………そりゃ、何も起きないわけないよな。
結論から言うと俺は結界に嵌まってしまった
うん、これは詰みかも……
体育館のような広さを誇る建物の中央に俺は、
結界によって閉じ込められている。
先ほどの騎士見習いのような者達ではない。
完全武装した騎士と魔法師に取り囲まれているのだ。
異世界転移ってもう少しイージーモードではないのか!?
そう誰かに叫びたくなる。
騎士を前衛に、
魔法師を後衛に、
との布陣で2重に俺を取り囲んでいた。
いくらなんでも過剰すぎる戦力だ。
こちとら最近よくわからんが、
ようやく魔法を使えるようになっただけなのに……
「賊を捉えたぞ!」
「気をつけろ。
こいつはとんでもない変態らしい」
「新兵が全滅した。
気を抜くなよ」
「この変態め!!」
皆さん、口々に話し合っている。
時折、不名誉な罵倒が飛んでくる。
てか、最初の人らは新兵だったのね。
俺は魔石の残りを確認した。
残りは40個ほど。
一回につき2個の魔石を使うので、
残り20回の魔法でレイを取り戻す必要がある。
もたもたしてはいられない。
まず、この結界をどうにかしないとな。
俺は記憶をたどり、
この結界を破壊するだけのイメージを探しだす。
あれなんてどうだろうか!?
拳で再現できるかわからないが、
やってみる価値はある。
右手に魔石を握りしめ、イメージするは、天も次元も突破する一撃。
結界めがけ――
《回復魔法》《回転螺旋》
「ブレイクぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!!!!」
ビギッ!
音を立てて、結界が歪み、
バンッ!!
粉々に砕け散った。
「しゃぁ!!」
ありがとう兄貴!!
「な、なんだと!?」
「あの結界を!?」
「うぇ臭!なんて匂いだ!?」
結界を破ったことで空気の循環も起きた。
驚きと、そして臭さに対する悲鳴も聞こえてくる。
結界の欠片、舞う。
ダイヤモンドダストのようにキラキラ輝き幻想的なっている中、
俺は歩み進める。
騎士の後方で発光。
魔法発動の光だ。
《火球》
《火球》
《火球》
《火球》
《火球》
《火球》
《火球》
《火球》
《火球》
魔法師からの連続同時魔法による飽和攻撃。
大小さまざまな火球が一直線に飛来する。
《回復魔法》《多重障壁》
半球状(ドーム状)の障壁を幾重にも張り巡らせる。
数枚砕け散ったが何とか持ちこたえた。
こんな時だが、
ふと気になった。
魔法師が発動した魔法が皆一様に同じものだったことに。
魔法師では使える魔法とかに制限でもあるのかな?
イメージするだけで現象を引き起こせるなんてめちゃくちゃ便利だと思うんだけど。
この世界の人は皆謙虚なのかもしれない。
そうこう考えていたら、
攻撃が止んだ。
その瞬間、
今度は俺のほうから仕掛ける!
《回復魔法》《超圧縮悪臭》
魔法を発動。
俺を取り囲んでいた騎士の数名が悶絶し、倒れる。
しかし、
ここで、新兵との違いが現れた。
倒れた騎士を見るなり、まわりの騎士は俺から距離を取る。
素早い動きに、見事な状況判断だ。
今の攻撃では、数十名ほどしか無力化できなかった。
それでも確実に数は減っている。
そう思っていたのだが……
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
《回復魔法》
なんと魔法師が後方からヒールを行った。
「魔法ってのは飛ばせるんだな」
そう、後方からヒールの光を倒れている騎士に飛ばしていた。
それだけではない。
身体強化や毒耐性といった魔法も、前衛の騎士に付与していっている。
優秀すぎるだろ……
そして、ある魔法をあの臭いのついた騎士に使っている魔法師もいた。
《浄化》
”浄化”
そうか浄化なら匂いも消せて、下水道のアレも綺麗に落とせるな!
《回復魔法》《浄化》
すると先ほどまでの表現できないほどの臭いも、
体中のねっとりとした何かもきれいさっぱり落ちていた。
「すげぇ~~」
魔法は万能すぎるな!!
「なに!?」
「あの変態は神聖属性も使えるのか!?」
「見上げた変態だ!」
「神聖属性は厄介だ!
魔法師の増援を呼べ!」
む?
神聖属性?
そんなもん使えるわけないだろ
何を勘違いしているのかわからないが、
増援を呼ばれるのはヤバい。
魔石も、もうそんなに残ってない。
それゆえ、あまり悠長に構えていられない。
始めのように2人の騎士相手にいくつも消費しているようでは絶対に勝てないし、
先ほどのような連続攻撃では防戦一方を強いられる。
”一撃”で……
よし!
ある思い付きを実行に移すため、
《回復魔法》《創造油》
油を建物内にまき散らした。
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