第5話 ガイナス帝国 前編
ナツキたちが訪れた世界の歴史になります
ガイナス帝国
西部は海に面していて、漁業が盛ん。
東部は農作地帯
南部は山脈があり、鉱山資源が豊富。
北部は安定した気候と高原が広がる。
そんな自然に恵まれた国、それがガイナス帝国だ。
大陸の中では、北半球の大陸西側に位置する。
その周辺一帯を事実上支配する世界第2位の国力を誇っている。
だが、つい30年前までは世界第3位の国だった。
(世界概略図
円はその国の勢力範囲を示す
規模の小さい国は記載されていない)
30年前より世界は大きく変わることになった。
30年前、“始まりの森”において、魔族による人族に対しての宣戦布告が行われた。
このとき、ヒト族のとりわけ北半球の国々は全く相手にしなかった。
一方で南半球最大の世界第2位の国、グルス帝国はこれに応える形で魔族との戦争に突入した。
その時から始まった一連の戦争を一般的に人魔大戦という。
(南大陸、極西の森において魔族の侵攻が始まる)
人魔対戦は大きく3つに分けることができる。
第1次人魔大戦と呼ばれることになったその戦いで、
世界第2位の国、グルス帝国が滅亡した。
わずか1ケ月で、世界第2位の国力を持つ国が滅亡したのである。
(第1次人魔大戦概略図)
これに危機感を抱いた人族は、対魔族に対して協調路線を締結。
世界第1位の国、シェルミア王国を筆頭に世界の大小合わせておよそ60ヶ国が連合軍を組織した。
この連合軍と魔族による20年前の全面戦争が第2次人魔大戦と呼ばれている。
1年にも及んだその戦いは、終始、連合軍が圧倒的に不利な形で進行していた。
(第2次人魔大戦概略図)
連合軍の敗走という形で終わった戦争に世界は、恐怖した。
このままでは、魔族にヒト族は滅亡させられる。
この敗走からおよそ5年間、世界はとても不安定になった。
しかし、そんな状況を打開しうる“希望”が、このころからささやかれ始めた。
大魔法使い 大陸極東 アスナ共和国
剣聖 大陸中央 シェルミア王国
大賢者 大陸中央 セントフィル都市連合
聖女 教会 (シェルミア王国)
のちにそう呼ばれることになる人間が動き始めたのだ。
魔族の侵攻は霊峰山脈に差し掛かっていた。
大陸のカタチを何かに例えるとするなら、ひょうたんが適切だろう。
北半球の大陸と南半球の大陸を結ぶ陸地には、霊峰山脈が存在する。
山脈を迂回して、裾の部分を東西にわかれた魔族軍はそれぞれ進行する。
北半球の大陸で霊峰山脈にもっとも近い、世界第一位の国シェルミア王国の滅亡は時間の問題と思われていたが、そうはならなかった。
各地で魔族を撃破したという報告が上がるようになったのだ。
そして今から10年前、第3次人魔大戦で、当時9歳のまだ幼さの残る可憐な勇者を筆頭に魔族、4人の将軍を打ち取ることに成功する。
(第3次人魔大戦概略図)
多大なる犠牲の上にようやくヒト族は、勝利を勝ち取ったのだ。
だが、ここで問題があった。
このとき活躍した8人の英雄を8大英雄と呼び、世界はこの8大英雄に歓喜した。
初期に活躍した4人と、第3次人魔大戦の最終局面で活躍した4人を合わせて8大英雄と言われている。
大魔法使い アスナ共和国
剣聖 シェルミア王国
大賢者 セントフィル都市連合
聖女 教会
武匠 シェルミア王国
万拳 サーマル王国
智将 不明
勇者 エルタニア王国
世界第1位の国、シェルミア王国をはじめ英雄を輩出した国々は他国からの憧憬の的だった。
一方、グルス帝国の滅亡により、繰り上がる形で世界第二位の国となったガイナス帝国は、英雄を輩出できなかった。
その当時、人魔大戦直後、世界はかなり疲弊していた。
だが、帝国は霊峰山脈から離れていることもあり、人員より物資で連合軍を支援していたことも重なって、世界の中では稀な疲弊していない国であった。
帝国がこの機を逃すことはなく、周辺の小国を5国ほど滅ぼした。
これに対して、世界は、世界の敵は、魔族からガイナス帝国へと変わろうとしていた。
これに危機感を抱いた皇帝は、こう考えた。
魔族を滅ぼすほどの力を持った8大英雄を、圧倒するチカラが必要だ、と。
そこで禁忌とされている魔法に手を染めた。
召喚魔法である。
表では、シェルミア王国と和解する形をとり、時間を稼ぎ、
裏では、召喚魔法を進めていた。
歳月は流れ、皇帝の決断から5年、
ガイナス帝国は召喚魔法を行うこととなる。
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