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無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第3章 ルマグ王国編 ~俺はラープの街で大切なことを学びました~
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第38話 俺 真実を知らされる 後編

 

 なんと……

 追跡魔法!?

 てことはあれか?

 俺が頑張って騎士の目をくらまそうとしていたのは全部無駄だったのか。


「あ、ありがとう」

「いや、このくらい当然だ

 でも、やはりこのステータスプレートだと、冒険者にはなれないな」


 話は仕事に戻る

「どうして?」

「おそらく、このステータスプレートの中の情報で、

 ナツキが帝国の奴隷であることが示されているはずだ。

 冒険ギルドに持っていけば逆に捕まり、帝国に送還されるだろう」


 つまり、札付きは受け入れられず、持ち主に送られるということか


「それに、もしかしたら懸賞金もかけられているかもしれない。

 まぁ普通の奴隷ならそんなことはないと思うが、

 冒険ギルドには近づかない方がいいだろう」


 普通なら…………

 俺は異世界人……

 どう見ても普通じゃない


 てことは帝国だけじゃなく冒険ギルドまで敵に回ったということか!?


 帝国が懸賞金なんてつけていない、と楽観できるほどこの世界は甘くない。


「わ、わかった

 チクショー、冒険者にもなれないのか~」

「まぁ方法はないこともないんだけどね」

「え?まじ!?」

「ステータスプレート強制解除の魔法道具か魔法薬があればなんとかなる」

「おお~~」

「ただし、どれも貴重で高価だ。

 それに普通の流通ルートには乗らないからな。」


 それはそうだろう。

 そんなものが格安で誰でも手に入ればステータスプレートの意味がない。


「レイのステータスプレートは?」


「私は持ってないんだ。

 もともと魔法と剣を扱えていたからな」

「へぇ~」

「それにステータスプレートには義務も発生する。

 冒険ギルドのステータスプレートや傭兵団のステータスプレートも性に合わなくてな。」


 ステータスプレートという魔道具はいろいろな種類があるらしい。

 それぞれに特徴があるとか。


「ただ、ステータスプレートは身分証にもなるから普通は持っていることが多いな。」


「なるほど。勉強になるなぁ~」


 俺はふと気になった。レイは確か傭兵といっていた。

 なら傭兵はステータスプレートを持っていなくてもなれるのか?と


「傭兵はステータスプレートなくてもなれるの?」

「ああ、なれる。

 別に冒険者や傭兵に必ずステータスプレートが必要というわけではない。

 ただ、持ってないといろいろ不便があると言うだけだ」


 例えば買取価格が安くなる。

 宿代が高い

 ギルド専門店で商品を購入できない。

 パーティーに入れないことが多い。

 などなど


 ほとんど身分が不確かということが原因らしい。


 どこの誰ともわからない人を泊めるのはそれなりのリスクがあるようだ。

 だから宿代は普通より多くとられる。


「おお~~なるほど

 確かにそれは理に適っているな」


 異世界も異世界なりに考えているのだろう。

 俺にとっては迷惑な話だが……


「それで、仕事はどうしようか?」

「そうだなあ~~」

「冒険者として最初は苦労するかもしれないが信頼を勝ち取るという道もある」


 苦労するとは文字通りの意味だろう。

 日本でアルバイト経験すらない俺だが、ここは異世界。

 なら何をするにしても苦労はするだろう。

 とくにチートなど便利なものを持てなかった俺は特に。


「冒険者の方向でお願いします!」


「ああ、任せろ」


 レイは男前だなぁ~

 美少女だがクールという言葉が似合うな。


 俺とレイは街道をゆく。


 休憩をはさみつつ歩くこと2時間。






 レイが腰に帯びている剣を抜いた。


「下がっていろ」

「え?」


 最初は何のことかわからなかったが、

 街道の左右の森がざわめきだした。


 ガゥゥゥゥゥ


 イノシシもどきだ。

 たしかモリイノシシとか言われている魔獣だ。


 レイはモリイノシシに急接近し、最小限の動きでモリイノシシとすれ違う。

 その瞬間


 モリイノシシの胴が真っ二つに引き裂かれた。


 赤黒い液体があたりに飛び散る。


 けれども、レイにかかることはなかった。


 始めのモリイノシシを切り捨てた瞬間にはすでにその場を後にし、もう一方のモリイノシシに斬りかかる。


 今度は首を切断し、倒した。


「す、すげぇ~~」


 返り血すら浴びないその速さにも驚いたが、

 なにより剣速だ。

 全く分からなかった。


 銀狼――なるほど。剣の銀色が速すぎて残像のように見える。

 確かに名のある傭兵なのだろう。


「お、おつかれ

 すごいなレイ」


 俺はレイに駈け寄った。

 するとレイは不思議そうな顔をした。


 ん?


「……怖くないのか?」

「え?何が?」

「私の剣は速い。」

「え?ああ、すごいな

 頼もしいよ!」

「そ、そうか。

 それは何よりだ」


 レイは、ナツキから目をそらす。

 その頬は赤みを帯びていた。


「と、とにかく先を急ごう」

「了解!」


 レイがいれば、道中の安全は保障されたようなもの

 俺は、これからの生活に思いをはせる。



 にやけそうになる顏を抑えつつ、

 俺は上機嫌でレイの後に続いた。






お読みいただきありがとうございます

今日も晴れ

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