第37話 俺 真実を知らされる 前編
ふたりが街道をゆく
レイは村の人から剣を2本もらい、腰に帯びていた。
もともと、レイの持っていた剣は、使い物にならないほどボロボロだった。
村までは5時間くらい
馬を使えばすぐだが、俺に乗馬のスキルはない。
レイと俺は、話ながらゆっくりと歩んでいた。
「ナツキ、どんな仕事がしたい?」
レイとの会話で仕事の話題になった。
俺としては、やっぱり冒険者にあこがれるな。
異世界といえば冒険者。
この定番は外せないような気がした。
「冒険者とかってある?」
「冒険者か、たぶんできると思う
ステータスプレートをどこで契約するか決める必要があるけど」
「ん?
ステータスプレートなら持ってるよ」
「なッ!?
それは帝国でか?」
「え?うん、そうだよ。
なにかマズかった?」
レイの顔が急に険しくなる。
てゆうか、近いです。
レイさん顔が近いです。
オタクな俺には刺激過多な状況だ。
「ナツキはステータスプレートについてどう理解している?」
ん?理解も何も……
自分のステータスを表してくれるものじゃないのか?
そう言うと
「やっぱり何も知らないんだな。」
はぁ~とレイにため息をつかれた。
どういうことだ?
「え?どういうこと?」
「いいか、ステータスプレートというのは、血の契約の一種だ。
魔道具によって契約内容はさまざま。
例えば、このルマグ王国では、国王と国民との間で契約が交わされている。
この国のステータスプレートの能力は“上昇”
国民の大半は、この恩恵で日常生活に魔法を組み込めている。
ふつうなら魔力切れか練度不足で扱えないような魔法も“上昇”で一時的に使えるようになる。
ただし、契約した国民は有事の際、国を守る魔法師として戦うことが義務付けられている。
こんな感じで恩恵と義務が契約者には発生する。」
ツーーー
額から汗が落ちる。
え?なにそれ?
ステータスプレートって魔道具の一種なの?
しかも国ごとに違うってどういうこと?
そしてナツキは思い至る。
帝国のステータスプレートはどうなんだ?と。
ナツキの疑問を待っていたかのようにレイは続けた。
「帝国のステータスプレートの恩恵と義務は、“保護”と“譲渡”だ。
ステータスプレートの能力“譲渡”で契約者のスキルや能力を皇帝が使えるようになる。
そして、契約者は有事の際、帝国に守られる
これが帝国のステータスプレートだ。
ただし、帝国はステータスプレートを複数持っている噂もある。
ナツキの契約したものがどれかは分からないな。」
マジか。
「なら別のところで契約し直さないとな」
帝国に目を付けられた身。
さっさと鞍替えするのがいいだろう。
と考えていたが、レイの次の言葉でそうもいかなくなる。
「それは不可能だ。
正確には極めて難しい。」
「え?どうして?」
「ナツキは契約するときに血を使ったか?」
「ああ、そうだよ」
「それは、血の契約だ。
解除には双方の同意が必要になる」
「てことはつまり、皇帝が同意しないとダメってことか?」
「そうなるわね」
まさかステータスプレートにそんな秘密があったなんて。
「ナツキのプレートを見せてもらってもいいか?」
「え?
えっと、それがどこかで無くしてしまってな」
「大丈夫だ。
呼べば出てくる」
???
なんとステータスプレートは召喚可能らしい。
早速やってみたが、これがなかなかうまくいかない
「なんでだろ?
俺の魔力量が少なすぎるのかな?」
「ならこれを使ってみてくれ」
そういってレイは首に下げている石を渡してきた。
「魔石の中の魔法なら自身の魔力量に左右されないはずだ。」
そういうことらしい。
試しに魔石を握りしめ、ステータスプレートを呼んでみる。
「ステータスプレート!」
すると目の前に光の玉が現れ、それが形を帯びていく。
「おっと」
光がステータスプレートに変わり、重力に従い落ちていく。
俺はそれをキャッチした。
「見てもいいか?」
「どうぞどうぞ」
レイはそれを手に取り眺める。
急に険しくなり、レイの手に光がともる。
淡い赤色の光だ。
「『キャンセル』」
「おおっ」
ステータスプレートを包んでいた光がはじけた。
「え?なに?」
「追跡魔法だ。
このステータスプレートには追跡魔法が付与されていた。
今解除したから多分もう大丈夫。」
なんと……
追跡魔法!?
てことはあれか?
俺が頑張って騎士の目をくらまそうとしていたのは全部無駄だったのか。
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今日も晴れ




