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無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第2章 奮闘編 ~状況が 俺に楽をさせてはくれません~
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第34話 俺とレイと、そしてこれから 後編

 

 さぁ、これからのことを考えよう。

 食後、ナツキは村の中央にある大きな木に寄りかかりながら目を閉じ、考えた。



 俺は帝国によってはめられたと考えるのが妥当だろう。

 俺が異世界人と知っているのは、そんなに多くない。

 当初は監視が付いて見張られるのか!?と思っていたが、

 どうやら違ったようだ。


 いらない子は即処分。

 うん、異世界は怖いね……


 俺が生きていることが知られたらどうなるか?


 帝国は、勇者一行とこれからも仲良くしていくだろう。

 仮に俺の話が、クラスメイトに信じてもらえたとしたら、

 帝国にとってはこれ以上ないほどの損失になる。


 そうならないためにはどうするか?


 俺なら――

 口封じをするだろうな。


 この世界に飛行機や車などの画期的な移動手段はないはずだ。

 帝国内や書物などには、それらしいモノはなかった。


 しかし、通信手段があるかどうかは分からない。

 主要都市間で通信できるような魔法がないとも限らないからな。


 俺が奴隷から脱してからすでに2日。

 ここは帝国の国境付近。


 よし、まずできる限り帝国から離れよう。

 大沢たちの約束までに、あと数ヶ月。

 その間に何らかの手段で連絡を取る。


 これを当面の目標にするかな。

 そうと決まれば、即行動だな。


 幸い準備の必要はない。

 ファナからもらった短剣があるだけだ。


 俺のスマホやボールペンなどは、帝国の宿に置いてきた。

 これはもうあきらめるしかない。

 命あっての物種だ。


 着ていた服や履いていた靴は、奴隷になったとき、すべて取られた。

 これももう仕方ない。


 今の服装は全て借り物。

 いただけるという話だったので本当にありがたい。

 そういうことで、このまま出発しても問題ない。




 俺はお世話になった人たちに1人1人挨拶をして回った。

 餞別に干した魚や野菜をもらった。


 今から歩けば、ここよりも大きな町に行ける。

 街道沿いは魔物が出にくいといっても夜通るのは危険。

 数人の人に見送られ村を後にしようとした。




「待って!」


 俺が振り返ると銀狼改めレイが駈け寄って来た。


「ナツキでいいか?」


 名前の話だろう。


「ああ、構わないよ」


「もう行くのか?」

「うん、あまりゆっくりしていられないんだ」

「そうか……なら私も行こう」

「え?」


 どうしてそうなる?

 俺は思わず叫びそうになった。


「解毒されれば、身体を動かす分には問題ないんだ。」


 うん、体調の心配じゃないんだよ。

「いや、どうして一緒に?」

「別段、珍しいことでもないだろう

 行き先が同じならまとまった方が魔物にも対処しやすい。」


 そういうモノなのか?

「それに……

 私はまだ、お礼ができていない」


 お礼ですか??


 ほんと勘弁してください。

 俺が引き起こして、お礼をもらう。

 なんというマッチポンプ……

 俺はまだそこまで落ちちゃいない……はずだ。


「き、気にしないでくれ」


「そういうわけにもいかない。

 ナツキは次の町まで行って何をするんだ?」


「えっと……実はな……」


 仕方ない。

 俺は、奴隷落ちから命からがら逃げだしてきたことを話した。

 俺が異世界から来たということはもちろん言わない。

 いきなりそんなことを言ったら頭のおかしい奴だと思われるからな。


 奴隷落ちの人間ならレイも考え直すだろう。

 俺ならまず、関わりたくないからな。


「そうだったのか。

 なら、なおさら私に手助けさせてくれ

 次の町ならいろいろ勝手がわかるからな

 仕事の一つでも紹介できるよ」


 予想を斜め上に行かれた。

 なんていい人なのだろう。

 そして、それは確かにありがたい。

 お金もない今の状況じゃ何もできないしな。


 日本人の俺に犯罪に手を染めるほどの度胸もない。


 俺は、少し迷い、レイの提案に甘えることにする。

 あくまで生活のめどが立つまで。

 そう自分に言い聞かせて。



「確かにそうしてくれると助かるよ」

「なら決まりだな」





 レイ。

 歳はナツキよりも若いくらい。



 ナツキとレイは村を出発した。





 第2章 完


お読みいただきありがとうございます

ご意見・ご感想・ご指摘大歓迎です

今後ともよろしくお願いします


今日も晴れ

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