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無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第2章 奮闘編 ~状況が 俺に楽をさせてはくれません~
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第30話 ボーイ ・ meets ・ ガールズ 2

 



 モリグマ以外にもモリイノシシやレッドウルフなんかも倒していた!?

 まさか、まさか、まさか。




「あ、あの…………この子の発見された場所って?」


「お前さんを見つけた場所より100メートルくらい上流だったか?」


「ああ、そのあたりだな。

 獣どもは川岸に沿って、上流のほうに転がっていたな。」


 え?

 ええ?


 ええええええええええええええ?

 マズい。

 それって俺のせいじゃないのか!???

 今の話の魔物って昨日、俺が引き付けた魔物じゃないのか?

 イノシシ…………

 オオカミ…………


 そして、クマ………………


 どうしよう……

 汗がドワッとあふれてくる。


 この子は……

 何の関係もないこの子は、俺のせいで死の境をさまよい、

 助かっても奴隷……



 ごめんなさーーーーーーい!!!!


 ほんとごめんなさいッ!


 俺の頭の中ではすでに数十回、土下座が繰り返されていた。


「おい、兄ちゃん

 顔色が悪いぞ。大丈夫か?」


「本当だ。まだ休んでいた方がいい。」


 そういうわけにもいかないんですよぉぉぉぉ


 たった今そうなってしまったのだ。


「あの薬ってどれくらいするんですか?」


「銀貨3枚ってところか」

「今じゃもう少し高いかもな」

「ああ、安くなることはないし、

 もしかしたら2,3倍に値上がりしてるってこともありうるな。」



 銀貨・・・どれくらい?

 銀貨と言われても帝国の通貨しか知らないからな。

 顏に出ていたのだろう、青年は付け加えてくれた。


「帝国式なら確か・・3万リグだったか?」


 OK

 あい、わかった。


 リアの給料3か月分


「高!!!!!」

 俺の叫びが治療院に響いた。


 その叫びに青年たちは失笑した。


「昔は銅貨3枚だったんだがな。

 今じゃ100倍だよ。」


 値上がりとかそんなレベルではないだろ。


 自販機のジュースが150円から160円になっただけで、心を痛めたのに。

 150円が1万5千円とかマジか!?


「王国の騎士団が市場の薬草をすべて買い取ったし、

 今も優先的に買い上げてるからな。

 ほとんど流通してないんだよ」


 買うのは無理だ。

 俺は一文無しだし。


「あの、薬に使われてる薬草って何かわかりますか?」


 これに答えてくれたのは、治療院のおばさん。

 40代くらい。

 白衣のような白い布を肩にかけている。


「ドクダミだよ

 知ってるかい?」


 おお、知ってるも何も、メジャーな植物でしょ!!

 日本じゃ、道端によく生えてるあの草ね。


「知ってますよ。

 いろんなところに生えてるやつですよね。」


 よし、何とかなる。

 そう思ったが、どうにもおばさんの顔はすぐれない。


「何言ってるんだい?」

「ドクダミは滅多に生えていないよ。

 ただでさえ、数が少ないのに。」

「一時期、冒険者や傭兵が集めまくったせいで、

 もうこのあたりには残ってないだろうな。」



 異世界常識来ました!!


 マジか。

 ドクダミなんてどこにでも生えてる草の代名詞みたいなもんだろ。


 コンクリの間から生えるレベルの生命力だよ。


 クソ。

 でもそれを見つければ、助けられる。

 俺はすぐに行動に移すことにした。




 昼食を、助けていただいた老夫婦の家で頂いた。


 午後、俺は旅支度をする。

 といっても借りた服を着て、短剣を腰に括り付ける。

 それだけだ。


 見送りに青年の一人がやって来た。

「兄ちゃん、本当に行くのか?」


「はい、夜までには帰ってきます。」


「あの子、知り合いじゃなけりゃ危険を冒すことないだろ?」


 そういうわけにもいかない……

 俺にも毛ほどの良心は残ってる……はずだ。


「自分にできることをやりますよ」


 本当のことは言わず、言えず俺はドクダミ探しを開始する。


 タイムリミットは日が傾き始めた時。

 夜は魔物の活動時間。

 出歩くのは危険だ。


 安全設計で行く。


 まず、川の下流に沿って探してみる。


 上流はまだ魔物の死体があるそうだ。


 村の青年たちが片づけをしている。

 匂いにつられて魔物との戦闘が起きることもあると、さっき聞いた。

 そんなことに巻き込まれては大変だ。

 そいうことで下流へ。


 3時間ほど下流に沿って川岸近くの森を見てきたが、収穫無し。



 お!!


 川の反対の方、

 小道がある。


 日本でもドクダミは“道”に生えていた。

 俺がたまたま見ただけかもしれないが、

 望み薄な、ここよりはいいだろう。


 俺はその小道で探すべく、川に入った。


 結構深い。

 場所によって、1メートルはあったと思う。

 俺が身長175cm、

 川の流れが速ければ、危ないところだった。


 川を渡り終え、小道を進んでいく。




 ……何もない。


 道かと思ったけど、ほとんど人の通った痕跡がない。


 村の人の話では、この辺りに村や町はないそうだ。

 帝国との国境沿い。

 数年前にいくつかの村を焼かれ、王国はこのあたりの村を解体したそうだ。

 俺とファナの行きついた廃村もそんな村の一つだったのだろうか!?


 ちなみに、あの村の青年たちは、いわゆる国境監視隊のようなものらしい。

 有事の際、異変を近くの街まで知らせるとか。




 1時間くらい歩いたかな。


 帰りはドクダミを探すことなく駆け足で帰るとしても、暗くなるまでには帰れるようにしたい。


 そろそろ、限界だ。

 日が傾き始めた。

 俺は引き返すため、来た道を小走りで戻り始めた。



 10分もしないうちに、足を止められることになるとも知らずに……





お読みいただきありがとうございます


今日も晴れ

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