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無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第2章 奮闘編 ~状況が 俺に楽をさせてはくれません~
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第29話 ボーイ ・ meets ・ ガールズ 1

 


 死んだのか!?



 意識が戻ってくる。

 出来れば女神がいるといいな。

 そんで女神を連れて、Re再び始まる俺の異世界生活!

 そんなことを思って目を開いた。


 見えたのは、女神ではなく、ただの古びた天井だった。


 身体中が痛む。



 顔を傾け、左右を視る。


 簡素な作りの部屋。

 特筆すべき家具などはなかった。


 そんな部屋の中央に俺は寝ていた。

 お世辞にも上等とは言えない敷布団に

 申し訳程度の掛布団を添えて。



 どうやら助かったらしい。


 ご丁寧に寝かせてもらっていただけでなく、

 肩に包帯が巻いてある。

 治療もされているようだ。


 ギギギーー

 俺の足元のほうにあるドアが開いた。


「ばっちゃん、めーーさましちょるよ」

 部屋に入って来たおじいさんが叫んだ。


 それを聞いたおばあさんも入ってくる。


「だ い じょう ぶです かい?」


 体中が痛んだが、状態を起こし、

 俺はお礼を言った。

「ええ、

 本当にありがとうございました。

 おかげでなんとか、生きながらえましたよ。」


 いや~~本当によかった。

 川ダイブからの生還で、運を使い果たした気分だが、

 神もたまにはいい仕事をするな。


 枕元(枕ではなくただの布の塊だったが)の近くに短剣があった。

 俺の唯一といえる持ち物だ。

 わざわざ拾ってくれたようだ。


「おつれさん に~会い ますか い?」


 おばあさんの言葉に俺は首を傾げた。

 ……ん?

 お連れさん?

 俺は一人のはずだが……


 ファナはステラとかいう人と逃げたはず……


 心当たりはなかったが、

 とにかく会ってみることにした。

 減るもんじゃないし、会ってみないことには何もわからない。


 俺はおばあさんの案内で村の診療所というところに行った。

 村はそれほど大きくなく、教会のような施設もない。

 村の真ん中に広場らしき円形のスペースがあり、

 その同心円状に家々が立ち並んでいた。


 治療院は広場に一番近い同心円状にあり、

 見たところ村で一番大きな建物だった。


 治療院に入ると、中にはこの村の青年と思しき男が5,6人いた。


「お前さんは無事なようだな。」


 青年は俺を見るなり声を掛けてきた。

 咄嗟に返事をする


「は、はい」



 話せば、この青年が俺を川岸で発見したらしい。

 意識を失っている俺を運んでくれたそうだ。


「本当にありがとうございました。」


 お礼を言っても言い足りない。

 これが九死に一生を得るってやつだな。


「だが、連れは厳しいぞ」


 んんん??

 この人も俺に連れがいると思っているのか?


「すいません。

 連れって?

 俺は一人なんですが……」


 その言葉で周りの男たちが顔を見合わせる。

 なんでも俺の倒れている近くで、倒れていた少女を見つけたらしい。


 心当たりはないが、

 俺もその少女を見せてもらう。


 ……おお、結構綺麗だ。

 薄い紅、ピンクではないそんな髪色の少女。

 まだ俺と同じか少し若いのではないかと思うくらいの年齢だ。

 整った顔立ちだが、どことなく苦しそうに眉を歪めていた。


「この子が俺の近くに?」


「ああ、知らないのか?」


「はい」


 身に覚えがない。

 とりあえず事情を聴こうとしたら逆に聞かれた。


 経験(日本にいた頃、見たり読んだりした知識)で知っている。

 奴隷うんぬんは良くない、と。


「旅の途中で盗賊に会い、逃げていたら川に落ちてしまい

 ……気が付いたらおばあさんの家でした。」


 それ以外の質問にも答えていく。


 出身の話で帝国――ガイナス帝国出身というと雰囲気が悪くなった。

 青年たちの顔がみるみる険しくなる。

 ヤバい。

 第6感で判断し、俺は言葉を続けた。


「実は、帝国を出るつもりで旅をしていたんですが、

 ご覧のありさまでして……」


 その言葉に若干青年たちの顔つきは柔らかくなった。

 ……よし。

 なんとか持ち直した。

 どうにも“帝国”はNGワード


 俺は心のメモ帳にメモを取った。

 一通り事情聴取は終わったようだ。


「どうする?」

 青年たちが相談している。


「あの、どうしたんですか?」


 少女のことだとわかっていたが、尋ねた。


「この子なんだが、とても危ない状況でな。

 モリグマの毒をくらってる。」


 苦しそうに見えたのは、毒のせいらしい。


 だがしかし、

 モリグマ?

 ドク?

 モリグマはまだわかる。

 森のくまのことだろう。

 俺を追って来た魔物の大群の中にクマっぽいものもいた。


 でもクマが毒?聞いたことないな。

 まぁ異世界だし、と納得するしかない。


「解毒はできないんですか?」


「ん?

 ああ、できるよ。

 ただ、高くてね。」

「町の薬師から薬を買えば治るけど……」


 モリグマはそんなに珍しい獣ではないそうだ。

 だが、ここ最近、人魔大戦の影響で薬の物価が軒並み値上がっている。

 この村には薬はないし、お金を出す余裕もない。


 そもそもどこの誰ともわからない少女だ。

 この世界は日本じゃない。

 医療制度もなければ、国民保険もない。

 俺はこのとき、初めて“異世界”を実感したのかもしれない。


 目の前の少女を見捨てる。

 なんとなくいい気分ではない。


「売るか?」


「そうだな。

 いい買い手につけば、薬くらい出してもらえるだろう。」


「それがいい。

 この歳の少女なら買い手が付くだろう。

 見てくれも悪くないし。」


 死ぬよりはマシ。

 そういう世界か……


 俺はその話題をそらしたくて、ただ、なんとなく尋ねる。


「よくこの子はモリグマから逃げられましたね。」


 そう、俺はただ逃げるだけでも精いっぱいだった。

 窮地を脱するため、一か八か川に身投げするほど追い詰められた。


「いや、この子はモリグマを倒していたぞ。」


 俺が今まで話していた青年とは別の青年が言った。

 それに応えるようにほかの青年らも話していく。


「ああ、モリグマの死体が近くにあったし、この子は剣を持っていたからな。

 間違いないだろう」

「剣は根元から折れていたがな」

「相当大立ち回りしたのだろう」

「この歳で惜しい才能だ。

 モリグマ以外にもモリイノシシやレッドウルフなんかも倒していたからな。」






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?


お読みいただきありがとうございます


今日も晴れ

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