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無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第2章 奮闘編 ~状況が 俺に楽をさせてはくれません~
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第28話 俺、頑張ってます 後編

 


「待ちなさい

 彼は大丈夫です。」


「ファナ様!!

 ご無事で」



 それを聞いた女性は、150万にひざまずく。

 女性は顔を上げ、150万の手に鎖がついているとわかると

 俺に殺気を飛ばしながらも150万の鎖を切っていった。

 このとき、殺気にちびってしまったのは内緒だ。



 俺は全く展開についていけず、

 ポカンと口を開けていた。


 どうなってるの?


「お急ぎを!!」


「この方の鎖もお願いします」


 150万が俺のほうを向いて言った。

 若い女性は一瞬俺と150万を見比べ、

 なぜかめっちゃ睨まれながらも、鎖を解いてくれた。


「あああ、ありがとうどッざいますぅ」


 噛んでしまった……


「ステラ、この方も一緒に」


「なりません!

 時期、この場所にも追手が来るでしょう。

 お急ぎを!」


「……ならせめて」


 そういって150万はステラとかいう女性の腰にあった短剣を引き抜き、俺に渡してきた。

 短剣を抜かれたステラは顔色を変え、慌てる。


「で、でん――」

「ステラ!」


 ふたりが見つめ合う。

 そういうのは嫌いじゃない……

 じゃなくて!

 蚊帳の外の俺はどうすれば?


 そんなことを思っていると150万が短剣を俺に渡してきた。


「これをお持ちください。」


「えっと、

 ありがとう、

 ……フェル」


「ファナです!」


 おっと、間違えてしまった。

 ステラとか言う人に、それはもうすごい形相で睨まれた。

 秋田の名物といい勝負だと思ったのは内緒だ。


 受け取った短剣は、見かけによらず、ずっしりと重い。

 剣なんか持ったことない。

 柄の部分にはきれいな宝石!?みたいなものが1つ、はめ込まれていた。

 どうすれば!?と思案していると、

 ふたりが動き出した。


「ナツキさん

 どうか、お元気で!」

「ああ、ファナもな!」


 150万はステラに手を引かれ、

 ふたりは足早に立ち去っていった。



 ……俺も逃げねば!!!!

 はっ となり、

 今すべきことを思い出す。


 よくわからんがチャンス到来。

 短剣でどうこうできると思っていないが、何もないよりはましである。


 すぐに追手が来るとか言ってたから

 とにかく遠くに逃げよう。


 外に出るともう、150万――もといファナの姿はなかった。


 俺は来た道とは逆の、馬車から遠ざかる方向に向けて走り出した。


 かなり走ったと思いたい。

 想像よりも早く疲れが出る。


 無理もない。

 もともと体育会系でないし、こっちの世界に来てからはというもの、運動などしてこなかった。

 そして極めつけは奴隷である。

 かれこれ2週間ほど牢屋で生活していれば、筋肉も落ちまくる。



 魔物が出そうで怖い。

 早く夜が明けないかな。

 今までは魔物が出ても護衛の連中が退治していたが、そういうわけにもいかない。


 チートもなしに俺が勝てるわけない。

 武器といえば、なぜか150万がくれた短剣。


 しかし、俺に剣は使えない。


 進んでいると川が見えてきた。

 大きな山脈がある関係でここら一帯は川が多いようだ。


 川・・・・


 そうか!!!


 人類は川とともに発展してきた。


 メソポタミア、黄河、インダスなど。

 川あるところに文明あり。

 この川をうまく下れば、人の住んでいるところにたどり着けるのではないか。



 そう考えた俺は、川に沿って走っていく。


 川の水で乾ききったのどを潤し、時折休憩をはさみながらも走り続けた。


 辺りはくらい。

 だが、月明かりはある。

 川岸と川の境界は見えるが、一方で森のほうを見れば、

 一寸先は闇だ。


 夜はまだ明けないのか?

 てゆうか案外寒いな。



 状況が変化したのは、それからどれだけ走った時だっただろうか……


 ガサガサ……


 かさかさカサカサ


 後方の森が騒がしい。

 いや、フツーに怖いわ。

 温室育ちの現代っ子、俺こと相沢夏希にとって夜の森はスーパーハードモード。


 神はいるのか、いないのか。

 俺にチートを授けるというテンプレはスルーしといて、

 こういうテンプレはしっかりするんだな。

 もうほんとヤダ


 突如、

 森からイノシシの様な魔物が現れた。

 ただ、現れるだけではない。

 もちろん、当然のごとく、俺を追って来た!


「たすけて~~~~~~~」


 火事場のバカ力!!


 今までの疲れは何のその。

 気づけば、生涯最高のパフォーマンスを俺は発揮していた。


 全力で逃げる。

 逃げるが勝ち。

 その言葉は偉大だ。


 なりふり構わず逃げる。


 異世界らしく戦う?

 武器はある?


 バカ言うな。


 そもそも短剣はリーチが短すぎる。

 これでどうしろと?

 そして大前提、俺は短剣の振り方すらわからん。

 武器を持たせれば達人になれるゼロの使〇魔でもなければ、

 ボタン一つで楽々ソードスキルな世界でもない。




 逃げる俺。


 追う魔物!!



 振り返る俺。


 増えてる魔物!!!


 イノシシの他に、オオカミの様な魔物、その後方に熊の様な魔物。

 魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物!!!!


 ああ、ダメだ。

 確実に距離が縮まってる。

 クソ!

 体力も限界だ


 ち、チクショ!!!!

 こうなりゃ一か八か。




 俺は…………


 ………………川にダイブした!!



お読みいただきありがとうございます

ご意見・ご感想・ご指摘大歓迎です

今後ともよろしくお願いします


今日も晴れ

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