第21話 俺が 奴隷で in the オークション
―――――新しい宿
はいどうも!
安全、安心をモットーにしている相沢夏希です。
ここはある意味“安全”な場所です。
なんていったって見てください。
この頑丈な檻。
並みの獣では破れないでしょう。
そして、ここでは1日2食のサービス付き。
冷め切ったスープにボロボロのパン。
同じようなものにお金を出して買ったこともある身としては、
無料でいただけるのはうれしいですね。
あ、でも御代わりはありません。
ここ注意です!テストに出ますよ
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あの日、気絶したらしい俺はどこかに運ばれ、身ぐるみ剥がされ、手錠掛けられ、足枷付けられ、牢屋に入れられた。
……うん、捕まりました。
これってあれですよね。
モニタリ〇グとかですよね。
はい、わかります。
カメラはどこですか?
俺としては幽霊タ〇シーが希望だったんでが……
贅沢は言いません。
そろそろネタ晴らししてください。
切実に!!
いかん、いかん。
思考がアホな方にいっても仕方ない。
チートなし、魔法無し。
どうしろと?
辺りを見ると俺と同じような子供がたくさんいた。
俺のように“個室”を与えられている子どもは一人だけ。
後は大きな檻に詰め込まれていた。
年端のいかない幼い子から二十歳くらいの成人まで。
女性が多いが、男もちらほらいる。
……俺とかね。
泣いている子、絶望している子が多い。
無表情な子もいる。
なんていうか精気がまるで感じられない。
なるほど。
これが異世界名物――――奴隷というヤツですね。
わかります。
俺の予定では、チートで奴隷な子を助けてチーレム!!というはずだったのに。
ねぇ神様、チートがないからって無理して奴隷イベント発生させなくてもいいんですよ。
「はぁ~~
どうするかな~」
こんなことなら葉山か大沢についてきてもらえばよかったな。
おっと、いかんせん。
これからのことを考えないと。
俺の予想では、確実に売られるからな。
「案外落ち着いているんですね。」
そう声を掛けてきたのは俺と同じ個室組の女の子。
年は15くらいだろうか?
まだ、女性としての特徴が発達していない。
が、ほかの子供に比べて、精気がある。
目が死んでいないようにみえた。
「いや、あせってますよ。
どうしようかと悩んでいます。」
おっと敬語が出てしまった。
まぁいいか。初対面では敬語を!
オフ会で培った俺の数少ない対人スキルである。
「これからのことを考えているだけで十分落ち着いていると思いますよ。
他の皆さまは、ただ絶望するしかないのですから。」
……絶望するしかない。
この世界では、それがあたりまえらしい。
俺は現状をさらに下方修正した。
「そういうあなたも随分落ち着いていますね。」
「わたくしは信じているのです」
あ、宗教とかそっち系かな。
俺は無宗教、クリスマスを祝い、正月は神社に行く。
そんなどこにでもありふれた日本人だ。
特定の神やら仏は信仰していない。
だが、いざとなれば知っている神仏すべてに祈る――そういう人間だ。
「あなたも信じてみませんか?」
おっと、新興宗教の勧誘はマズい。
転生先ではそういうのにきっとかかりやすいのだ。
パ〇ツをご神体と崇めたり、ウォシ〇レッ〇を崇拝したり、そういうふうにならないように気を付けねば!!
「お心遣い感謝します。
でも俺はもう少し自分を信じてみようと思います。」
「そうですか。
では、貴方に神のご加護があらんことを。」
少女はそういって祈ってくれた。
それから、会話はなかった。
俺は打開策を考え始めた。
*************
――――オークション会場
今回も結論から言おう
何も思いつかなかった!!
だって俺は一般人だし。
手品師じゃないし。
手錠、足枷付きの牢屋からどうしろと?
現代知識で何とかなるか?
いや、日本で、脱獄の話とか聞かないよ。
“脱獄”に焦点をあてた学園もの?
……あてにならんな。
もう、ほんとどうしろと?
そうこうしていたら何やら騒がしくなった。
ひとり、またひとりと連れていかれる。
解放かな?
思考放棄し始めた頃、俺の番がやって来た。
ああ。
今なら悟りが開けるレベルだわ。
オークション会場は大盛況だった。
ステージのみが明るくて、会場は薄暗い。
会場は賑やかで笑い声も聞こえてくる。
一方、ステージの“商品”は、精気のない表情だ。
ステージ上の“商品”に観客が、値段を付けていく。
カンカン!!
「10万リグで落札です。」
リアの給料10ケ月分。
オークションか~~
懐かしい。
俺も日本にいる頃は、ヤ〇ーオークションをやっていた。
買い手も売り手もやったことある。
掘り出し物を見つけてラッキーした時もあれば、
予想以上に高値で売れてほくほく微笑んだこともある。
だが、しかし、売り物として出品されるのは初めてだ。
初体験だ。
こんな初体験は一生したくはなかったが。
とうとう俺の番が回って来た。
「本日目玉商品の一つ。
なんと、異世界からやって来た男性です。
歳は17、体調等良好。」
「「「「「おおおお」」」」」
会場がどよめくが、俺はそれどころでない。
おい、今なんて言った??
異世界から来ただと?!?
どうして?
俺は異世界から来たような話はしていない。
持ち物もそれらしいものは持っていない!
たとえスマホが見つかったとしても珍しい魔道具といえば済む。
そうこう考えている最中も、司会の解説は続く。
「こちらの商品は皇帝陛下直々の出品になります。
証明書等発行されますので、偽物等の心配はご必要ありません。
また、この奴隷ですが、購入の際にはいくつか条件があります。
一つ、返品される際には、落札額の半額にて帝国が買い取ります。
他国を含む他者への転売は認められません。
また、購入後最低5年は生存させてください。
このほか陛下より承っております些事があります。
それらを承知の上で落札をお願いします。」
黒幕がこうも早く動いてくるとは。
つくづくこの世界は俺に厳しい。
皇帝陛下の出品?
つまり、あれか?
いらない子を再利用。
地球にやさしいエコだね。
あ、ここは地球じゃなかった。
……どうすんだよ!!
「1万リグからのスタートです!」
お!結構安い。
俺は確か葉山から10万もらった。
部屋にあるが、致し方ない。
背に腹は変えられない。
「2万」
その声に被せるように俺は言った。
「10万リグ」
決まったぜ。
まぁ観客は呆然としているが、ここは引いてはいけない場所だ。
自分で自分を買う。
我ながら名案だ。
「15万」
「20万」
「50万!!」
おっと……はるか上をいかれた。
1万リグスタート
これは、日本でいう1円スタートと同じことだったのか!?
俺は膝をつき、頭を抱えた。
ナツキの絶望に染まる表情をみて、会場はより一層笑いを増していた。
手持ちの5倍。
打つ手なし。
こんなことならもっと葉山からもらえばよかった。
「120万!」
ああ、リアの給料何か月分だ??
120か月
…………10年分。
おお、俺ってば、結構高いじゃん。
……泣いていいよね。
結局俺は120万で落札された。
しかし、その日一番高額ではなかった。
俺の後に行われたオークションで、もう一人の“個室”の少女がなんと150万だったらしい。
なんとも微妙な立ち位置だ。
切に帰りたい。
俺は、落札者の馬車へと連れていかれた。
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今日も晴れ




