第17話 エピローグ1 ~帝国の闇~
コンコン
扉がノックされる。
皇帝陛下の部屋の扉が開いた。
「陛下、お呼びですか?」
「うむ、マースよ、その後調子はどうだ?」
マースの位置から直接陛下を見ることはできない。
それでもマースは丁寧にひざまずき、報告をする。
「勇者一行は順調です。
レベルも驚く速さで上がっております。
時間をかければ、魔法のほうも問題ないかと
ただ、数名不審な動きがあります。」
「続けろ」
「相沢という男は、書物を読み、帝国のことについて調べているようです。
勇者一行の中でも浮いている存在のようですが、
対処は必要かと。」
帝国の障害となり得る可能性は早めに対処する。
マースはそう考えた。
「わかった。
任せる」
「はい!御意に」
「それだけか?」
「あとは葉山という女性ですが、
どうやらスキルの選択を成長ではなく、魔法にしていたみたいです。」
「魔法か……」
「はい、わが帝国の保有する魔道具には、魔法の“継承”はありません
“継承”されるのは、身体能力やスキルのみです。
いかがいたしますか?」
帝国の保有する魔道具は、血と血を交わすことで”契約”が発動する。
それは双方の合意でのみ、解除が可能となる。
「魔道具は、血の契約で書き換えができない。
一人くらいほおっておけ」
「御意」
「マースよ、“継承”の時期は変わりないか?」
「はい、今のところは。
1年を目安にしています。
そのころには勇者一行のレベルは100を優に超えるでしょう」
「1年か……
長いな。
しかし楽しみでもある。」
皇帝の低いくぐもった笑い声が木霊する。
それを背にマースは退出した
マースは自室に戻る。
宰相の執務室で誰もいない部屋に向って話し始める。
「仕事だ。」
誰もいなかった部屋には、体格のいい男が自然体で立っていた。
「召喚された勇者たちの中でこちらを嗅ぎまわっている奴がいる。
始末しろ」
「了解」
「名は相沢夏希、魔法もスキルもない
方法は任せる」
それだけ聞くと男は、一瞬あとには消えていた。
それは、ナツキたちが決意を新たに、これからの計画を話し合った日のことだった。
この話で第1章 完 です
お読みいただいた皆様に感謝を!!
第2章、第3章とまたお付き合いしていただけると嬉しいです
今後ともよろしくお願いします!!
今日も晴れ




