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無能お荷物の逆転!!異世界転移  作者: 今日も晴れ
第1章 召喚編 ~異世界 俺にはわりと厳しかったようです~
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第15話 やっぱりこうなるのね。でもそれが異世界! 前編

 


 俺が目立っている!?


 どういうことなんだ?


 自慢じゃないが目立つ要素はないように思う。

 無能だし、魔法使えないし。




 話を聞いてみると俺は少々うかつだった。



 勇者召喚。

 異国の地から召喚され、大なり小なり不安を抱えているはず。

 召喚されてすぐにカウンセリングのようなものがあった。

 俺は一回受けて必要ないと自分で判断し、それ以来、何もなかったので忘れていたが。

 どうにもそのあたりから目を付けられていたそうだ。


 聞けばクラスメイトの大半はそれに何回も参加したそうだ。

 時間制限付きで、帝国のことが聞ける。

 皆、不安や不満をそこで話していたそうだ。


 食事にしおっけが足りない。

 洗濯が雑。

 日用品が足りない。

 部屋が落ち着かない。

 テレビはないのか。

 といった些細なことから


 いつ頃帰れるのか?

 本当に魔王と戦わなくていいのか。

 夜、アレなことは本当にしちゃダメなのか。


 などなど。


 この世界の人と話せる機会を、皆はそれなりに活用していたそうだ。


 だが俺はしなかった。

 なぜか!?


 そんなの決まっている。


 そもそも帝国を信用していない。

 ならば自分で調べよう。

 そういうスタンスだった。


 しかし、これが帝国からしたら奇妙に見えたそうだ。


 まぁわからんでもない。


 適応力が高いのは、日本の優秀な作家のおかげ。

 転生・転移モノを読んでいたから。


 だが、この世界の人はそんなこと知らない。


 警戒するのは当たり前か。


 情報を求めすぎて周りが見えていなかったようだ。


「そんなことが……」


「ああ、だから街に行くなら早い方がいい。

 ナツキが図書館でどういった本を借りているのか。

 何を調べているのか。

 おそらく検討が付いているだろうからな。」


「……そうか」


「どうする?

 もし何かするなら協力するぞ。」


「……いいのか?

 俺はクラスでは嫌われ者だぞ。

 大沢はいつもそういうの避けてただろ!?」


「日本でのことは悪いと思ってる。

 怖かったんだ。」


「いや、それは別にいいよ。

 クラス内で極力話すのやめようって言ったのは俺からだしな」


 俺がクラスから避けられたとき巻き込んでは申し訳ないと大沢には言ってある。


「でもここは異世界だ。

 クラスメイトからの孤立は避けるべきだろう?」


「そう、ここは異世界だ。

 だからこそ、僕は今までの僕じゃダメなんだ。

 こっちに来てすぐ話そうと思ったんだ。

 でも勇気が出なかった。

 すまん。」


「謝るな。

 気にしないさ。」


 いいやつだ。

 俺の人生も捨てたもんじゃない。


「ナツキはどうする?」


 動くなら今……しかないだろうな。

 どれくらい監視されるのかわからないけど、異世界に来てからの俺の不運レベルは異常だ。

 きっとロクでもないことになるに違いない。

 なら、準備でき次第さっさと行動する方がいいだろうな。


「俺は……現状、帝国にずっといることは愚策だと思ってる。

 帝国が警戒しているならなおさらだ。

 だから複数の町に行ってみようと思う。」


「複数?」


「ああ、数ヶ月使って安全に旅をしようと思う。」


「帝国が許すか!?」


「ああ、たぶん許可しないだろうな。

 だから、まず帝都に出る。下の町なら城から1時間もあれば行けるだろう。

 そのあと、帝都から別の町に行くつもりだ。」


「なるほど。途中で行方をくらますわけだな。」


「ああ、一度きりなら使える。

 その一回で複数の町を調べて帰ってくる。

 その調査の結果次第で今後の行動を決める……かな。」


「なるほどなるほど。

 でも危なくないか?

 ナツキの最初のプランからしたらそうとう冒険してるぞ。」


「そうだな。

 でも帝国側から監視を付けられたら、それこそ何もできなくなる。」


「なら俺も行くよ。」


「いや、それはダメだ。

 俺が今日まで帝国側に放置され続けているのは、たぶん俺がクラス内ではみ出されているからだろう。」


「ん?どういうことだ?」


「俺のクラス内での発言権、発信力。

 そう言ったものが、ないからこその放置だろう。

 ここで今、複数で動けば帝国がどう出るかわからない。」


「でも、一人じゃやはり危ないだろ。」


「安心しろ。

 俺は危ないことをするつもりなど毛頭ない。

 安全マージンは常に取り、卑怯や姑息と友達になってうまくやるさ。」


「……期間はどのくらいだ?」


「そうだな……帝国の地図は頭に入っている。

 南の都市ラインとそこから西にあるエルベ、それにナイル……

 その三か所にするか。

 ラインは帝都に次ぐ大都市だしナイルも商業が盛んだ。

 定期便はかなり出ているだろう。

 問題は金だ。」


「こっちの通貨リグを手に入れる必要があるな。

 相場ってどのくらいなんだ?」


「リア――俺のメイドなんだけど彼女は月に1万リグの給金らしい。」


「1食は?」


「50~100リグ」


「金貨とか銀貨じゃないんだな。」


「ああ、帝国では札が出回っているな。

 冒険ギルドではまた違うしくみらしい。」


 俺と大沢が考えていると不意に声がした。


「お困りのようですね!!!」


 会話を割って”彼女”が現れた。


お読みいただきありがとうございます

ご意見・ご感想・ご指摘大歓迎です

今後ともよろしくお願いします


今日も晴れ

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