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空っぽ

彼方は遥に襲い掛かってきた。

遥には何故襲ってくるのか理解できなかった。

しかし、ただやられる訳にはいかない。

だから仕方がなく戦う事を決意した。

戦う事で理解し合えるならと…。


遥はライフルを構えた。


『やっとヤル気になってくれたみたいね』

『気乗りはしないんだけど、わからず屋は叱ってあげないと…いけないからっ!!』

遥はライフルで彼方を撃った。

ライフルからはビームが放たれた。

しかし彼方はあっさりと遥の攻撃を避けてしまった。

『そんな直線的な攻撃が通用するとでも思ってるの?』

余裕の笑みを見せる彼方。

遥はもう一度彼方目掛け撃った。

だが、今回は彼方から大きく外れてしまった。


『どこを狙っているの?下手くそっ!!』

彼方がそう言った瞬間遥かが放ったソレが彼方の背後から飛んできた。

振り返るとまさに紙一重、彼方の髪を掠り飛んでいった。

(今のはいったい…。)


彼方の振り向いた先には鏡のような物が浮かんでいた。

この鏡で反射させたのだ。


『いつの間にあんな物を…』

『次はコレだよ!』

遥の目の前に鏡が。

ただの鏡ではなかった。多面鏡だ。

『散弾!?』

ビームの弾幕が彼方を襲った。

STGシューティングゲームでいうところのボムを使わなければ回避出来ない様な量だった。


彼方は両手を前に出すとシールドを貼った。

シールド越しに彼方を襲う。

『こんな物…軽いのよっ!!』

彼方は全ての弾幕を防ぎきると扇子を振るおうとした。



その時、エンジェルキーが覚醒を始め亀の様なのが現れた。

彼方は遥への攻撃を中断し、亀の方へと飛んでいった。

『遥っ!俺達も向かうぞ!』

遥とピエールは彼方を追い掛けた。


殻にこもった亀に彼方が炎で攻撃するも全くダメージを与えられなかった。

『何なの亀のクセに!!だったら…水分が全て蒸発するまで燃やしてあげるわ!!』

亀は彼方の炎に包まれた。

「ギャオオオオ」と亀は悲鳴のような声を出し顔を甲羅から出した。


効いているのか!?


亀は自分と彼方を覆うようにシールドを貼った。

炎の熱気が亀と彼方を包み込む。

『まさか、道連れ!?』

彼方の炎で彼方ごと焼くつもりだ。

『我慢比べって事ね…上等よっ!!』

彼方は更に炎を放出した。

シールドの中はどんどん熱が増していく。

亀も彼方も体力が限界に近付いた。

そんな時遥がようやく辿り着く。


『彼方ちゃんっ!!』

遥の辿り着いたそこには今にも崩れ落ちてしまいそうな彼方の姿があった。

遥は必死に呼び掛けるが彼方には届かなかった。

次第に体力は尽き果て彼方は倒れてしまった。


それと同時に亀も倒れシールドは消え去った。

遥は急いで彼方の元へと飛んでいった。


『彼方ちゃんっ!!彼方ちゃんっ!!』

『返事がない…只の屍のようだ』

『こんな時にふざけないでっ!!』

ピエールに怒鳴る遥。

ケホケホと彼方が咳込んだ。

どうやら息はある様だ。


『良かった!生きてた!』

遥が喜んでいると亀のエンジェルキーが光出した。

『遥っ!エンジェルキーをっ!』

ピエールが叫んだその時空飛ぶ魚がエンジェルキーを飲み込み何処かへと飛び去ってしまった。



『今の何!?』

『…低級悪魔だ』

『悪魔!?』

ピエールが感じた魔力はこの悪魔だったのか…?

エンジェルキーは悪魔に持ち去られてしまったのだ。

だが、今の遥には彼方の方が心配だった。



『彼方ちゃんしっかりしてっ!!』

遥が彼方に呼び掛けると彼方は目を覚ました。

『うっ…キー…は!?』

身体がボロボロにも関わらず彼方はエンジェルキーの心配をしていた。


『キーはっ!?キーはどうなったのっ!?』

遥の首元を掴み彼方は言った。

遥は沈んだ顔で呟いた。

『…悪魔に奪われちゃった』

彼方はガバッと起き上がる。


『彼方ちゃん!まだ起き上がっちゃ駄目だよ!』

遥の声など気にもせず立ち上がる彼方だが、おぼつかない足取りだった。


『彼方ちゃんっ!!』

『来ないでっ!!』

心配する遥かを突き放す様に彼方は言った。


そこへドーラが飛んできた。

『今日のところは帰ろう』

ドーラがそう言うと彼方は軽く頷いた。


『どうしてそんなに頑張るの?』

遥は彼方に問う。


『………ぽだから』

ボソッと彼方は呟く。

『私は空っぽだから!!私にはコレしかないからっ!!』

彼方の瞳からは涙が溢れていた。

彼方とドーラは家に向かい飛んで行ってしまった。

遥の脳には彼方の言った【空っぽ】という言葉が深く残った。

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