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ガラクタ道中拾い旅  作者: 宗谷 圭
第3章 親友のいる村(トモノイルムラ)
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第18話 温かい気持ちを拾う 3

「良かったわね、ワクァ。友達ができて~」

 すこぶるご機嫌な様子のヨシが、茶化すようにワクァに言った。その様子に、ワクァは暫く考えるように沈黙していたが、ふ、と足を止めると訝しむ顔をしながらヨシに問うた。

「……ヨシ。何かあったのか?」

「……何が?」

 ワクァの言葉に、ヨシが動きを止めて問い返した。その声に、先ほどのような浮かれた調子は微塵も無い。

「断言できるわけじゃないが……子ども達を助けた夜から、何処となくおかしいぞ。浮かれてふざけた発言をするのはいつもの事だが、浮かれ方がいつもと違う。……と言うよりも、わざと浮かれているように見えるんだが?」

「……気の所為じゃない?」

 心なしか、不機嫌そうにヨシが答えた。すると、考える暇も無くワクァが言葉を返す。

「何ヶ月一緒に旅をしていると思っているんだ? 即興で物語を作り出したり、間髪入れずに盗賊に啖呵を切り返している場面を何度も見ているからな。会話に関するお前の頭の回転の速さは認めているつもりだ。何事も無かったら、お前がこの程度の問いに対してそんな風に言い淀んだりするわけがない。……違うか?」

「……買い被り過ぎなんじゃない?」

 やっとそれだけの言葉を絞り出すと、ヨシは黙り込んでスタスタと歩き出した。これ以上は何を訊いても無駄だろうと見切りを付け、ワクァも黙って歩き出す。更にその後を、不安げな瞳で二人を見詰めるマフが追う。

 一波乱の予感を覚えながら、二人と一匹はただ黙々と歩き続けた。



(第三章 了)

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