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ガラクタ道中拾い旅  作者: 宗谷 圭
第2章 守人の少年(モリビトノショウネン)
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第15話 理由を拾う 3

 青い空の下、ヨシとワクァは未だに言い争いを続けている。ただし、争いの内容は既に別の物にすり替わっていたが。

「何で捨ててきちゃったのよ、あのカツラ!? また使うかもしれないのに! 何より、すっごくよく似合ってたのに!!」

「あれを使ったのは緊急時で仕方が無かったからだ! 二度と被るか! そもそも、湖に浮いていて土左衛門と間違えたようなカツラを持ち歩こうと思う神経が信じられん!」

 表情を険しくして怒鳴るワクァに、ヨシは頬を膨らませて言い返す。

「も~! もしあれが王様の求めてる宝だったら、どうしてくれるのよ!?」

「王が探していると言う宝は、後継者のいない王の不安を取り払うと言われている物なんだろう!? なら考えられるのは不老不死の薬か、十六年前に病死したという王子を生き返らせる呪具か、はたまたそのショックから病気がちとなってしまったお后を治す薬か、もしくは新たな子どもを授かる薬か……そう言ったのはお前だぞ。あのカツラが宝だとして、どれに当てはまるのか言ってみろ!!」

「不老不死! 髪は女の命だから!」

「あれで不老不死になるのは髪型だけだろうが!」

 自分でも何を言っているのかわからなくなってきたワクァのツッコミに、ヨシは目から鱗が落ちたような顔をした。

「なるほど~! 言われてみればそうね。……あ、けどちょっと待って? そうなると、あれは偽物の髪の毛だから……仮初の命で不老不死に……あれ?」

 ヨシも自分が何を言っているのかわからなくなってきてしまったらしい。睡眠不足のテンションを恐ろしく感じながら、ワクァは疲れた顔で溜息をついた。

「……もう良い。それよりも、少し休むぞ。……流石に疲れた」

 言うや否や、ワクァはすぐ傍の木に寄りかかり座り込んでしまった。さしもの神経質も不眠不休の一夜はこたえたらしい。それに対して、まだまだ元気は売れるほど有り余っていると言わんばかりにヨシが言う。

「そうね。それじゃあ、ワクァがお昼寝タイムの間、私達はおやつタイムにしましょ、マフ!」

「まふ!!」

 元気よく応え、マフもヨシに続いて木陰に入った。夏の風が、二人と一匹に吹き付ける。この先の旅の為にも、今は疲れを癒しておけと言うかのように。



(第二章 了)

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