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ガラクタ道中拾い旅  作者: 宗谷 圭
最終章 ガラクタ人生拾い旅(ガラクタドウチュウヒロイタビ)
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第6話  新たな旅を拾う 1

「陛下は、お若い頃より心にも体にも苦労を積み重ねてこられたお方。それが今、病となって表に現れたのでしょう」

 暗い面持ちで、医師がそう告げた。部屋に集っているのは、ヨシとトゥモ、フォルコにウトゥア。そして、ヒモトとトヨに、先代の王と王妃。心配そうな顔をする人々に囲まれ、寝台に横たわったワクァは弱々しい呼吸を繰り返している。

「陛下の容体は、どのような……?」

 フォルコの問いに、医師は首を横に振る。

「今すぐどうなる、というものではございますまい。ですが、恐らく……お命は長くても、あと三年はもたないかと……」

 場が、静まり返った。

「三年……」

 トヨが、ぽつりと呟いた。一同がハッとした時には、トヨはもう医師に詰め寄っている。

「嘘でしょ? ……嘘だよね? 父様があと三年生きられないなんて、嘘だって言ってよ! ねぇ!」

 必死の形相で叫ぶトヨに、医師は言葉無く首を振った。トヨは顔を引き攣らせると、横たわるワクァの腕に取り縋る。

「父様! ねぇ、嘘でしょ? 父様は死なないよね? ずっと元気で、僕が大人になるまで、手合わせしてくれるよね? ねぇ!?」

「殿下、陛下のお体に障ります。今はお静かに」

 思わず、フォルコが嗜めた。すると、トヨは目に涙を溜め、部屋を駆け出してしまう。

「殿下!」

「私が行くわ。ヒモトちゃん達はワクァについてて!」

「じ、自分も行くっス!」

 ヨシとトゥモが、トヨの後を追って部屋を出る。それに、フォルコも続こうとした。その時だ。

「……フォルコ」

 微かな声に、フォルコは足を止めた。振り返れば、ワクァが薄らと目を開き、フォルコを見ている。

「陛下! お加減は……」

「大丈夫だ……」

 ワクァはヒモトと医師に目配せをすると、二人の力を借りて上体を起こす。先の王と王妃、それにフォルコが心配そうな顔をする中、ワクァは掠れた声で言った。

「フォルコ……トヨとヨシ達がいない間に、話がある。それに、父さんと母さんにも……」

 三人が困惑した顔を見合わせると、ワクァは弱々しい顔で苦笑した。

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