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ガラクタ道中拾い旅  作者: 宗谷 圭
第1章 双人の旅人(フタリノタビビト)
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第11話 相棒を拾う 2

 宿屋にチェックインして、部屋に入って荷物を置いて……とりあえずは足の疲れを癒す為、ベッドに倒れこむ。

 倒れこんでから、考える。さぁて、何処に行こうか?

 元々宿屋に荷物を置いたらタチジャコウ領を散策するつもりではいたが、何しろこの土地はしょぼいくせに広い。目的も無しに彷徨えば迷子になりそうだし、何より時間を無駄に過ごす事になりそうだ。ここは、何処に何をしに行くか決めてから出発する方が賢いというものだろう。

 さぁ、どうするか? 食べ歩きも良いが、宿屋の女将さんに夕食を頼んでしまった。食べ歩きの所為で夕食が食べれなくなるのも勿体無い。食べ歩きは、明日に回す事にしよう。

 では、ショッピングか?

……今は特にこれと言って欲しい物は無い。旅をしている以上、要らない物を買って荷物を増やすわけにはいかないし、不要な金銭を使うわけにもいかない。

 なら、観光か? ……見た所、この土地に観光名所らしき観光名所は無さそうだ。

 スケッチなんて趣味は持ち合わせていないし、眠るにはまだ早過ぎる。そもそも、一眠りしたくなる程疲れていない。

 ……困った。時間をどうやって潰そうか……。

 考えあぐねたヨシは、せめてもの時間潰しに先ほど会った二人の人物の事を思い出してみる。

 小さい方の少年の名は聞きそびれたが、少年の住む屋敷に仕えているのだろうと思われるもう一人の美人の少年はワクァと言ったか……。タチジャコウ家の家紋が掘り込まれた剣を持っていたから、やはりタチジャコウ家に関わりの深い人物なのだろうが……。

 それにしては、何かが気になる。あのワクァという人物、確かに剣の腕は立つようだし、一見見た目も口調も貴族に仕える者らしかった。

 しかし、一人称が「俺」だ。貴族の……それも家紋入りの剣を与えられるような者がそんな一人称を使うだろうか?

 ……ひょっとしたら、タチジャコウ家に雇われた傭兵か何かなのかもしれない。それなら、言葉遣いが多少荒くても納得出来る。

 だが、貴族があんな若い傭兵を雇うだろうか? いくら強くても、見た目が若過ぎるとやはり不安なのではないだろうか?

 それに、雇われた傭兵なら愛用の武器を持っているだろう。いくら与えられたからと言って、タイムの紋が掘り込まれた剣を使うとは思えない。

 第一、傭兵に居なくなった子供を捜させたりするだろうか? 普通は、しない。

 なら、彼はタチジャコウ家の執事見習か何かだろうか? ……いや、執事があそこまで剣技に優れている雰囲気を醸し出しているとは考え難い。

「……一体何なのよ、あのワクァって奴……」

 そう疑問を口に出してみて、ヨシはピン! と何かが浮かんだ顔をした。ベッドからぴょん! と跳ね起き、ガッツポーズを作って言う。

「ぃよ~っし! 今日の散策は、あのワクァって奴の調査! これに決まり! 徹底的に調べ上げて、今度会った時にはギャフンと言わせてやるわ! ワクァを調べるついでにタチジャコウ領の事についても調べれば一石二鳥!」

 普通は町の事を調べるついでに人物の事を調べるのではなかろうか?

 しかし、そんな事は考えずにヨシは出かける準備をし始めた。小さ目の鞄に水と道具数種を入れ、それを腰に引っ掛ける。部屋の戸締りを確認すると、宿屋のロビーに向かって走っていった。

 日は未だ中天から少しだけ傾いたばかり。雲一つ無い青空の下、聞き込みをする高くて明るい声が町中に響き渡った。

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