災竜と蒼きドラゴン
(注)半分勢いだけで書いたところもありますので誤字脱字やわかりにくい表現があるかもしれませんがどうかご容赦ください。
ズシン……ズシン……
大地を震動させる巨大な足音が鳴り響く。
踏み出された巨大な足の一歩はあらゆるものを粉々に踏みつぶす。
ゆっくりと前へと進む超巨大生物。
それは世界中を歩き回り破壊活動を繰り返す歩く災害、『災竜』。
そのなかの一体、『破壊竜』だ。
すさまじい巨体に加え、異常に発達した手足と背には生えた無数のとげが特徴的なドラゴン。
非常に凶暴な性格でこのドラゴンがもたらす破壊活動の被害は災竜随一を誇る。
その破壊竜がある街に現れた。
建物を、木々をあらゆるものを巨大な足の一歩で粉砕しながら進んでくる。
街の人々は恐怖におびえ混乱し逃げ惑う。
「逃げろーっ! 早く非難するんだーっ!」
少しでも破壊竜から遠ざかろうと必死に人々は走る。
だがその間合いを破壊竜は巨大な一歩で消してしまう。
「くそっ……竜討軍はまだなのかっ⁈」
街の人々は竜討軍を待ちわびる。
竜討軍、それは対・災竜を専門とする軍隊のこと、本来ならば災竜が現れた時は竜討軍が対処するのだがこの町は竜討軍の本部から遠く離れた場所にありこの場所に到着するには時間がかかりすぎる。たとえついてもその時は破壊竜に街は完全に壊滅させられた後だ。
そのため現状況、街は九十九パーセント以上の確率で壊滅してしまうだろう。
助かるとしたら気まぐれで破壊竜が進路を変えるか誰かが破壊竜を倒すかだ。
だが前者は進んで人が集まる場所を狙い破壊活動をする凶暴性が高い破壊竜に限ってそれはなく、後者は圧倒的な力をもつ破壊竜と互角以上に戦えるのは竜討軍ぐらい、この場にいる民間人ではまず不可能だ。
絶望的な状況の中、さらに破壊竜は追い打ちを仕掛ける。
「グルオァァァァァァァァァッ!!」
破壊竜が鼓膜が破れそうなほどのすさまじい咆哮をあげる。
その直後、破壊竜の周囲で突然何もない場所からすさまじい爆発が発生する。
爆発は木々を焼き、踏みつぶされた建物をさらに細かく粉砕しがれきの山にし、爆発による爆風は人々を吹き飛ばした。
これは破壊竜の『力』の一つ『爆破の咆哮』、咆哮と同時に何もない場所から突然爆発を引き起こす魔法のような力だ。
すさまじい巨体での移動での被害も脅威だがもっとも恐ろしい破壊竜の被害はこの爆破の咆哮にある。一度、竜討軍の対・災竜特化戦車部隊と交戦した時、この咆哮一度で全戦車を一度に爆破し部隊を完全壊滅させたほどだ。
この咆哮により街は先ほど以上に被害を受け、元の街の姿の面影はなくなってしまった。
街の人々の大半も爆風により吹き飛ばされたときにけがを負い、多くの負傷者が出てしまった。
そんななかを破壊竜はがれきの山を踏みつぶしながら無慈悲にもゆっくりと人々のもとへと近づいてくる。
すると街の人々の一人があることに気づく。
「おいっ、あんなところに子供がいるぞ!」
人々の集団から数十メートル離れた場所に赤い髪の色の一人の女の子がいた。
年齢は十、十一歳ほど、どうやら足にけがをしているらしく歩けないようだった。
「助けて……誰か助けてよぅ……」
少女は泣きながら助けを求めていた。
「どうする⁈」
「助けに行かないと!」
「無理だ、今いったらお前も死ぬぞ!」
「でも……」
人々が慌てふためいているその時だった。
ドシンッ……
少女の数十メートル先に巨大な足の一歩が踏み出された。破壊竜だ。
後数歩で少女のもとへ到達してしまう。
「ああっ⁈」
誰もが最悪の事態を想定した。
そして破壊竜がさらに一歩をを踏み出そうとした。
だがその時、だった。
天空から『何か』が破壊竜めがけて急降下してきた。
そして何かは破壊竜に拳のようなもので急降下しながら殴りかかった。
その衝撃で破壊竜は後ろへ飛ばされ山の斜面に激突した。
山以上の巨体を誇る破壊竜を一撃で吹っ飛ばしたパンチを繰り出した何かはゆっくりと少女の前に降り立った。
降り立ったのは蒼い鱗を持ち、巨大な翼を広げ大きな手を持つ巨大なドラゴンだった。
「なんだあれは⁈ まさか新手の災竜か⁈」
「いや、俺には少女を助けたようにも見えたぞ」
「一体何なんだあの竜は⁈」
人々がざわついているのをよそに蒼いドラゴンは巨大な手で少女をすくい上げた。
「なっ何をするきだっ⁈」
人々がより一層ざわついた。
すると蒼いドラゴンは少女を手に乗せたまま人々の前に手を差し出し、ゆっくりと少女をおろした。
「あり…がとう…」
少女は小さな声で蒼いドラゴンに礼を言う。
「どういうことだ⁈」
その様子を見て人々は驚愕した。
『ドラゴンが人を助けた』
そのことに人々は驚いたのだ。
ドラゴンというと人々はまず災竜のことを指す。災竜とは世界に害をなすだけの怪物のこと、もちろん人を助けること何度するはずもない。
だがこの『蒼いドラゴン』は人を助けた。
ならば考えられるとするのはただ一つ、このドラゴンは災竜ではないということだ。
ではここで疑問が生じる。この世界のドラゴンとはイコール災竜、つまり災竜でないドラゴンは存在しないはず、ではこの生物は何なのか?
突如起こった『ドラゴンが人を助けた』という事実に人々はざわめきを隠せなかった。
だが今度は別のことにざわつくことになる。
蒼いドラゴンが少女を助けた優しそうな目から強い殺気を放つ戦いの目に変わった。
その視線の先には先ほどのパンチで吹っ飛ばされけがを負った破壊竜がいた。
「なっ⁈ 奴は不死身なのかっ⁈」
人々はまたもざわつく。多少けがをしているようなものの破壊竜はほとんどダメージを受けていないようだった。
その破壊竜の眼にはけがを負わされたことへの怒りの意思が宿っていた。
「グルァアァァァァッ!!」
咆哮をあげ爆発を引き起こしながら破壊竜は蒼いドラゴンに向かってくる。
それを迎え撃つように蒼いドラゴンも破壊竜に向かっていった。
そして二体のドラゴンが激突する。
山を越える巨体同士の激突の様子はすさまじい迫力だった。
大地が鳴動し空気が震撼する。
巨大な腕を振り合い、鋭い爪で互いの体を斬り裂く。
だが、とげの鎧をまとう破壊竜は蒼い竜の攻撃をとげで腕を傷つけながら跳ね返す。
そして蒼いドラゴンの手から血が垂れ落ちる。
だが蒼いドラゴンは苦しむ声を一切あげず、破壊竜のとげの鎧がない腹部めがけて鋭い爪の一撃を叩き込む。
今度は破壊竜の腹部から血しぶきが飛ぶ。
一瞬ひるんだ破壊竜のそのすきを逃さず、間髪入れずに蒼いドラゴンは腹部をさらに斬り裂く。
十字に切れた破壊竜の腹部からは大量の血が流れだす。
苦しみ膝をつき倒れこむ破壊竜。
それを見た蒼いドラゴンは上空に飛び上がった。そして右手を天に掲げた。すると巨大な大剣が出現した。
それを蒼いドラゴンは手に取り、剣を構え、一気に膝をつき倒れこんでいる破壊竜めがけ急降下した。
そして破壊竜を大剣で斬り裂いた。
すると破壊竜は真っ二つに割れ断末魔をあげ爆発した。
そして爆風によって巻き起こった砂埃が収まるとそこには破壊竜の姿はなく、大剣を収めた蒼いドラゴンがたたずんでいた。
と、そこへ山の向こうから知らせを受けた竜討軍の対災竜戦闘機がようやく到着した。
それを見た蒼いドラゴンは翼広げ空高く飛び去って行った。
それから五年後—……
竜討軍の戦艦の船着き場に多くの兵士が集まっていた。
「よくぞこの三年間厳しい訓練に耐えぬいたっ! 貴様らは今から初陣を迎えるっ! 今回の敵は災竜、『大海竜』だっ! 命をささげ、全力で災竜を討伐せよっ!」
「はっ!」
この日は竜討軍の訓練兵が正式な竜討軍の兵士となり災竜討伐に向かう日だ。
討伐しに向かうのは現在、特に甚大な被害をもたらしている二体の災竜の一体、大海竜だ。
「では戦艦にのりこめっ!」
ベテラン兵士や新米兵士が戦艦に乗り込む。そして、
「出撃っ!」
戦艦が出撃した。
「グァァァァォォォォォォォッッ!!」
戦艦がたどり着いたのは大海竜の進路先の海だ。
戦艦の先には超巨大で長い体を持つ災竜、大海竜だ。
大海竜は咆哮をあげ津波を引き起こす。
「防壁展開っ!」
戦艦が魔石による力の防壁を展開する。
戦艦のいたるところに配置された藍色の石が光り輝き、魔法のバリアが戦艦をつつみ津波から戦艦を守る。
『魔石』それは魔力という不思議な力を宿す藍色の石だ。
防御だけではなく攻撃にも使用でき、竜討軍はあらゆるものにこの魔石を使用し対・災竜の主力手段としている。
「防壁解除っ! 同時に砲撃開始っ!」
戦艦は防壁を解除し、魔法砲台による攻撃を開始する。
だが……
「グァァァァォォォォォォォッッ!!」
大海竜は全くひるまず、咆哮で再度津波を引き起こす。
「くっ、防壁展開っ!」
戦艦も再度防壁を展開する。
「防壁解除っ……くっ……やはり手ごわいな……」
上官が苦い顔をする。
大海竜は海中に潜り前へと進行していった。
災竜は超巨大な体と圧倒的な力を持つ規格外の怪物、容易に手に負えるものではない。
上官がどうするか悩んでいると……
「私に任せてください」
新米兵士の中の一人の兵士が静かに名乗り出た。
それはさらりと伸びた長い赤髪をした美しい少女だった。
頭に小さな蒼いドラゴンを模したような形の髪飾りをしており、右手には魔石が埋め込まれたブレスレットをしている。
「む、貴様は確か首席卒業のミルス・ミルファードだな」
「はい、私に任せてください、私がおとりになって大海竜の気をひきます。そのすきに全戦艦で集中砲火してください」
冷静な顔で提案する。
「……自信があるのか?」
上官が問うと、
「はい、必ずやってみせます」
そう、ミルスは答えた。
「うむ、では我々も全力で援護しよう、……よし! 貴様ら聞いたなっ、ミルス・ミルファードが今から囮となり大海竜を引き留める、そのすきに我々は一斉に砲撃を開始する、わかったなっ!」
「はっ!」
「ではミルス。ミルファード、頼むぞっ!」
「はいっ!」
ミルスは敬礼し、浮遊魔法を使い空へ飛び立った。
そのころ竜討軍本部にある連絡が入った。
それは現在別地方で現在甚大な被害をもたらしているもう一体の災竜、『天空竜』と交戦中の部隊からだった。
「はい、こちら竜討軍本部です」
「こっ、こちら天空竜と交戦中の部隊ですっ」
「ど、どうしたんですかっ⁈」
本部の連絡員が慌てた様子の天空竜と交戦中の部隊の兵士に問いかける。
すると兵士はこういった。
「奴がっ……蒼いドラゴンが現れましたっ!」
と……
そしてここから始まることとなる。
災竜と竜討軍ら人類の新たな戦いが—……
どうも、自分、ヒラヤマユキタカといいます。
このたびは自分の小説を読んでいただき誠にありがとうございます。
ネット上に小説を投稿するのは初めてとなりますので至らぬ点が多々あるかと思いますがもしよければ今後ともこの小説をお願いします。