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「14・バイト、時々特訓 その3」読了推奨。

ディー団長が変です。

<ある騎士の観察より>


ディエルゴ・リュディガー騎士団長が新人を連れてきた。


最初、小柄で華奢な子供が早朝訓練だけとはいってもついてこれるのだろうか、と思った。

だが、その細い身体とは相反して随分大人びた目をしたその少年は、みんなの遅れを取りながらもよく訓練についてきた。


始めは遠巻きに見ていた他の騎士達にもすぐに受け入れられ、声を掛けられるようになった。

頑張ってついていくヤマダをみんな弟分のように思い、可愛がるようになるのに時間はそう掛からなかった。

「ヤマダー、あと1週だ。頑張れよ!」

「あり、がとうござい、ます。チックさん。」


「大分、剣の持ち方が様になってきたじゃないか。」

「そうですか?嬉しいですナートさん。」


「ガーランド副団長。せめてタオルは絞って下さいって言ってるじゃないですか!」

「ハハハ。男が細かいことを気にするもんじゃないぞ。」


その様子をディエルゴ騎士団長が、恨めしそうな顔で見つめている。

そばに近づくと、何かをブツブツ呟いていた。

「何故だ。何故、みんな名前をきちんと呼んでもらっているんだ!?ヤマダめ。俺の名前はきちんと言えないくせに・・・。」


自分は団長がヤマダを連れてきたのは良い兆候だと思っていた。

『王の盾』となるため呼ばれた娘に執心し、訓練をサボりがちになり仕事も疎かになっていた彼が、少年を連れてきてからは、ほぼ毎日訓練に参加し、仕事もきちんとこなすようになったからだ。

手のかかる弟分を得て、自分がしっかり見本となってやらねば、という気負いが見て取れた。


あわててガーランド副団長に相談しに行くと、

「女に夢中になって仕事しなくなるよか、男に夢中になっても仕事はしてる方がマシだろ。いいから、放っておけ。それに、見ていて面白いからな。余計な口出しするなよ。」

とガハハと笑われ背中を叩かれた。


今も団長はヤマダがこけたところを手を貸して起こしてやっている。

きっと本人も気付いていないのだろう。

その笑みが、いつもの爽やかな笑みよりもさらに笑みが深いことに。

まあ、団長が幸せないいか、と自分で自分を納得させることにした。


後日、ヤマダに熱心に自分の名前を言わせようとする団長の姿が目撃されたとかされないとか・・・。

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