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第一話 日常の予鈴

作者は、Arcadiaで改定前の作品を投稿している人物と同一です。

勘違いする人はいないとは思いますが、念のため。

本当ならあっちの名前で投稿しようと思ったのですが、それだとこっちでも投稿しているので紛らわしいので。


それと、この作品はここで投稿している同時連載中の『魔族の掟』と同じ世界観と、時間軸を有しております。



「え・・?」

河戸真水は、混乱の極致に居た。



「(こういうときは、自分の置かれた状況を整理するんだ。)」

自分は弟の姿が家に見えずに、呼んでも居ないことに不審を抱いた。


この時、時間は深夜十二時を回っていた。

そもそも、今日、自分が高校から帰ってきて一度も弟とは顔を合わせていない。


弟は、今日は中学校から帰ってきてすら居なかったのだ。

夕食の担当は弟なので、今日の食事はわびしかったのを覚えている。


ふと、近頃起きている、連続猟奇殺人事件が、付近の市内で起こっている言うニュースが頭を過った。

もしや弟は殺人鬼に襲われたのでは?



そう、自分は弟が心配になって探しに出たのだ。

何をやっているんだあいつは、と思いながらも、自分はとりあえず近所のコンビニにまで歩くことにした。


その最中で、ドシン、と何か巨大なモノが落下する音が聞こえた。

それも、真後ろだった。振動が、自分の所までやってきて、自分は驚いて振り向いた。




満月を背に、巨大な何かが立って居た。



何かが、叫ぶ。

獣のように叫んだ。


ように、ではなかった。

獣だった。巨大な、身長にして四メートルはある、熊だった。


この近くに、山は無いし、熊は住んで居ないはずだ。

それでも、異常だった。あんな大きな熊は、俺は知らなかった。



自分は次に恐怖を覚えた。

多分、悲鳴を挙げていたと思う。


だが、長い獣の咆哮は自分の悲鳴はかき消される。


死ぬ、と思った。

逃げよう、という選択肢すら思い浮かばなかった。

殺されるだろう、と確信してすらいた。



だが、その時、自分の前に、立ちはだかる人物がいた。

こともあろうに、その人物は近くの家の屋根の上からやってきたのだ。


自分は、俺は・・・・彼女を知っている。




「吉中・・?」

彼女は今年の春、高校に進学すると同時にクラスメイトになった少女だった。


俺はますます混乱して、今日一日を思い返していた。







・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・






ここは木賀市。

首都圏の隅にある何処にでもあるような市である。

周囲に目立った施設が無い所為か、わりとひっそりとしていて人工も13万人。割と一般的な数字である。

昔から酷い天災に遭う事も無く、とても緩やかで安定した所だ。


町を横切るように木賀川が流れており、現地の人々から、川から北を上流区、川から南を下流区、と呼ばれており、特に深い意味は無いが、上流区には首都圏の影響を受けているのか現代風で、下流区は土地が安い為か、裕福ではない人々が住んでいて、奥の方に行けば、時代に取り残されたような家も発見できる。



その下流区に、我が兄、河戸真水は住んでいた。


少々、変わった印象を受ける名前で中学時代に“淡水”といじめを受けていた、という経歴を持つ。

歳は16になったばかりで、先月から近くというだけの理由で私立の木賀高校に通っている。

全く、親の金を何だと思っているのだろうか。


家族編成はこの時代にしては珍しく、彼と今年中学生に上がったばかりの義弟(つまり僕のことである)の二人暮しだ。


両親は、既に他界している。

遺産が思ったより多かったのが幸いし、何とか一軒家を売り払わずに済み、真水が成人するまで持ちそうではある。


と、一口に説明するのは容易いが、それだけで当人の本質を知ろうなど、愚かにも程があるだろう。



「それから・・・・」

僕はシャープペンシルを嬉々して進める。


――――――――バシン。



「ふぎゃ!!」

軽い衝撃。

ノートをを丸められた物で叩かれたらしい。



「なにすんだよ、兄貴。」

僕はそんなことをした唯一の家族に目を向けた。



「ウェルク、レポートに要らない事を書こうとするな。」

やれやれ、と兄貴は息をついた。


僕と違って平凡な面構えである。

スレて金髪に染めたりしても、別に背も高い訳じゃないので微妙な感じになるのを分かっているのだ。

兄貴はその辺の馬鹿な学生連中と違って、身の程を弁えているようだった。



ちなみにレポートの題材は、私の家族についてである。

倫理の授業の課題だ、小学生の課題だろこれ、と僕のクラスの皆がそう思ったことだろう。



「それで兄貴、何のようさ。」

「朝飯だよ、今日の当番は俺だからな。」

「ああ、犬の餌か。大して上手くないくせに、よく料理なんて作る気になれたね、兄貴。」

もう一発、ノートを丸めた奴で頭を叩かれた。






―――――――――――――――――――――――――








俺は不満そうに口を窄めて尖らしてる義弟を見下ろし、溜息を吐いた。



河戸ウェルク。

俺の父親が十年前に養子として貰って来た5つ下の義弟である。


茶髪を短く切り、釣り目には眼鏡がよく似合っている。

いつも自信ありそうに唇を吊り上げ、意味も無く兄貴の俺を見下したような態度で話すませた子供である。



名前の通り、日本人では無く、欧米人か英国人あたりだと、真水は推測している。

なぜ推測かというと、そんな詳しい事は知らされずに父は他界したからである。

知りようが無い。それが二年前だ。

欧米では人種のサラダボウルなんて言われているくらいだから、自分の起源を知りたがるのは普通らしいが、ウェルクは全くそんな様子を見せない。興味無いのだろう。




親父は滅多に帰ってこない。どこかの大学で考古学の教授をしているとかで、収入には困らなかったが、一年に帰ってくるのは数回だったのは覚えている。

そんな親父が急に外国人の養子をもらってきたのだから、当時は親父は御袋と大喧嘩したのを覚えている。


最終的にDNAの検査までしたのを覚えている。

結果が出るまで家の空気は最悪だったのを、幼いながらその時の居心地の悪さを忘れていない。



そんな紆余曲折があって、俺はこの弟が苦手だった。

嫌いではない。憎まれ口を叩くし、嫌みったらしい性格でネチネチと他人の失敗を責めたりするが、こいつは今俺の唯一の家族なのだから。


こいつがただのガキだったら、俺はこいつを愛せたのかもしれない。




そう、ただのガキなら。



ここは、亡き父が生前使っていたと思われる書斎である。

あるのは入り口と四畳間程度の室内に机、あと本棚の壁である。そこにぎっしりと、本が押し込まれている。


真水は横に積み上げられている何処の言葉か分からない本を見た。

この義弟は、探求心が貪欲と言っていいほど旺盛で、この部屋の哲学書(らしいが、俺は一度も開いたこともない)を書いた人物に共感し、それからずっと篭りっぱなしである。

しかも、後で聞いた話だが、内容はとても笑えるような代物ではない。

現代で言えば、オカルトや、ミステリックな内容だ。

それからと言うもの、この本たちはウェルクの性格に多大な影響を齎したと思われる。


所謂、天才なのだ。

話の内容は時々、真水でさえついていけない事もある。



晩年、親父は気が触れていた。

親父は死ぬその前日まで、ウェルクにつきっきりで勉強を教えた。


親父がウェルクを連れてきてから、親父はよく俺をそっちのけでウェルクに勉強を教えていたが、親父は御袋が死んでも葬式すら開かずウェルクに勉強をさせていた。


当時俺は小学二年になる頃で、人が死んだら葬式をするくらいは知っていたし、幼心でどうして御袋を蔑にするのか聞いたこともあった。

親父は何も言わなかった。

後で知ったことだが、親父は学会で狂人扱いされていたらしい。


当然、子供だった俺は納得いかない。何度も何度も親父に問い詰めた。


親父は、そんな俺がうっとおしかったのだろう。

ついにある一言を俺は引きだした。





「お前とウェルクは違う。あいつは、神の子なんだ。」

と。



その日から、俺は親父と一言も話さなくなった。








ウェルクは一日の大半をここで過ごし、最近はここで寝る事もしばしば。

今日も、真水はその不健康な義弟の様子を、朝食を作ったと言う体で見に来た次第である。


「勉強も良いが、早く寝ろといつも言ってるだろ。

頭の中はともかく、お前の体はまだ子供なんだからな?」

「わかってるよ、僕だって睡眠くらい取るし、食事だってする。

そもそも、生活力の無い兄貴が言っても説得力が無いよ。」

そう言って、ウェルクは非難する様な目付きで、俺を見た。

確かに俺に生活力は無い。しかし、自分の部屋くらいは片付けるし、洗濯ぐらいは手伝ったりする。


・・・・それ以外、俺は全然駄目だが。




「ああ、そうだとも、だからこそ、お前に倒れられたら困るんだ。」

何せ、こいつが風邪をひいたら看病するのは俺だからだ。

そんな俺の心境を知る由も無く、ウェルクはあからさまに嘲笑を浴びせてきた。


「はぁ・・・・まったくダメだねこのクズ兄貴。」

「人のダメっぷりを再確認して喜んでいるクソガキに言われたくないな。」



結局、それから兄弟喧嘩が30分に及んだ事を追記しておこう。








―――――――――――――――――――――――――







翌日、起床。

昨日は日曜日だったが、今日は月曜日である。



「・・・・・・・・」

きっちりと定時に起き上がった真水は、六畳間を見渡し、何も言わずに着替える。

部屋の中は男らしい生活感の溢れる散らかり様で、二週間に一度は掃除しているが、三日も持った試しがない。


散らかった物を踏まないように部屋の外に出ると、洗面所に向かって顔を洗う。

うがいをしてから歯を磨いてキッチンに向かうと、いつもの通り二人分の朝食がテーブルに並べられていた。



ハムエッグに牛乳とトーストと、洋風朝食の概念を集約したような当り障りの無いメニューを頬張り、目の前の義弟に目を向けた。

「朝食ぐらい、本を放せ。」

真水が言った。半眼で義弟をにらみながら。



目の前で、ウェルクは片手で食べれる故か、サンドイッチを食べながらハードカバーの本を読んでいた。

相も変わらず、何処の言葉だか分からないタイトルであった。

少なくても、英語では無いのは分かる。ゆとり世代だろうがそれくらい判別はつくのである。義務教育万歳。



「一分一秒も惜しいの。ベートーベンだって、生まれてから初めて作曲を始めた5歳までの月日すらも惜しんだんだ。」

「そうかよ。」

明日使えないかもしれないムダ知識が増えた事を感謝しつつ、真水はもう注意を止める事にした。




ここ最近、ウェルクはより一層読書の時間が延びている。

三月頃は普通に過ごしていたのに、四月の中旬頃になると、現在のように寝る間も惜しんで読書を続けている。

やはり、中学生になって人生の目標でも見つけたのだろうか。

そうならば、兄として喜ばしい事なのだが。



真水は、ウェルクの読んでいる本に目を向けた。


読んでいる本が、あの父の書斎の本棚に収められている異言語の本と、共通しているのだ。

一度、読んでいる本のタイトルを聞いたところ。


「え、この本のタイトルだって?『――――――――――』(理解不能な単語の羅列)だよ。」

全く理解できなかった。

むしろ、頭の方が拒絶したと言った方が近い気がする。

そんな本を、平均程度の学力しかない真水が理解できるはずも無いのだった。




――――ウェルクは、親父が言った通り、神童だった。






朝っぱらから疲れつつ、読書に熱中する義弟より先に学校指定の制服とブレザーに着替え、通学路につく事にした。

真水の通う私立木賀高校は、木賀川から丁度北東の約一キロ地点に位置する。

登校終了が8時30分なので、8時に家を出れば十分に間に合う計算だった。



もう既に通い慣れた通学路を歩き進めると、前方に同じ木賀高に通う連中の中に見慣れた人影があった。

「北沢!」

「ん?河戸か・・・。」

声を掛けると、いつもどおりの一定の反応をしてくる北沢。



彼は、北沢誠司。

中学からの付き合いで、真水の親友である。

見るからに真面目で堅物な男で、見た目以上にかなり計算高く行動し、遅刻など一度も見た事が無い。

昔、そろばんを習っていた所以か、頭の中に行動日程が刻まれ、その通りに動いているとは、当人の弁だ。

きっちりした奴だが、きっちりとしたマイペースでもある。我が道を行っているとも言う。

父親から兄弟まで警察関係者ともなると、こういう性格になるのかもしれない。

この男と合流できたのなら、真水の遅刻は万一にも無くなったわけだ。




無論、当然ながら人生には予想外のことは当然の如く起こるのである。



木賀高校正門前に差し掛かった頃、またまた見覚えのある人物が、誰かと人目を気にせず言い争っていた。

「あれは・・・・国木田か。」

北沢が目を細めて呟く。



言い争っているのは、国木田宗一。

真水が高校に上がってからの友人であり、剣道部所属のクラスメイトである。

さっぱりして気の良い奴だが、喧嘩っ早くて時々始末に負えない。

見た目どおりに野生児で、頭の出来がよろしくない。ウェルクの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいに。


俺と北沢と国木田で、所謂定番の三人組をやっている。

高校に上がった時に席が近かったのもあるが、今では気が置けない友人だ。




「で、言い争っている・・・否、迷惑がられているのは、吉中か。」

北沢がぼそっと呟くように言った。



彼女は、吉中朝美。

国木田と同じく剣道部所属だというのを真水は聞いたことがある。

身長180センチある国木田より顔ひとつ下ほどの身長だから、160センチ程度。

見るからに華奢だが、一度部活動で国木田と試合をして、完膚なきまで打ち倒したという。依然悔しそうに国木田が話していた。

短く切り揃えられた日本人特有の黒髪に、ウェルクとは違う鷹のように鋭い目。それが堪らないという男子が多いらしい、真水には理解できなかったが。

美人ゆえに男子に人気がある故に告白されたという話を聞くが、叩き返されることばかりだと言う。



「火中の栗を拾う道理も無い、行くとしよう。」

北沢は冷淡にそう言った。


北沢は無駄が嫌いな性格らしく、友人なのに平気で国木田を見捨てるようだった。

もっとも、北沢は一度国木田の喧嘩っ早さで損をしたので、自業自得と言ってしまえばそれまでだったのだが。


国木田の視界に入らないように正門から入る。

最後に真水が一度だけ国木田の方を見ると、なぜだか吉中朝美と目が合った。





キーンコーンカーンコーン。


「遅刻決定か。」

真水と北沢、上履きを履いて教室に入る寸前に、お決まりのチャイムが鳴った。

なぜか、朝のこの時間だけ予鈴が無くて本鈴なので、断罪の通告は如実に表される。



………コーン、カーン、コーン。

丁度、真水と北沢が己の席に着いた時である。


ガシャ!!

最後の鐘の余韻が消え去る直前、怒れる無表情を湛えた吉中が教室に入ってきた。

ギリギリ、セーフ判定である。



程なくして、国木田宗一が教室の扉を開けた。

「へぇッ!へぇッ!、せ、先生!!」

「遅刻だ。」

しかし、先に来ていた担任の稲木は無情だった。





「それで、結局何事だったのだ?」

朝のホームルームが終わるまで机で突っ伏して燃え尽きていた国木田に、北沢がわざわざやってきて問うた。



「おおぉ、誠司。実はな・・・・」

救いを求めるかのように、国木田は顔を上げた。


真相は、記す事すら億劫な言い掛かりだった。



「お前が悪い。」

「同感だ。」

国木田の隣の席である真水も呆れながらも言った。


何でも、近々剣道部は大きな大会の予選を控えているらしい。

しかし、吉中はそれに参加しないらしい。何でも、家が忙しいからとか。


国木田の奴は剣道部の若手で一番の実力者の吉中が不参加なのが許せないらしく、どうにか説得を試みているうちに口喧嘩に発展したそうな。




「真水までぇ・・・」

「北沢、一時限目は日本史だったな。」

「ああ、もうすぐ予鈴だ。」

情け無い声を出す国木田を無視して二人は授業の用意を始めた。




「河戸くん。」

二時限目の終わり。

購買部が始まる時間を見計らって昼飯の調達に向かう途中の廊下、吉中朝美に呼び止められた。



彼女は腕を組んだまま両目に怒りを宿し、怒り心頭のご様子だった。

「吉中か、国木田のことは災難だったな。」

用事が無ければ話をするような間柄でも無いので、真水は一歩下がって人当たり良い苦笑いを浮かべてそう言った。



「ええ、いい迷惑よ。親友のあなたから深く言っておいてほしいわ。」

吉中は結構ハッキリとモノを言うタイプだったようだ。


「ああ、悪く思わないでくれ。あれは熱くなりやすいだけで悪気はないと思うんだが。」

「――――――これで三度目だから言ってるの。次は再起不能にするって言っておいて。」

「・・・・・なるほど。」

どうやら、国木田と吉中の間には浅からぬ因縁が有るようだ。

きっと国木田は吉中に負けたのが悔しくて何度も再戦しているんだろうなぁ、と真水は思った。


言いたいことはしっかり言って、吉中は去って行った。



「さて、と。もう今日の昼飯は期待できないか・・・」

学生たちが殺到しているいつもの購買部を思い浮かべ、真水は深々と溜息をついた。






結局、購入できたのは何の因果か、野菜サンドと牛乳だった。

国木田には吉中の伝言を伝えないという嫌がらせで報復する事に決定し、北沢と机を合わせて3人で昼食を取っている。


「そう言えば国木田、全部活動が休止になるのは知っているか?」

と、突然に北沢がそんな事を言った。



「ああ、昨日顧問の片井から聞いた。何でも、人攫いが流行ってるんだって?」

「猟奇殺人もな。上流区の隅の方で昨晩もあったらしい、鈍器のようなもので全身をずだずだだそうだ。

我が校はスポーツ系の部活が弱くて良かったと喜ぶべきか・・・・」

「そうだなぁ。野球部もほとんど形式だけだし、去年はサッカーも地区予選で大敗して帰ってきたらしいし。」

初耳だった。



「それは、本当か?」

自分は帰宅部も良いところなので、部活の方はともかく、そんな事件が多発している事もだ。


「今のところ、犯人は分かってないらしいがな。

まあ、共通点は上流区で行われている以外、全くわかってないけどな・・・」

そう言って、肩を竦める国木田。


「河戸は知っているだろうが、俺の親兄弟は警察関係者だ。

親父に自衛と現状を知る為に聞いたが、分かっている事は俺たちとまるで変わらないようだな。」

「おいおい、それってマジかよ。」

二重の意味で驚かれた国木田。

真水は頷くだけだった。




「俺も友人を亡くすのは惜しい。暗くなってからの行動は控えたほうが良いだろう。」

そう言った北沢の言葉は、高校生にしては重々しい重圧があった。



これからはニュースに目を配ることを肝に銘じた。





「帰ったぞ、ウェルク。」

結局、その日は一時間繰り上げで帰宅。

家に帰って来れたのは三時半頃だった。

市内が同じ状況なら、ウェルクの通う中学校も三時前に終了しているはずだが・・・・


「・・・・ウェルク?」



その日、ウェルクは夕食の時間にも帰って来なかった。











前々から改定は考えていました、しかし、タイミングが無かった。

ブログの方で楽しみにしていると仰ってくれる方々がいたので、改定版の投稿に踏み切りました。

続編も停滞気味ですし、心機一転、初心に帰ってやりたいと思います。

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