第6話「おじさんは、ToDoリストを作るのも上手いんだ」
「(……よし。まずは深呼吸だ。パニックは最大のコスト、冷静さは最大の資本。商社マンがトラブル現場で最初にすべきは、事態の収拾ではなく『状況の棚卸し』だろ)」
煌人は、新調されたばかりの瑞々しい皮膚を枝に馴染ませながら、独立した両方の眼球を一点に集中させた。周囲の安全は確保した。脱皮も終わった。だが、ここからが無計画な漂流になるか、戦略的な進軍になるかの分かれ目だ。
(……おじさんは、ToDoリストを作るのも上手いんだ。複雑なプロジェクトほど、タスクを最小単位に切り分ける。それが完遂への最短ルートだからな)
煌人は脳内にホワイトボードを召喚し、一本の仮想マーカーを走らせた。
1. メインターゲット:『転生者支援センター』への到達
まず、動かせない最終目的地を設定する。あのWord文書が示す「転生者支援センター」だ。
そこには「元人間」の髙橋さんがいる。情報の飢餓状態にある煌人にとって、彼は唯一のライフラインであり、文明の窓口だ。
「(徒歩……いや、『カメレオン歩行』で三ヶ月、か。大学の夏休みより長い。卒論の執筆期間並みの長丁場だな)」
だが、煌人はこれを単なる苦行とは捉えなかった。
「三ヶ月、未知の森を歩き続ける」ということは、裏を返せば「三ヶ月間、誰にも邪魔されず、この世界の仕様をテストし放題」ということでもある。
(……三ヶ月の『試用期間』だと思えば悪くない。センターに着くまでに、俺はこの世界のベテランになってやる)
2. 技術検証:緊急脱出スキルの解析
次に、あの土壇場で見せた「舌ワイヤー」だ。
あの時、なぜ自分の舌が自分の体重を支え、あんな高速で収縮できたのか。
「(ただの火事場の馬鹿力……つまり『カメレオンの馬鹿力』で片付けるには、あまりにも物理法則を無視してた。あの加速、あの吸着力。……あれは、俺が元々持っていた生物スペックの延長線上にある『何か』だ)」
3. 因果関係の特定:『芋虫』という変数の調査
そして、全ての「覚醒」の起点となったあの芋虫だ。
食べた瞬間に感じた、あの腹の底から湧き上がるような、ガソリンを直接注入されたかのようなエネルギー。
「(……あの不味い肉にはなくて、あの美味い芋虫にあったもの。それが答えだ。あの芋虫には、この世界の『動力源』が詰まってたんじゃないか?)」
もしそうなら、この世界における「捕食」は単なる栄養摂取ではない。それは外部からの「エネルギー情報の取り込み」だ。
4. 偽装工作の論理:なぜ擬態は完璧になったのか?
最後に、あの絶体絶命の瞬間、ゴブリンを欺いた完璧な擬態。
ただの色合わせではない。形や質感まで芋虫に寄せていた。
「(……あれも芋虫を食べた直後だったな。……もし、俺の擬態能力が『食べたものの情報をコピーする』という性質を持っていたとしたら?)」
だとしたら、今後の戦略は大きく変わる。
何を食べるかが、そのまま「何になれるか」に直結する。
(……よし。目標と問題点は洗い出した。あとはこれに『名前』というラベルを貼って、俺の所有物として管理下に置くだけだ)
煌人は、Word文書の裏面の白紙部分を見つめた。
そこに並ぶのは、まだ名もなき力。
これから三ヶ月、自分を守り、導いてくれるであろう「商品」たち。
(……ネーミングは大事だぞ。ヒットするかどうかは、パッケージとコピーで決まるんだからな。……さて、おじさんのセンス、見せてやるか)
煌人の眼球が、知的な光を宿してギョロリと動いた。
樹上のオフィスで、カメレオンによる「新スキル命名会議」が、今まさに幕を開けようとしていた。
「(よし……それじゃあ、まずは第一議案だ。議題:緊急脱出用舌ワイヤーの正式名称策定について)」
煌人は、枝の上でカメレオン特有の「前後揺れ」を刻みながら、脳内の企画書を更新した。
名付けは生命だ。ただの『ベロ攻撃』と呼ぶのと、そこに概念を付与するのとでは、今後のモチベーションが天と地ほども変わってくる。商社マンが新商品のプロジェクト名を決める時の、あのヒリついた高揚感を思い出す。
(……実用性を取って『高速収縮・移動舌』とかにするべきか? いや、せっかくの異世界なんだ。多少はハッタリの効いた、……そう、カッコいいやつにしたい。……でも、センスが滑ってたらどうする? 誰かに『え、その名前、ダサくないですか?』って言われたら、俺の繊細なメンタルは死滅するぞ)
不安がよぎる。しかし、彼は即座にそれを振り払った。
(……いや、大丈夫だ。今さら何を気にしてるんだ。そもそも俺は、あの悠太少年から見たら『おじさん』って呼ばれてたけど、中身はまだ22歳のピチピチの若者なんだぞ! 大学4年生、就活を終えて自由を謳歌するはずだった、ポップでキャッチーな感性の持ち主なんだ!)
「おじさん」というラベルを自ら剥ぎ取り、煌人は脳内のクリエイティビティをフルスロットルで加速させた。
(よし、候補を出すぞ。5つだ。直感と論理のハイブリッドで捻り出せ……!)
【案1】Tongue・ Anchor
「(まずは無難に英語で攻めてみた。舌を錨に見立てる。実用的だし、アクション映画のガジェットっぽくて悪くない。……でも、ちょっと普通すぎるか? 営業資料のサブタイトル止まりだな、これは)」
【案2】極楽鳥の舌
「(少しファンタジーに寄せてみた。美しい。……が、俺の見た目が今のところ、泥まみれのトカゲであることを考えると、名前負けがひどすぎる。却下。そもそも極楽鳥の舌がどんな形状かも知らんしな)」
【案3】一閃・ベロワイヤー
「(……ダメだ、急にダサくなった。漢字とカタカナを混ぜればいいってもんじゃないぞ、俺。深夜のテンションで書いたポエムみたいな恥ずかしさが込み上げてきた。これに決めたら、後で絶対に悶絶する)」
【案4】カメレオン・シュート
「(……シンプル。あまりにもシンプル。これじゃあ必殺技っていうより、ただの『カメレオンの動作説明』だ。商社のプレゼンで『これは新商品です』って言ってるくらい中身がない。もっとこう……専門用語っぽい響きが欲しいんだよ)」
煌人の眼球がピタリと止まった。
『舌』という生体パーツを、あえて『線』や『軌道』という無機質な言葉で定義する。自分の舌が伸びる軌跡そのものが、自分を運ぶための固定されたインフラになるというイメージ。
【案5】舌線軌道
「(…………っ! これだ。これだよ!)」
(……『タング・レール』。響きもいい。プロフェッショナルな技術って感じがする。実用性とハッタリのバランスが絶妙だ。これなら、もし将来的に誰かに技名を名乗る羽目になっても、ギリギリ恥ずかしくない……はずだ!)
煌人は、脳内のToDoリストの第一項目に、力強くその名を刻み込んだ。
「(決定。スキル名第一号、『舌線軌道』。……よし、一つ片付いたぞ。おじさん……じゃなかった、若きサバイバーの俺、絶好調じゃないか)」
達成感に浸り、ふと口から舌をチロリと出してみる。
名前を与えた瞬間、自分の身体の一部が、まるで研ぎ澄まされた精密機械のように思えてくるから不思議だ。
(さて、この調子で次だ。……あの『芋虫同化』。あれにも、もっとプロフェッショナルな名前が必要だ。……『虫になりきりセット』なんて名前じゃ、商談は成立しないからな)
煌人のネーミング・セッションは、異世界の静かな樹上で、さらに熱を帯びていく。
「(さて、第二議案。議題:対象への完全同化スキルの名称策定について……なんだけど、こいつは難航しそうだぞ)」
煌人は、前足の指先でカリカリと樹皮を掻いた。
カメレオンという生き物にとって、『擬態』なんてのは呼吸をするのと同じくらい当たり前のことだ。だが、今の俺ができるのは、単に周囲の色に溶け込むだけの『背景同化』じゃない。
(……食べた対象の形や質感まで再現する、文字通りの『変身』だ。こいつにどんなラベルを貼る? 下手な名前を付ければ、ただのカメレオンとしての特性に埋もれてしまう。俺だけの、オリジナリティ溢れるブランド名が必要なんだ)
しかし、考えれば考えるほど、言葉の迷宮に迷い込んでいく。
(……くそっ、ありきたりな単語しか出てこない! ピンチだ。)
一応、頭に浮かんだ候補を並べてみるが、どれもこれも納得がいかない。
【案1】Copy& Paste
「(……現代っ子すぎるだろ。文明に未練がありすぎだ。しかも、食べてから変身するんだから、どっちかと言えば『カット&ペースト』に近いし、響きが全然強そうじゃない。事務作業かよ)」
【案2】擬態・ザ・リアル
「(……ダサい。安っぽいテレビ番組の再現ドラマのタイトルかよ。俺の命懸けの変身を、そんなバラエティ枠に落とし込むわけにはいかない)」
【案3】(Insect Mirage)
「(……芋虫になったからって、虫に限定しすぎるのは戦略的ミスだ。今後、もっと別のものを食べた時に名前が矛盾しちまう。ブランドの拡張性を考えろ、市崎煌人!)」
【案4】なりきりトカゲ
「(……もう、思考を放棄してるな、俺。22歳の若々しい感性はどこに行ったんだ。幼稚園のお遊戯会じゃないんだぞ。もっとこう、威厳とか、神秘性とか、強キャラ感が必要なんだよ)」
【案5】パーフェクト・カメレオン
「(……直球すぎる。カメレオンが『俺は完璧なカメレオンだ!』って名乗るの、冷静に考えたらめちゃくちゃバカっぽくないか? 語彙力のない小学生の秘密基地の合言葉かよ!)」
(……全滅だ。全滅だよ。……『擬態』っていう言葉が強すぎて、どうしてもそれに引っ張られちまう。もっと……もっとこう、形に捉われない、境界線をぶっ壊すような、それでいて変幻自在な響き……)
煌人は、バラバラに動く眼球を激しく回転させ、思考を加速させた。
『形』が無い。状況に応じて、何にでも『変化』する。
(……形が無い……無形。……変化、変幻……。……!)
「(……これだ。『無形変幻』。……よし、来た!!)」
脳内のホワイトボードに、墨痕鮮やかにその四文字が刻まれた。
『無形』という言葉が、カメレオンとしての限界を超えた「何にでもなれる可能性」を示唆し、『フォームレス・チェンジ』という横文字が、22歳の若者としてのスタイリッシュさを担保している。
(……いい。すごくいい。これならWord文書のスキル欄に書いてあっても、一流企業のパンフレットのような風格がある。……舌線軌道とのセット感も抜群だ!)
煌人は、深い安堵と共に、新しい皮膚の感触を確かめた。
名前が決まったことで、ただの『芋虫の食べ残しへの同化』だった行為が、一つの『必殺技』へと昇華されたような気がした。
(よし。ToDoリスト、二項目め完了。……おじさんは、……いや、俺は、ネーミングライターの才能もあるみたいだな)
達成感で胸を張るカメレオン。
しかし、リストの次には、まだ厄介な「問題」が残っていた。
(……さて。次は、この『美味いものを食べると強くなる』っていう、この体そのものの特性……。この『美食サバイバル・システム』に、どんな名前をつけてやろうか)
煌人の目は、眼下の泥の中でまだ途方に暮れているゴブリンを、今度は「食材」を見るような冷徹な光で捉えていた。
「(よし……『美味いものを食べると強くなる』なんて、まるで少年漫画の修行パートみたいなざっくりした仮説で終わらせるわけにはいかない。商社マンたるもの、再現性のない事象は『成果』とは呼ばないんだ。必要なのは、統計と実証。つまり、検証だ)」
煌人は、先ほど自ら名付けたばかりの『舌線軌道』の真価を確かめるべく、樹上の安全な位置から、さらに一段高い、太い枝へと狙いを定めた。
(……イメージはさっきの緊急脱出だ。収縮速度を最大にして、自分自身を弾丸のように打ち出す……!)
「(いけっ!!)」
シュルル……。
放たれた舌は、確かに狙い通りの枝に吸着した。しかし、そこからの「引き」が絶望的に弱かった。ズルズルと情けない音を立てて体が数センチ浮き上がったかと思えば、重力に負けて元の位置にポテリと着地してしまう。
(……嘘だろ。全然勢いが出ない。さっきの、あの空気を切り裂くような加速はどこに行ったんだ? まるで使い古した輪ゴムじゃないか)
煌人は愕然とした。22歳の若者が持つべき瞬発力はどこへやら、今の彼はただの「少し舌の長いトカゲ」に退化している。
(……ということは、だ。あのゴブリンからの神回避は、単なる奇跡だったのか? いや、俺は運だけで内定を勝ち取ってきたわけじゃない。あのアクションを可能にした『変数』が必ずあるはずだ)
思考の矢印は、必然的に一点へと収束した。――あの、青白く光るジューシーな芋虫だ。
(状況を再現する。サンプルはまだそこに転がっている……!)
煌人は、ゴブリンがまだ下の泥をいじっている隙を突き、先ほどと同じ種類の芋虫をもう一匹、舌で手際よく手繰り寄せた。見た目は相変わらずグロテスクだが、今の煌人にとってそれは、最高級の「高純度エネルギーパック」にしか見えない。
「(いただきます……!)」
パクリ。
噛み潰した瞬間、再びあの「奇跡」が起きた。
不快なはずの食感は、脳を直接揺さぶる至福の快楽へと変換され、同時に、空っぽになっていたガソリンタンクにハイオク満タンの衝撃が走り抜ける。四肢の先まで熱い奔流が駆け巡り、細胞の一つ一つが「戦える」と叫んでいる。
(……これだ。この『熱』だ。……よし、再試験開始だ!)
煌人は、再び同じ枝を睨みつけた。視力2.0超の目が、枝の表面にある微細な凹凸まで完璧にロックオンする。
「(今度こそ……いけッ!!)」
パンッ!!
乾いた破裂音と共に、煌人の体は重力を置き去りにした。
土埃が舞い、視界が加速する。まさに特撮ヒーローがワイヤーに引かれてビルを駆け上がるような、圧倒的な速度と安定感。舌の収縮力が、芋虫のエネルギーを得て「生体部品」から「超高出力アクチュエーター」へと変貌を遂げていた。
(……確定だ。結論、俺のスキルの出力は、食べたものに完全に依存している。……おじさんは、……いや俺は、燃料なしではただの置物なんだな)
着地した枝の上で、煌人はようやく現状を完全に把握した。
他の異世界転生者なら、どこかの賢者や美少女騎士が「それは魔力というのですよ」と優しく解説してくれるシーンだろう。あるいは、丁寧なナレーションが脳内に直接響くはずだ。だが、ここにはMS明朝体の事務連絡文書があるだけで、誰一人として世界の摂理を教えてはくれない。
(……全部俺が定義しなきゃいけないってわけか。過酷すぎるだろ、このOJT。……でも、この腹の底から湧き上がるエネルギー。……こいつに名前を付けないと、予算(戦略)が立てられないな)
煌人は、ふぅと息を吐き、考え込んだ。
何か神秘的で、かつこの世界に普遍的に流れている力の源。
(……まあ、ここは変に捻る必要はないか。一般的、かつ汎用性の高い言葉。……『魔力』。これでいいよな。パクリとか言われても、この世界に俺以外の人間がいない(かもしれない)以上、早い者勝ちだ。独占禁止法にも抵触しないだろ)
「(よし、決定だ。この芋虫、もとい『魔物』を食べることで得られるエネルギーを、今この瞬間から『魔力』と定義する)」
魔物を食らい、その魔力を抽出し、自身のスキルを駆動させる。
「美食」こそが「魔力補給」であり、「食事」こそが「戦い」である。
市崎煌人の異世界サバイバルの基本理念が、ここに完全に固まった。
(……さて、燃料補給も済んだし、動作チェックも完了だ。……髙橋さん、待ってろよ。徒歩三ヶ月の長旅、この『魔力』の力で駆け抜けてやる……!)
煌人は、今度は地図を確認するように、眼下のゴブリンが去った後の道を、鋭い眼差しで見据えた。
「(よし、出発だ。おじさんは……いや俺は、地図を読むのも得意なんだからな)」
煌人は器用に尻尾を使い、あの「MS 明朝体」の案内図を顔の近くまで引き寄せた。カメレオンの視力2.0をもってすれば、枝の上で揺れながらでも、地図上の細かな等高線や「支援センター」のバツ印を正確に捉えることができる。
ノシ……ノシ……と、カメレオン特有の、リズムを取るような慎重な足取りで歩き始める。だが、数十メートルも進まないうちに、煌人は「ある異変」を敏感に察知した。
(……待て。……さっき補充したばかりの『魔力』が、目減りしてないか?)
スキルである『舌線軌道』を使ったわけではない。ただ歩いているだけだ。それなのに、スマホのバッテリーがバックグラウンドアプリのせいでじわじわ減っていくように、腹の底の熱が少しずつ、確実に引いていく。
「(……そうか。維持費か! 生きているだけで、あるいは擬態を維持しているだけで、この体は魔力を消費し続けてるんだな。……なんて燃費の悪い体だ。これじゃあ、常に補給路を確保してないと、旅の途中で『ガス欠』になるぞ)」
そんな不安がよぎった矢先、煌人の左右独立した眼球の片方が、茂みの奥で淡く輝く「何か」を捉えた。
(……ん? あの光……。あ、思い出した。転生した直後、最初に見たあの草だ)
あの時は未知の恐怖と混乱の真っ只中で、完全にスルーしていた。だが、今の煌人には見える。その植物が纏っている、芋虫と同じ――いや、それよりもさらに純粋な、青白いオーラが。
(……なんだ、あの草。めちゃくちゃ『魔力! 魔力!』って全身で自己主張してるじゃないか。……もう確信した。やっぱりこの世界の公式名称は『魔力』で決まりだな)
煌人はその草に近づき、警戒しながらも端の方を少しだけ齧ってみた。
シャキッ。
(……っ! きた、これだ!!)
芋虫を食べた時のような、あの爆発的なエネルギーの流入。だが、今回はより冷静にそのプロセスを観察することができた。
(……分かった。……そういうことか。……食べて『魔力』を得るんじゃない。……この植物や芋虫に含まれているのは、言わば精製される前の原料――『魔素』なんだ)
煌人は、新しい用語を脳内の辞書に書き込んだ。
(……この世界の万物に含まれるエネルギー資源、それが『魔素』。そして、それを俺が摂取し、カメレオンの胃袋で消化・精製することで、初めて俺のスキルを動かす『魔力』へと変換される……。つまり、俺の体は、生体魔導発電所ってわけか!)
「(エネルギー=魔素を体内に取り込むことで魔素が魔力に変換されてエネルギーとなる……。よし、論理は繋がった。……おじさんは、……いや俺は、エネルギー産業の仕組みを理解するのも、上手いんだな!)」
煌人は、その「魔草(魔素を含んだ草の略称。もちろんネーミングは煌人)」を丁寧に何枚か千切り、旅の携帯食料として(と言っても収納場所は胃袋だが)多めに摂取した。
腹の底で渦巻く、安定した魔力の熱。
燃料の調達方法が「虫」だけでなく「植物」にもあると分かったのは、精神的に大きな収穫だった。これなら、虫が苦手な局面でも、ベジタリアン的な魔力補給で凌げる。
(……地図よし。燃料よし。理論(理屈)よし。……さあ、今度こそ本当の旅の始まりだ!)
煌人は、魔素で満たされた体で地図を再び尻尾に巻き直し、深い森の奥へと続く一本の枝を、力強く踏み出した。
現在の市崎 煌人ステータス
基本情報
種族: カメレオン
精神年齢: 22歳(自称・若手ビジネスマン)
前世: 商社内定済み大学生
現在地: 異世界の原生林・樹上(支援センターへの街道(枝)上)
所有アイテム
脱皮した皮: 【転生者支援センター】発行のA4サイズWord文書。
表面:案内状(フォント:MS 明朝/担当:髙橋さん)。
裏面:支援センターへの地図(現在地より徒歩3ヶ月)。
魔素: 胃袋に収めた「魔草」。
習得スキル(命名済み)
舌線軌道:
舌をワイヤーとして使い、自身を高速移動させる立体機動術。魔力消費量:中(体感)。
無形変幻:
摂取した魔物の姿・質感を完璧に再現する擬態術。※要検証: 現在は「半分になった芋虫」への成功実績のみ。
カメレオン特性
精密360度視野:
左右独立した眼球による全方位警戒。
環境適応擬態:
周囲の色に溶け込む標準的な擬態。
世界観の理解(煌人独自の仮説)
魔素: 万物(魔物や植物)に含まれるエネルギーの原料。
魔力: 魔素を摂取・消化することで生成される駆動用エネルギー。
生体発電システム: 食べること(魔素摂取)がそのままスキルの出力に直結する。
現在のプロジェクト(ToDo)
【最優先】 3ヶ月後の納期(到着)を目指し、支援センターへ進軍する。
【検証中】 無形変幻の限界。食べたもの(芋虫)以外にもなれるのか?条件は?持続時間は?
【課題?】 道中の「新規食材(魔物)」の開拓。
皆様は、煌人のセンスについてどう評価しますか?
ネーミングについての点数やこっちのネーミングの方が良かっただろ!いや、これだな。みたいな感想やリプをくれると嬉しいです!




