第24話 鳥ダンジョンに突入しよう
「オラァ! 撃て撃て! 撃ちまくれ!」
「ぎゃああ!」
「ジョン! くそっ! ジョンがやられた!」
「下がれ! 回復を……ぐわーっ!」
阿鼻叫喚の地獄絵図。
まさに激戦地。
死屍累々たる血の海と荒涼無惨な焼け野原。
「――みたいな感じになると思ってたんだが」
暇を持て余した冒険者が言う。
「平和だなー。これで報酬もらえるとか、最高だなー」
のんきな冒険者が答えた。
「突入した連中、いったいどんな速度で殲滅してんだろうな?」
思慮深い冒険者が想像した。
目の前にあるのは鳥ダンジョン。
その出入り口からは、1匹も魔物が出てこない。
「そろそろ危ないからって呼ばれたのに、今日じゃなかったのかもな」
暇を持て余した冒険者が言う。
「平和だなー。これで報酬もらえるとか、最高だなー」
のんきな冒険者が答えた。
「突入した連中が、ものすごい速度で殲滅してるからだろ」
思慮深い冒険者が反論した。
目の前にあるのは鳥ダンジョン。
その中から漏れ出る戦闘音は、距離が遠すぎて人間の耳には聞こえなかった。
◇
やってきました鳥ダンジョンの街。
例によってダンジョンを取り囲むように造られた街は、しかし普通の街とは明らかに様子が違っていた。
というのも、全体が半地下みたいになっている。アーケード街を上から見た感じといえばいいだろうか。アーケードの代わりに網が張ってあるのだけど。
そして防壁で囲まれた鳥ダンジョン。その防壁の上には、極太の鉄格子がしっかりとはめ込まれている。
基本的に防壁の中で封殺しつつ、漏れ出た小物にも街全体が防御している構造だ。
「わお……これはすごいわね」
入場料を支払って、いざダンジョンへ。
中に入ると驚いたことに、地下空間のはずが大草原。
空には太陽が見えていて、日差しの暖かさまで感じる。
「露天型のダンジョンだな。
草原やら森やら砂漠やら、色々あるぞ、この手のダンジョンは。
やたら広くて、下の階層へ行く道を探すのが面倒くさいが……」
とマックスは、期待する目でルナを見た。
「お任せください。
あの……その……すでに次の階層へ行く道は見つけていますので」
「それじゃあ、いつも通り案内よろしくね。
それと空中戦の練習がてら、増えすぎた魔物を間引かないといけないわ。
マックス。思い切りやっちゃいなさい。素材の回収は、あんまり気にしないで行きましょう」
「任せろ。
じゃあ、まずはこいつからだな」
マックスは両手を開いて、クマの威嚇ポーズみたいに構えた。
直後、マックスの両腕が消える。
パァン!
それは単純な破裂音だった。
けれど至近距離に雷が落ちたような轟音だった。
たった1回。たった1発。極めてシンプルなアクション。
マックスの拍手。
「~~~ッ……!」
アタシはとりあえずマックスの頭をひっぱたいた。
「痛い!? 何をするエノキ!」
「やッかましいわね……! やるなら先に言いなさいよ! 耳キーンてなったわよ」
「あっ、すまない……」
「見てごらんなさい。ルナなんか泡吹いて気絶してるじゃあないの。可哀想に」
「そ、それは本当にすまない……」
ルナに回復魔法をかけて、気付けをしてあげた。
「う……うーん……な、何かに脳を直接殴られたような……」
「マックスがバカやったせいよ。
とりあえず全力のブレスで攻撃して差し上げなさい」
「ちょ……! ま……! それはさすがに……!」
「甘んじて受けなさい。馬鹿マックス」
「あの……その……では失礼して……」
ギャオーン!
ルナが口からビームを発射した。
「さて、マックスのバカな行動は、どれほどの成果を出したのかしら?」
「周囲1kmの範囲にいた魔物がすべて地上へ落ちています。
あの……その……かなり絶大な効果があったかと」
「気絶してるってこと?
墜落して死んだ魔物もいるでしょうけど……探し回ってトドメ刺して歩くのだって面倒じゃあないの。
集めてから一網打尽ってのが理想ね」
「いや、死んでるはずだ。
今の攻撃は、ブレスを吐けない竜人がドラゴンのブレスを真似した技だからな。威力のほとんどは前方へ飛ぶ」
「あのやかましさが余波だっていうの?」
「その通りだ。
本物のドラゴンが横に居て気絶するなら、前にいるドラゴン以下の魔物は確実に死ぬだろう」
スパーン!
アタシはもう1発マックスの頭をひっぱたいた。
「痛い! 何をする!?」
「他の冒険者がいたら巻き添えじゃあないの! この考えなし!」
「あっ」
「ちょっ……え? 本当に何も考えてなかったの?」
「…………」
だらだらだらだら……。
マックスが急に汗をかき始めた。
「このおバカぁーっ!」
げしっ! げしっ! げしっ!
反省しなさい! このっ! このっ!




