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第21話 成果を確認しよう

 冒険者ギルド。

 受付へ結果を報告すると、支部長室へ呼ばれた。


「本当にやってくれるとは……ありがたい。これで街はしばらく賑わうだろう」


 ダンジョンがクリアされること自体が、400年ぶりの偉業。

 本当に可能なことだったのかと驚き、後に続けと奮起する冒険者は増えるだろう。

 それは「各地のダンジョンで」というよりも、クリアされたダンジョンで。なぜなら出現する魔物や最下層までの地図が明らかになり、実力さえあれば実際にそこを通過できると判明している。

 陸上競技の記録とか、フィギュアスケートや体操競技の高難度技みたいに、誰かがやってのけると、後に続いて同じ水準で出来る人が増える。つまり支部長の言う通り、これからこの街は賑わうだろう。

 とはいえ――


「領主みたいな言い方ね」


 冒険者ギルドの支部長が「街が賑わう」なんて気にする事かしら?

 実際に気にしているんだから、否定仕様もないのだけど、どうもアタシにはピンと来ないわ。


「無関係では居られないからな」


 肩をすくめる支部長。

 支店長とか社長ってやったことないから知らないのだけど、そういうものかしら。考えてみれば、テレビCMとかで「商品」の宣伝ではなく「会社」の宣伝をやってるところって、だいたい地域貢献と結びつけた内容よね。我が社の商品があなたの生活の中にもほらそこに、みたいな。


「まずは未踏破領域だった階層の情報を聞きたい。

 その後で解体場へ案内しよう」


「了解よ」


 そこから1階層ごとに気づいたことを話していく。

 今回はアタシたち2人と1匹だけじゃあなくて、Sランクの4人も一緒だったから、情報量が多い。それぞれが気になったところを語り、支部長が質問をして、誰かが答える。

 一通り質疑応答が終わったところで、支部長が最後の質問をした。


「けっこう情報が揃ったな。

 Sランクの4人に聞くが、これだけのことが分かっている状態だと、クリアを目指せるか?」


「無理だ。シンプルにミノタウロス皇帝が倒せない」


「いや、もっと前から無理だな」


「この2人と1匹がおかしいんだ。真似したら死ぬぞ」


「冗談じゃないわよォーう」


 諦めと拒絶の反応。

 その本気っぷりを見て、支部長は悟った。


「あー……そうか。

 注意喚起しつつ公開するしか……? いや、中ボスは倒さないと進めないんだから、気づかず進むなんてことは……元々そこは自己責任だし……ギルドとしての責任は……」


 支部長がブツブツ言い始めた。

 やがて深い溜め息をついた。


「それじゃあ解体場へ行くか」


 なんか色々と諦めたわね。



 ◇

 


「解体課長。彼らが来た」


「支部長。待ってました。

 さあ素材を出してくれ」


 解体場で解体課長が出迎えてくれた。

 作業中のスタッフたちから、チラチラと視線が飛んでくる。

 すでに話は通っているようね。


「じゃあ、まずはミノタウロス三等兵からね」


 ひとーつ、ふたーつ、みーっつ……。

 収納魔法からミノタウロス三等兵を出していく。

 浅い階層には他の冒険者もいるから、このあたりの素材は少ない。

 じゅーいち、じゅーに、じゅーさん……。

 収納魔法からミノタウロス伍長を出していく。

 第5階層で最初の中ボスであるミノタウロス兵長を倒して進まないといけないから、進める冒険者は限られ、第6階層の伍長からは少し素材が増える。

 ひゃーくいち、ひゃーくに、ひゃーくさん……。

 収納魔法からミノタウロス少佐を出していく。

 このあたりまで来ると、他の冒険者はめっきり見かけなくなった。豚ダンジョンではもう少し奥まで他の冒険者がいたのに、ミノタウロスのほうが強いのかしら? 宝箱もいっぱい残ってて、ルナの案内であちこち寄り道したから素材も多い。


「ちょ、ま、待て! 待ってくれ! そんなに出されても解体できん!」


 呆然としていた解体課長が、我に返って止めてきた。

 他のスタッフたちも我に返って、改めてぎょっとしている。この量を解体するのか、と。

 頑張ってね、としか言えない。


「どのぐらいなら解体できるかしら?」


「明日からのスタッフは増員しているが、今日はまだだから10体が限度だ。今日はもうあと2時間でスタッフも帰るしな。

 明日は朝から取り掛かって、50体か60体といったところだ。預かり分を冷凍する魔術師まで解体の際の洗浄水を出すほうへ回すから、悪いが今日は10体だけ残して全部引っ込めてくれ。

 明日から毎日50体ずつ解体していく。90分ごとに10体ずつ出してくれ」


 収納魔法へ入れておけば時間経過がないから鮮度は保たれる。

 預からずに、準備できたら都度出していくということは、それを利用しての話ね。

 つまり――


「本当に全力で解体してくれるのね。なんだか申し訳ないわ」


「ありがたい事だ。今度なにか差し入れでも持ってこよう」


「いい考えね、マックス。

 何がいいかしら? 探してみるのも楽しそうね」


 スタッフが何人いるか分からないけど、建物の規模からすると日本でもよく見る中小企業って感じだから……30人ぐらいかしら?

 とはいえ肉は食べ慣れているでしょうし、休みのスタッフもいるはず。もっと日持ちのする菓子とか探してみましょうか。

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