ケルンで味わう、都会的ストリートフードの魅力①
フェスティバルの会場に足を踏み入れた瞬間、そこはまさに食のユートピアだった。オレンジ色の夕焼けが、鮮やかな屋台の灯りと混じり合い、どこか幻想的な雰囲気を醸し出している。香ばしい肉のグリル、ハーブの爽やかな香り、甘いデザートの誘惑…空気中には、あらゆる美食の香りがレイヤーのように重なり合っていた。それぞれの屋台から響く活気ある声、人々の楽しげな話し声、そしてカクテルグラスが触れ合う心地よい音が、このフェスティバルを彩るBGMとなっていた。
様々な屋台が目についたが、特に惹かれたのは、鮮やかなオレンジ色の屋台と、モダンなデザインのフードトラックだった。どちらも、都会的な洗練された雰囲気を纏いながらも、ストリートフードならではの親しみやすさを感じさせる。
まず向かったのは、その名の通り、オレンジ色に輝く「APERO Spritzeria」と書かれた屋台だ。グラスに注がれた鮮やかなオレンジ色の飲み物が、夕暮れの光を反射してキラキラと輝いている。見ているだけで喉が潤うような、魅力的な光景だった。
カウンターの中では、オレンジ色のTシャツに黒いエプロンを身につけたスタッフたちが、まるでアート作品を作るかのように、手際よく飲み物を用意している。彼らの動きは、まるで訓練されたバーテンダーのようだ。まず、大きめのワイングラスに氷がたっぷりと入れられる。その上から、透明な液体…おそらくプロセッコのようなスパークリングワインだろうか…が注がれていく。そして、いよいよ主役のオレンジ色の液体、アペロールが、高い位置から優雅に注ぎ込まれるのだ。オレンジ色のリキュールがグラスの中で渦を巻き、透明な液体と混じり合って、あの鮮やかなアペロールオレンジ色を作り出す。最後に、薄くスライスされたオレンジが添えられ、完璧な一杯が完成する。その一連の動作は、見ていて飽きることがなかった。
私は、出来上がったばかりのアペロール・スプリッツを手に取った。グラスから立ち上る柑橘系の爽やかな香りが、暑さに火照った体に心地よい。一口飲むと、微炭酸の爽やかさと、アペロール特有のほろ苦さが口いっぱいに広がり、気分がリフレッシュされるのを感じた。これは、まさにケルンの夕暮れにぴったりの一杯だ。屋台のオレンジ色と、アペロール・スプリッツのオレンジ色が、会場全体の雰囲気を明るく、そして陽気にしていた。この屋台の奥には、夥しい数のアペロールのボトルが並べられており、その人気の高さを物語っていた。