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8 神さまの家族

コンコン、とノックの音がする

「ルヴィリア様、失礼致します」

「ええ、おはようラミレス」

「おはようございます。本日は城内を案内させて頂きたいと思うのですがよろしいですか?」

「お願いするわ。楽しみにしていたの」


それからラミレスは広い城内を一つ一つ案内してくれた。

(どうしよう、絶対に覚えきれないわ…)

「最低限ご自身の部屋と食事をとる部屋さえ覚えて頂ければ大丈夫ですよ。城内では基本的に私もおりますし、困る事はないと思います」

(うっ、心を読まれてしまった…)


「でも書庫の場所は覚えたいわ。人間界にはない書物が沢山ありそうだもの!後は庭園も魅力的だったわ。お茶をするのに良さそうよね」

「庭園ですか。あちらには陛下も息抜きでよくいらっしゃるので良いかもしれませんね。陛下はルヴィリア様のことを大層気に入っておいでのようですから」

「アーヴァイン様が?どちらかというと疎まれているような気がするけれど…」


「そんな事はありませんよ。陛下が人間を連れ帰ったのはルヴィリア様が初めてですし、ご夕食もいつもは一人でとられているのにお忙しい中ルヴィリア様とご一緒されていますから」

「そう…なの…」

嬉しさと困惑で頭がいっぱいになる。


(花嫁にして頂ける可能性も少しはあるのかしら…?)

まだ花嫁になることを諦めたわけではない。

ヴィストリアとは関係なく、アーヴァイン様そのものに興味がわいてきたせいかもしれない。

時折見せる寂しげな表情、ふと見せる優しい目、なぜ私をここに置いて下さるのか。

その理由が知りたい。


「ねぇ、アーヴァイン様はどんなお方なの?」

「そうですね、陛下は賢君と名高く国民にとても慕われています。しかしお父上が特殊な方なのでハーフと言いますか、他の竜人達とは別の種と言えなくもないです。冷たそうに見られることもありますが、面倒見がよく情に厚いお方ですよ」


「面倒見が良さそうなのは伝わってくるわね。私のことも気にかけて下さっているようだし。国民たちの生活も見てみたいわ。城下町に行くことはできるかしら?」

「治安も良いので問題ないと思いますよ。竜人化していない人間は珍しいのでローブを被っていた方が良いかもしれませんね。竜人はみな背が高いので子供扱いされてしまうかもしれませんが…。念の為後ほど陛下に確認しておきます」


「ありがとう。そうしたら今日は書庫でこの国のことを勉強してみるわ」

「では夕食の頃またお迎えにあがります」

「ええ。よろしく頼むわ」


なんとか書庫まで辿り着けた。

(何から読もうかしら…幸い文字は人間達でいう古代語と同じようだわ。勉強しておいてよかった)

ズラッと並んだ本棚の中から興味深いものを見つける。

「これは…絵本…?」

『神さまと家族』と書いてある。


『むかしむかし、世界を創り出した神さまがいました。

神さまは世界が発展するように天使、竜人、吸血鬼、エルフなど様々な種族を生み出しました。


そしてその種族達の中で1番美しい女を娶り、その間に出来た子を種族の王と定めたのです。

神さまと妻達が住まう世界は聖域と呼ばれ、今もなお家族皆で仲良く暮らしていると言われています。


その後世界はどんどん発展し、天界が狭くなってきた頃神さまは最後の種族を作りました。人間です。

人間はとても弱く寿命も短い生き物のため、人間界に隔離されました。


人間界を手に入れるべく様々な種族が対立しましたが、やがて争いはおさまりました。


こうして天界も平和になり、神さまと妻たちは聖域で仲良くくらしているのでした。』


(絵本にしては内容も難解だし真実なのか空想なのかもよくわからないわ。後でラミレスに聞いてみましょう)


「ルヴィリア様、お迎えにあがりました」

ラミレスの声で現実に引き戻された。

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