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6 晩餐

「陛下、ルヴィリア様をお連れしました」

「入れ」

扉を開けると大きなテーブルにアーヴァイン様が既に座っていた。

夕食を一緒にとって下さるとは思っていなかったので面食らってしまった。


「座るといい」

「ありがとうございます」

アーヴァイン様の正面に腰掛ける。

運ばれてきた料理はどれも大変美味しかったのだが、アーヴァイン様の目の前に座っていると改めてその美しさに目を惹かれてしまい落ち着かなかった。

食べる所作までとても美しい。


「…何か言いたいことが?」

「い、いえ、なんでもありません。とても美味しい料理だなと思いまして」

「口にあったようで良かった。人間がこの城に来るのは久しぶりなのでな」

「人間以外の方がいらっしゃるのですか?」

「そうだな…エルフやドワーフなんかは良く来ている」


「天界にお住まいなのは竜族だけではなかったのですか?!他の種族の方がいらっしゃるとは初耳です」

「人間達は何も知らないからな。しかし天界の者達が人間界に降り家族をなすことは珍しくない。その場合だと家族で天界に移住することになるので人間に正体が広まることはないし、君たちが知らないのも無理はないことだろう」


(竜たちが人間の姿をしていることすら知らなかったし、私の知識は全く通用しないのね…)

食後のデザートを食べ終わると、アーヴァイン様にじっと見つめられていることに気付く。


「わ、私何か粗相をしましたでしょうか?」

「いや、美しい所作だなと思って見ていただけだ。人間界では高い位にいたのではないか?」

「…皇太子様と婚約をしておりました。しかし選別の儀にて聖女であることがわかり竜王様の花嫁へ、と」

「そうか。それはすまないことをしたな。しかし君は聖女ではない」


「え…?私、聖女ではないのですか?!」

「ああ。君は魔力は多いが普通の人間だ」

(どういう事なの…?選別の儀では確かにゲートが開いたのに…)

「で、では、私が聖女ではないから妻にして下さらないのですか?!」


「それは違う。私に花嫁は必要ない。しかし聖女でない者がここへ来たのは初めての事だ」

「どうして…?ゲートは確かに開いたんです…」

「そのようだな。人間界に残ったゲートは聖女にしか開けず一度誰かが通ると閉じてしまう片道通行のものだ。ーーーただし、ゲートを通ることは聖女じゃなくても可能だ」


混乱している私にアーヴァイン様は言葉を続ける。

「誰かが君を聖女に仕立て上げた、というところだろう。その者は生贄にはなりたくなかったのだろうな」

(ハメられた、ということ…?でも誰に?あの場には皇族の方と教会の方しかいなかったはず…。そもそもなぜ私が選ばれたの…?)


「過ぎたことを考え過ぎぬように。君は皇国では聖女と祭り上げられてしまったのだろう?今更違いました、で帰れるわけではない。諦めるんだな。それに私は君が聖女かどうかはどうでもいい」

「ではどうしてこちらにお連れ頂けたのですか…?」

アーヴァイン様は一瞬悲しそうな顔をしたがすぐ元の顔に戻った。

「私もまだ未熟だということだよーーー」

意味はわからなかったがこれ以上追求できない事だけはわかった。

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