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41 子竜

「ピャァアアアア!」

奥へ進むと2匹の子竜が戯れあって遊んでいる。

人間の子供くらいの大きさだろうか。

母親譲りの赤い鱗が美しい。

「か、かわいい…!!!」

「この子達はもう2〜30年で巣立つ子達です。奥には卵もありまして、もうすぐ孵化するところです。さぁ、こちらへどうぞ」


さらに奥へ進むと目が眩むような財宝の中に卵が3つあり、柔らかそうな布に包まれている。

竜は財宝を好むとは聞いていたが、どこからこんなに集めてくるのだろうか。


「これが竜の卵…」

人間の頭大のそれは予想以上に小さく、大きくなるまでの年月が伺える。

もっと近くでよく見ようと寄っていくと、卵に亀裂が入った。

「あれ?」

亀裂はピキピキと広がり、殻が砕け散った。

中から子犬のような小ささの淡い青色をした竜がでてきた。


「ピャァ…」

小さな声で子竜が鳴く。

「あ、あの!産まれましたよ?!」

子竜はまだ飛べないようで、よちよち歩きでルヴィリアの前までやってきた。

「あらあら、凄いタイミングですね。竜は最初に見た者を親だと思う習性があるのです。これはルヴィリア様の事を親だと思っているようです」


のんびりと話すメリエスタさんに驚きが隠せない。

(あなたの大切な子供が私を親だと思ってしまっていいのですか?!のんびりしすぎじゃない?!!?)

「お邪魔でなければこの子を連れて行ってあげて下さい。私達老ぼれと育つより楽しい事もきっとあるでしょう。それに子竜は親だと思ったものから片時も離れようとはしません。言うなればもう手遅れってやつです」

メリエスタさんがニコッと笑う。


「陛下のご客人のお供をできるとは光栄の極みです。どうぞ息子をお連れ下さい」

(なるほど、アーヴァイン様といる私なら安心ということね。それにしても可愛いわ…)

足元でピィピィ鳴いている子竜を抱き上げると、嬉しそうに体を委ねてくる。

可愛い。

物凄く可愛い。

ハッとして他の卵が孵る前にアーヴァイン様のところへ戻る。


「本当によろしいんですか?大切なお子さんなんでしょう…?」

「ええ。我々に対するルヴィリア様を見ていれば、可愛がってくださる事は明らかです。それに陛下の役に立つ事は我々の誇りです。まだ小さくともすぐにルヴィリア様の護衛になる程度には育つでしょう」


チラリとアーヴァイン様の方を見て様子を伺う。

「こう言っているんだ。ルヴィの手で育てるといい」

ルヴィリアは覚悟を決めるとコヴァルドさん達の方へ向き直る。

「コヴァルドさん、メリエスタさん。あなた方の大切なお子さんをお預かりさせて下さい。必ず大切に育てますわ。お約束します」

「息子をお願いします」

コヴァルドさんは優しく微笑んだ。

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