39 竜の洞穴
支度を終えて外へ出ると翼の生えた馬とともにアーヴァイン様が待っていた。
「アーヴァイン様、その子はまさかペガサス、ですか?!」
「よく知っているね。地上でいう馬のようにそれ程珍しいわけじゃない。今日はこいつに乗って移動するよ」
アーヴァイン様がペガサスの体を優しく叩くとペガサスは嬉しそうに鼻を鳴らした。
「さぁ、行こうか」
私を軽々とペガサスの上に乗せ、アーヴァイン様が手綱を握る手に力を込める。
ペガサスが翼をはためかせると体がフワッと浮くような感覚があり、それが実際に起きていることだと頭が追いつかない。
高度が上がるにつれ少し怖くなりアーヴァイン様の服をギュッと掴む。
「怖いかい?少しスピードを落とそうか。今日はゆっくりできるしね」
「ありがとうございます」
少しづつ上空にも慣れてきて下を向いてみると広大な崖がいくつもある山のような谷のようなところだった。
(エルドラドはこんな所にあったのね。これは確かにペガサスでないと見て回れないわ)
さながら天然の要塞のような地形に竜達が暮らしているとなるとエルドラドは相当難攻不落であることが伺える。
「それで、どんな所を見てみたい?」
「まずは竜達がどうやって暮らしているのか見てみたいですわ!」
「では、適当な洞穴にでも入ってみようか」
「そんな急に知らない家?に入って大丈夫なのですか?」
「変化できないとはいえ私が誰かくらいはわかるからね。無礼な態度を取る竜はいないよ。そこにちょうどいい穴があるね。入ってみよう」
ペガサスが進行方向を変えて一際大きな洞穴へと入っていく。
洞穴の中は暗く少し寒い。
ペガサスから降りて灯り代わりの炎の玉をだして奥へと進む。
縦にも横にも広いが、どうやら奥にも広いらしい。
しばらく歩くとようやく竜の姿が見えた。
2頭の竜がこちらを向いて頭を下げている。
「頭を上げていい」
アーヴァイン様がそう言うと2頭は緊張の糸が解けたようで、こちらに向かって礼をする。
どうやらつがいのようだ。
「ご機嫌麗しゅう、国王陛下。この度はこんなしがない竜の棲家へ一体どのようなご用件で足をお運び頂いたのでしょうか」
(喋れるのね!)
「固くならなくていい。客人に我が国を案内している途中だ。お前達の巣穴が1番優れていたので邪魔をしている。軽く話し相手になってやってくれ」
「よろしくお願いします!」
「それは光栄です。私どもにできる話ならなんなりと。人間のお嬢さん」
竜達の口から直接話が聞けるとは思っていなかったので何から聞いていいかわからないが聞きたいことは沢山ある。
「えっと、まずは…」




