21 婚約発表会
今日は皇国で皇子と2人目の聖女の正式な婚約発表会が開かれる事になっている。
その発表会に私とアーヴァイン様で乗り込むことにした。
あの後アーヴァイン様とも過去へ戻り、マリアの企みを暴露する準備は整えてある。
聖女を欲しがっている国の目星もつけたので、マリアにはその国で働いてもらうことにした。
ハインケル様にはマリアの本性を見せて気持ちを切り替えてもらい、婚約は取りやめにして新たな伴侶を探してもらう事にする。
それが今回の作戦だ。
その為にはアーヴァイン様が竜王である事を証明しなければいけないが、皇国の伝承では竜王の姿は人型ではなく竜の姿である。
にも関わらずアーヴァイン様は人の姿で発表会に行くようだ。
「私も変装しなくて大丈夫でしょうか…?天界に行ったはずの私が発表会にいてはまずいのでは?」
「どうせこれからネタバラシをするんだ。ちょっとくらい楽しんだって構わないだろう?」
そう言うと私をエスコートして会場へと入る。
「それにルヴィと夜会にでれる機会はなかなかないからね。いつもの君も美しいが今日は一段と綺麗だよ。エスコートできるのが誇らしい」
(いやいやあなたの方が何千倍も美しいですよ…)
会場中の視線を集めながらアーヴァイン様がニコリと笑う。
「さぁ、お嬢様。一曲踊って頂けますか?」
優雅に私の手を取って手の甲にキスをする。
自分の顔が燃えるように熱くなるのがわかった。
「えぇ、喜んで」
私はアーヴァイン様に身を任せた。
「おい、あれルヴィリア様じゃないか?」
「天界に行ったはずでは?それに同伴の美しい男性は見た事ない顔だぞ」
「美男美女とはこのことか…なんと神々しい」
フロアがザワつき始めた。
「アーヴァイン様、皆に見られていますわ」
「構わない。私にはルヴィしか見えていない」
「そんな事をおっしゃって…」
私は恥ずかしくて、くすぐったくて思わず目をそらしてしまう。
「あら、始まるようですわ」
ハインケル様が姿をあらわしてスピーチを始めた。
「皆さん、本日は私の婚約発表会にお越し頂き感謝する。知っての通りだと思うが、私の婚約者となるのは2人目の聖女である。さぁ、マリア、こちらへ」
紹介されたマリアが前にでてくる。
「あれが聖女様か…ルヴィリア様とは似ても似つかないな」
「ルヴィリア様はもっと気品に溢れていた」
「でもあちらにいるのは確かにルヴィリア様じゃなくて?」
会場のザワめきはどんどん大きくなる。
「お集まりの皆様。本日は私達のために貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。私が紹介に預かりましたマリアでございます。これからは聖女として、皇太子妃に相応しい姿をお見せできればと思っております。どうか暖かく見守ってくださいませ」
本性とはうって変わって謙虚な挨拶をするマリア。
(だけどあなたはもう終わりよ…!)
「待ちたまえ。その者との婚約は認められない」
アーヴァイン様が声をあげた。




