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4 師匠

 そんなことがありながらも、師匠と少年の交流は続いた。


 少年は飽きもせず毎週水曜日の夕方にイオンにやってきて焼き鳥を買い、仕事を上がった師匠と休憩スペースで雑談した。母親も祝日などで土日以外に仕事の休みがたまに取れると、少年と共に師匠をしばしば訪問し雑談に混じった。


 師匠は少年の母親と連絡先の交換をしていなかった。それは再会した初めに連絡先を聞かなかったためにタイミングを逸してしまっていたからでもあり、聞いて断られるのが怖かったからでもあった。彼の女性経験は高校生レベルだった。そして少年と師匠の間でも連絡先の交換はされていなかった。こちらは身近に子供のいない師匠にとって、子供と携帯電話でやりとりをするということが、そもそも想像しにくかったからだった。


 とにかく、彼らのささやかな交友は続いた。少年はますます師匠に懐き、師匠もこの年若い弟子に心を開いていった。会う回数を増やすにつれ師匠と母親の会話のぎごちなさも、少しずつ取れていった。

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