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ランキングリニューアルへの感謝と応援の意を込めて ~ほぼ確実に増益できる方法の提案

 2023年4月の中旬辺りの事です。小説家になろうにある異変が起こりました。アクセス数が激減してしまったのです。僕が利用しているアクセス解析サイトは折れ線グラフで表示されているので曖昧な数字になりますが、20~30%もその期間でアクセス数が減ってしまっています。

 僕にはこの原因に心当たりがありました。

 とある漫画レビュアーさんが、「品質の低い作品になろうのタグを付けて販売すると、どんどんなろうのブランド価値が低下していく」と主張していたのを覚えていたので、僕はなんとなく本屋でなろう小説コミカライズ作品の帯を観察していたので気が付いていたのですが、その時期になろうコミカライズ作品の帯にある“なろう発”という文言が消えていたのですね(調査対象は、近所にある中サイズの本屋さんです)。

 近年、小説家になろう発の小説は、どんどん売れなくなっています。ですが、にも拘わらず、小説家になろうサイト自体は高アクセスを維持できているのです。恐らくはメディア展開の効果だろうとは予想できていたのですが、なろう作品のアニメ化にはそれほど小説家になろうのアクセス数を増やす効果は観られませんでした。数多くのなろうアニメ作品の放送が始まってもアクセス数にそれほど顕著な伸びは確認できなかったのです。

 なので、僕はこれを観察して、小説家になろうサイトが膨大なアクセス数を叩き出せているのは、コミカライズ作品の帯による実質的な宣伝効果が最も大きいのではないか? という予想を立てたのです(詳しくは、なろうに投稿しているエッセイ“2023年4月中旬に、アクセス激減した小説家になろう! 見えた弱点と克服方法 ~膨大なアクセス数のミステリー”を参照ください)。

 ただ、その時点ではまだ情報不足だと考え、僕はそれからもアクセス数とコミカライズ作品の帯による宣伝、そしてアニメ化の影響を比較し続けました。

 すると、2023年7月に多数のなろうアニメ化作品(“無職転生”、“わたしの幸せな結婚”が特に話題)が放送されたタイミングで確かにアクセス数の伸びが確認できました。ただし、アクセス数の伸び始めた時期と放送開始時期が若干重なっていません。10日以上のずれがあります。また、2023年10月から、やはり多数のなろうアニメ化作品(“薬屋のひとりごと”、“陰の実力者になりたくて”、“シャングリラ・フロンティア”が特に話題)の放送が始まったのですが、これもアクセス数の増減と明確な相関関係が確認できませんでした。

 それに対して、コミカライズ作品ですが、“片田舎のおっさん、剣聖になる”という今ジャンプ漫画並みに売れている作品の新刊発売が始まると、それに合わせて確りとアクセス数が伸びているのが分かります。この作品、近所の本屋さんでは、その時期の売上げトップ10にランク入りしていまして、しばらく目立つ位置に置かれていた上に帯による小説家になろうの宣伝もありました。

 もちろん、長い期間でじわじわとした良い影響をなろう作品のアニメ化はなろうサイトに与えているかもしれません。流石に好影響がまったくないなんて事はないでしょう。ただ、それでも直接的なインパクトで言えば、コミカライズ作品の帯による宣伝の方が比較にならないくらいに高いように思えます。

 あるユーチューバーさんが語っていたのですが、「プロセスがたった一つ増えるだけで宣伝効果は激減する」のだそうです。“薬屋のひとりごと”が、どれだけ人気になっても、“薬屋のひとりごと”から小説家になろうまで辿ってくれる人は少ないのですね。だから、直接“小説家になろう”と書いてあるコミカライズ作品の宣伝効果の方が高いのでしょう。

 カクヨムやアルファポリスといった小説投稿サイトは、小説家になろうほどアクセス数を獲得できていませんが、それも“コミカライズ作品の宣伝効果の高さ”を裏付ける証拠の一つになるのではないかと思われます。

 カクヨムやアルファポリスといった小説投稿サイトでは、アクセス数に応じて作者にお金を支払っています。それによって人気ウェブ作家を呼び込み、ユーザー数を増やそうとしているのでしょう。しかし、それで実際にそれら小説投稿サイトで投稿を開始した作家が多数いるにも拘わらず、現在でも、小説家になろうの方が圧倒的にアクセス数は上です。

 つまり、こういった投稿サイトのウェブ作家はそれほど読者を持っていないのですね。人気漫画家が雑誌を移動すると売上げが著しく変わりますが、小説投稿サイトではそれが起こらなかったのです。

 カクヨム発のアニメ化作品で、アニメーションのクオリティが高くまた宣伝も盛んに行われているものがありました。放送当時、電車に広告まで出ていたのをよく覚えています。作品の評価については賛否あるようですが(と言うか、“否”の方が多い印象ですが)、それでもそれなりに話題にはなっていました。がしかし、カクヨムのアクセス数は著しい伸びを示してはいません。つまり、アニメ化に宣伝効果はあまりなかったのです。

 また、カクヨムやアルファポリスなどからもコミカライズ作品が世に出ていますが、“カクヨム発”、“アルファポリス発”などと帯で書かれても多くの人は何の事か分からないだろうと思います。サイト名から小説投稿サイトである事が分かり難い。その所為でコミカライズ作品による宣伝効果をあまり受けられなくなっているのではないかと予想できます(そもそも、両サイト、小説家になろうほど、コミカライズ作品が多くはないのですが)。

 それに対し“小説家になろう”は一目で小説投稿サイトである事が分かるネーミングになっています。だからコミカライズ作品による宣伝効果を高く得られているのではないかと予想できます。

 作家にもアニメ化にも、小説投稿サイトの集客効果はあまりない。ならば、後はコミカライズ作品の帯による宣伝くらいしか考えられないのではないでしょうか?

 

 ――そして、これが事実だとすると、小説家になろうは脆弱な基盤に支えられている事になります。

 

 小説投稿サイトなのだから、本来なら小説の魅力でユーザーを集められるようにするべきでしょう。それが小説の方は売れなくなっていて、コミカライズ依存になってしまっているのです。もし仮に「小説家になろう発でなくても、漫画作品は売れる。無理にコミカライズをする必要はない」と出版社が判断をするようになったら、アクセス数は激減する事になってしまいます。

 小説家になろうには、PV1億という凄まじいアクセス数を叩き出している作品もあるのですが、そういった作品のコミカライズはどうもそこまで売れてはいないようです。つまり、実際にコミカライズの売上げと元作品のアクセス数に相関関係があまり見られない事例も存在しているのですね。

 また、小説家になろうには、“類似作品が多過ぎる”という弱点もあります。普通に考えれば飽きられます(多分、なろうの小説作品が売れていない原因の一つがこれです)。かつて中国ではなろうアニメ化作品が大人気だったらしいのですが、近年はその人気に陰りが見え始めているそうです。また漫画レビュアーさん達によれば、なろう作品のコミカライズを担当している漫画家さん達の中には、なんとかオリジナリティを与えようと工夫をしている方もいるようです。コミカライズが売れ続けているのはだからなのかもしれません。工夫するのにも限界はあるでしょうから、その限界が来れば売れなくなっていくのではないかと思われます(この予想については、ちょっと自信がないのですが。僕の感覚だと既に売れなくなっていてもおかしくない……。いえ、飽きっぽいもので)。

 更に、小説家になろうの世間での評判は悪いと判断せざるを得ません。AIであるChatGPTに『小説家になろうが悪いイメージを持たれている原因を教えてください』といった質問をすると、『品質の低い作品が多い。ジャンルが偏っている。商業的な成功が少ない。作品のオリジナリティに欠ける。問題行動を取る作者がいる。文体や表現に問題がある作品がある』といったような返答が返ってきます。

 ChatGPTは誤情報を出力したりもしますが、それでも莫大な文章を読み込んでいるので漠然とした人々のイメージを調査する上では参考になります。

 ちょっと問題がありますよね。

 このような事態に小説家になろうが陥っているのは、ポイントランキングシステムに根本的な問題があるからだと僕は考えています。世間で高く評価される作品を抽出する能力が、なろうのポイントランキングにはないのです。

 これは実際にランキングを見てもらえれば一目瞭然です。世間で高く評価されている作品が、ポイントランキング内ではそれほど高い順位ではなかったり、逆に少しも売れていない作品の順位が高かったりします。

 ざっとその問題点を挙げていきます。

 

 問題点1.正のフィードバックの影響力が強すぎる

 

 作品に評価ポイントが入ると、順位が上がります。するとそれにより目立ち、宣伝効果が増す事で更に評価ポイントが入るようになります。このような現象を“正のフィードバック”と呼ぶのですが、結果、誤差のようなわずかなポイント差が増幅し、雲泥の差となってしまいます。つまり、作品のランキングがクオリティにあまり関係なく決まります。

 

 問題点2.不正が容易

 

 これは小説家になろう運営が実際に認めた話ですが、ポイント不正操作業者が存在するのだそうです。お金を貰って作品に評価ポイントを入れるのですね。

 また、不正ではないかもしれませんが、クラブやコミュニティなどに所属していれば、仲間にポイントを入れてもらうといった事も比較的容易でしょう。

 前述した“正のフィードバック”の問題点と合わせると、無条件で評価ポイントを入れてくれる人間がいるかどうかでほぼランクインするかどうかが決定されてしまう事になります。

 つまり、作品のクオリティがあまり関係なくなります。

 また、ユーザーの嗜好が非常に偏っているので、一部のジャンル以外ではランクインするのが非常に難しくなっています。

 

 問題点3.クオリティの高い作品にポイントを入れるメリットがユーザーにない

 

 仮に高いクオリティの作品だと評価したとしても、ユーザーには評価ポイントを入れるメリットがありません。自分が小説の投稿者だった場合、むしろデメリットになります。結果、作品のクオリティが高くても(むしろだからこそ)、埋もれてしまう場合があります。

 

 オリジナリティやクオリティが高い作品を上位ランクに入るようにする為には、これら問題点を改善する必要があります。

 

 さて。

 2024年1月16日に、小説家になろうはランキングをリニューアルしました。僕はずっとランキングシステムの改善を運営に要望していましたから、僕の要望が影響を与えたかどうかは別問題にして、ランキングシステムが変わった点には素直に感謝したいです。

 ただし、恐らくこの改善内容では、ポイントランキングシステムの問題点をあまり克服できないのではないかと考えられます。

 まずはランキングが変わった点について軽く説明します。

 ランキングがより細分化され、マイナーなジャンルならば、少ないポイントでも上位に入り易くなりました。また、トップ画面で紹介される作品が、月間ランキングから週間に変わっています。これにより、やはり以前よりはマイナージャンルでも宣伝効果を得られ易くなっています。

 更に注目度ランキングという機能が追加されました。

 公式の説明によれば、「一定の条件を満たした作品に対し、ブックマーク数とユニークアクセス数を元に独自の指標で集計した」ランキングなのだそうです。

 詳細が説明されていないので、しばらく観察してみました(なので、確証はありません。色々と書きますが、注目度ランキングについては間違っているかもしれない点をご了承ください)。まず、これまでのランキングでは入らないような作品がランクインしています。「ポイントランキング」とは違ったランキングである点が分かります。また、初日に1位だった作品があっという間にランクを下げ、ランク外になってしまいました。そして、その作品のアクセス数は順調に上がっていました。

 ちょっと不可思議な挙動です。

 恐らく、アクセス数が増えた事でユニークアクセスに対するブックマークの数が減り、それにより“注目度が下がった”と判断されたのではないかと思われます(確証はありませんが、ここではこの予想が正しいものとして扱います)。つまり、注目度ランキングはアクセス数が増えれば増える程不利になる仕様だと分かります。だからこそ、マイナージャンルがランクインしていたのでしょう(ただ、初日からわずか4日でかなり減少していましたが)。

 以上を踏まえた上で、リニューアル後のランキングがポイントランキングシステムの問題点を改善しているかどうかを見ていきましょう。

 

 “問題点1.正のフィードバックの影響力が強すぎる”への改善効果

 

 ランキングがより細分化され、マイナーなジャンルならば、多少ポイントが低くてもジャンル別の上位に入り易くなり、宣伝効果を得られ易くなった点は、この問題の改善効果があると言えるでしょう。

 当然、ジャンルの偏りを改善する効果があるのではないかと考えられます。

 ただし、ジャンル詐欺ではないかと思える作品が、ランキングに載っていましたので、恐らく、それを防ぐ何らかの工夫は必要ではないかと思われます。

 また、注目度ランキングはアクセス数が増えれば増える程に不利になる仕様なので、正のフィードバックを抑える効果があると言えるでしょう。

 運営側の意図としては、

 「注目度ランキングに入り、ポイントを得やすくする事で週間ランキングに入り易くし、その宣伝効果で出版され易くする」

 という流れにしようとしているのではないか? と思われます。

 だから、トップで表示されているランキングを、月間から週間に変えたのではないでしょうか? それにより一日で変動する注目度ランキングの効果を大きくしたのですね。

 注目度ランキングには、これまでよりはポイントの低いマイナージャンルがランクインする可能性が大きいですから、やはりこれも正のフィードバックが強すぎる点を抑えていると言えます。

 

 “問題点2.不正が容易”への改善効果

 

 先に述べたように注目度ランキングはポイントが少ない作品にもチャンスが生まれるシステムです。

 すると相対的に不正行為の効果が低くなります。

 また、注目度ランキングはアクセス数が多ければ多い程不利になるので、仮に不正行為を行って上位にランクインしたとしてもそれほどの効果はありません。アクセス数が増えてしまったら、それでランクが下がってしまうからです。

 ただし、ブックマークの削除と復活を数日おきくらいに繰り返すという不正を行えば、上位に残り易くなるかもしれません(これはブックマークのカウントをどのように運営が判定しているかにもよりますが)。

 この不正方法を行った場合、ランク外に出たかと思ったら、次の日にはまた復活するという現象が起こる可能性があります。ブックマークを削除復活させるタイミングを間違ったら、ランク外に出てしまうからですね。実際、以前より不正を行っていると噂のある作家さんの作品が、このような挙動を見せていました。今はもうランク外に消えていますが(一応断っておきますが、偶然、このような挙動になってしまった可能性もあるので、安易に疑うのは止めてくださいね)。

 ただし、この不正行為にはコストがかかります。コストパフォーマンスはあまり高くないので、やはり不正を減らす効果が多少はあるものと思われます。

 

 “問題点3.クオリティの高い作品にポイントを入れるメリットがユーザーにない”への改善効果

 

 これについては残念ながら、一切改善効果がないと言わざるを得ません。

 

 総括です。

 改善効果全体を評価すると、「今までに比べればかなりマシになっているが、それでも十分ではない」という事になりそうです。

 特に注目度ランキングについては、大きな問題点があります。

 なろうに登録していない読者は、ブックマークを付ける事ができません。という事は、なろうに登録していない読者から人気のある作品は大きく不利になってしまいます。新規ユーザーを増やしたいと思ったのなら、登録していない読者から人気のある作品をピックアップするべきです。

 更に「アクセス数を増やせば増やす程不利になる」ので、自分の作品を宣伝するモチベーションも下がってしまいます。これはそのまま小説家になろうの宣伝力を失わせる事を意味します。

 注目度ランキングは、ブックマークが多く、アクセス数が低い作品が有利になる仕様になっているので、かつては人気があったが、長期間更新されていなくて今はアクセス数が少ない作品が上位にランクインするという珍現象が起こっています。恐らくは、(不正でなければ)作品か作家のファンがこのランキングの仕様を知って、応援をしようと、ブックマークを付けているのではないかと思われます。

 更新頻度の高い作品はアクセス数が多くなり、結果ランクが下がるので、長期間更新されていない作品が上位に入るのでしょう。

 これがなろう運営の目論見通りだとはとても思えませんが、上位の作品の多くは書籍化されていたりコミカライズされていたりするようなので、宣伝効果としては“有り”なのかもしれません。

 ただ、これでは“新しいヒット作を世に放つ”という効果はあまり期待できなくなります。小説家になろうでマイナージャンルの作品を世に出し易くもできません。先にも述べましたが、開始からわずか数日で、既にマイナージャンルの作品が注目度ランキングから随分と少なくなっています。

 ただし。長期間更新されていなくて、固定ファンのついた作品は恐らく限りがあるでしょうから、時間が経てば再び頻繁に更新している作品が注目度ランキングに増えるかもしれません。

 もし、そうならなかったなら、何らかの改善が必要であると考えられます。

 

 運営が仮にポイントが少なくてもクオリティの高い作品を抽出したいと思っているのなら、もっとシンプルに、1000ポイント以下の作品のユニークアクセス数ランキングなどを作成した方が効果は高いのではないかと思われます。

 500ポイント以下、100ポイント以下なども同時に作成してランキングに入り易くし、チャレンジするモチベーションを投稿者に与えるというのも面白いかもしれません。

 このランキングから除外したいと思ったのなら、その作品にポイントを入れなければいけないので、嫌がらせもできませんし。

 仮にこれを“マイナー作品ランキング”とでも呼んでおきますか。

 自分の作品の話で申し訳ないのですが、『国の借金の仕組みと、それに絡む話を簡単に説明してみました』というエッセイは、わずか73ポイントであるにもかかわらず、ユニークアクセス数が7万を超えています。

 これは以前に、このエッセイがとある経済のサイトで紹介されていたからです。小説家になろうでは、経済に興味のあるユーザーは少ないですからポイントはあまり入っていないのですね。

 もし仮に“マイナー作品ランキング”が存在していたなら、上位にランクインしていた事でしょう(当時は、今よりもアクセス数がかなり少なかったのです)。もしそうなっていたなら、このエッセイに反論する作品なども投稿されていたかもしれません。そのような状態になれば“経済に興味のあるユーザー層”を小説家になろうに取り込めていた可能性があるのです。

 そう考えるのなら、“マイナー作品ランキング”は魅力的なランキングになるとは思いませんか?

 

 今回のランキングのリニューアルで、最も残念な点は“問題点3.クオリティの高い作品にポイントを入れるメリットがユーザーにない”への改善効果が全くない点ではないかと思われます。

 メリットがなければ、当たり前ですが、クオリティが高い作品が上位に昇って来る可能性が減ってしまいます。

 恐らく、最も効果的なのは、高評価した作品が出版され、高い売り上げを記録した場合に、そのユーザーに何らかの見返りがあるというものでしょう。ユーザーに対し、評価能力ポイントを設け、それが上昇するようにするのがベストではないかと思われます。そして、評価能力ポイントが高いユーザーに対して何らかのプレゼントやランク表示や金銭などのお礼でお返しをするというのが良いでしょう。

 評価能力ポイントが高いユーザー達の評価を信頼すれば、小説家になろうからヒット作が生まれる可能性が大きくなります。これが実現できるのなら、不正行為を防ぐ事もできます。評価能力が低いユーザーがポイントを入れてもそれほど意味がないからです。

 

 先程の問題点には挙げませんでしたが、実はポイントランキングに限らず、全てのランキングに共通するとある問題点があります。

 それは、“他人の評価が分かる条件下では、人は誤った評価を下しやすい”というものです。

 『ネットワーク科学が解明した成功者の法則(アルバート=ラズロ・バラバシ 光文社未来ライブラリー)』という本(胡散臭いタイトルに思えるかもしれませんが、自己啓発本の類ではなく、数学分野に近い科学読本です)で紹介されてあったのですが(228ページ辺りから)、他人の評価が分かるとそれに引っ張られて評価が歪んでしまうらしいのです。

 仮にクオリティが低い作品を、小説家になろうから世に出してしまっても、小説家になろうに高いブランド価値があるのなら、その効果で売れるかもしれません。が、前述したように小説家になろうのブランド価値は、かなり低下してしまっている状態なのでそれも難しいと思われます。1億PVを超える作品があまり売れていませんからね。

 因みに、有名ななろう作家自身が、小説家になろうを貶める発言をしてもいます。「なろう読者は馬鹿だから、難しい漢字が読めない」だとか、「なろう小説は精神的ポルノ」だとかいった発言をしているのです。これでは世間から軽蔑されてしまっても無理はありません。

 だから、どうしても本当にクオリティが高い作品を抽出しなくてはならないのです。その作品で、小説家になろうに対する世間のイメージを変える必要があるのですね。

 そして、そういったクオリティが高い作品を抽出する手段として、売上からのフィードバックによる、ユーザーの評価能力の判定は有効です。

 “他人の評価が分かる条件下では、人は誤った評価を下し易い”

 という人間の弱点を克服する効果が期待できるからですね。フィードバックの効果で、誤りを修正できるのです。

 もし、これが実現できたなら、出版社だけでなく、小説を原作とする事ができる様々な業界が欲しがる垂涎の機能となるのは間違いありません。漫画やアニメ、映画、或いはゲーム業界ですらもその機能に頼りたがるでしょう。

 つまり、巨万の富を生む可能性があるのです。

 

 もし、これが難しいというのなら、せめてポイントサンクス機能…… つまり、ポイントを入れてくれたユーザーに対して、お礼ができるようにする機能だけでも実装して欲しいです。

 ポイントを入れると、隠されていたエリアがオープンして、メッセージやイラスト、漫画などのオマケが観られるようになる機能です。

 これがあればユーザーがポイントを入れるメリットが出ます。面白いと思った作品のオマケは見てみたいですよね? なので、高いクオリティの作品にポイントが入り易くなる効果が期待できます。

 

 ランキングがリニューアルした2024年に「小説家になろう Thanks 20th」という企画が開かれますが、そのテーマは「勇気」だそうです。恐らく、今回のランキングのリニューアルに、運営側は相当の勇気を出したのでしょう。今までのユーザーが離れてしまうリスクがありますからね。

 ですが、まだ足りません。

 もう少しだけ、勇気を出してみませんか?

 

 最後に、仮にここで提案している機能が実現した場合、ほぼ確実に増益に結び付く方法があるので、それについて述べます。

 

 コミカライズ作品の帯で、“小説家になろう発”といった文言があった場合に、高い宣伝効果があると先に述べました。

 これは“小説家になろう”という文言が出てくるかどうかが重要なのであって、もちろん、コミカライズ作品である必要も、帯である必要もありません。仮にアニメ化したとして、その作品の中で“小説家になろう発”という文言が目立つ場所に出てくれば、高い宣伝効果を得られます。

 ならば、タイトルに“小説家になろう”という文字が入る作品のコンテストを開けば、いいのではないでしょうか?

 例えば、小説家になろうが切っ掛けで恋愛が始まるラブストーリーや、小説家になろうに投稿されている作品の世界に入るという設定のファンタジー、或いは小説家になろうに投稿をしている高校文芸部の生徒達の群像劇などでも良いでしょう。

 “小説家になろう”がタイトルに入っているのだから、コミカライズされても、アニメ化されも、映画化されても、ゲームになっても“小説家になろう”という文言が出る事になります。つまり、非常に高い宣伝効果を得られます(因みにこれは“新しい宣伝手法”として提案されている発想のうちの一つです。作品と宣伝を一体にすれば、ユーザーからスキップされないですから)。

 もちろん、この作品が“小説家になろう”のイメージに直結してしまうので、作品のクオリティは高いのが必須です。物語として面白い事もはもちろん、メッセージ性だって重要な要素になるでしょう。

 「精神的ポルノ」などと有名ななろう作家自らが述べるような作品は、もちろん、論外です。

 

 アルコール依存症が病気と認定されるようになったのは、文学作品が重要な役割を果たしたと言われています(参考文献『依存症と人類 カール・エリック・フィッシャー みすず書房』)。

 また、ロボット三原則などが有名ですが、小説が現実社会に高い影響力を及ぼしているという事例は存在します。そして、AIが普及し、新しい社会が到来しようとしている今と言う時代には、その小説の役割が期待されてもいます(参考文献『AIから読み解く社会 東京大学B’AIグローバル・フォーラム 、板津木綿子、久野愛 東京大学出版会 220ページ辺り』)。

 

 小説家になろうが、そのような価値ある作品を広める場になってくれる事を心から願います。

作中で書き忘れましたが、もし仮にしばらく待てば注目度ランキングから長期間更新されていない作品が自然消滅するのだとすれば(確証はないです)、マイナージャンルの作品を書いている人は、もう少し経ってから、勝負をかけた方が良いって事になりますね。

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